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 昨日、『エルフに』と書こうとしたら、『得るhuni』と変換されました。

( ・ω・) おのれ朱雀め。最近、出番が無いからってこんなところで自己主張しおってからに

「よいよい。いずれにしても、いずれにしても、言葉では何も分からぬわい。生きておる姿か、亡骸をこの目で見るまでは、何とも言えんわい」
 そこには、老人特有の冷めきった眼差しがあった。
「御主達、女王のところに行くのであろう?」
「あ、はい」
 ことが進展する切っ掛けを掴みたい僕達にしてみれば、それは必然の選択と言えた。
「儂も、行っていいかのぉ」
「それは構いませんけど……」
 だ、大丈夫なんですか。いや、十年もここに居るってことは、僕達以上にエルフに嫌われてるんじゃ……あくまで、僕の思い込みなんだけどさ。
「過去に、決着を付けねばならん時が来たということかも知れんの」
「え?」
 小さく呟いたその言葉に、引っ掛かりを感じてしまう。
 だけど、その余りに真剣な表情に戸惑いを感じ、僕は二の句を継いで問うことが出来なかった。

「さて、ということで隠れ里にやって来た訳だけど」
 何となく、解説する感じで台詞を口にしてみた。
「どうやって女王様に会えば良いの?」
 考えるまでもなく、僕達は一度ここにやってきて、警戒されてる訳で。お爺さんに至っては、もう十年来の付き合いと言えなくもない。簡単に面会できる状況とは思えなかった。
「ここは、我が家に代々伝わる秘法を使う時が来たようですわ」
「な、何か特別な魔法でも使うって言うの?」
 そこはかとなく、嫌な予感がしてたのは、敢えて口にするまでも無いよね。
「この様に、木の実を幾つも並べておけば、フラフラと誘き出されるに違いありませんの」
「猫や鳥じゃないんだから」
 とりあえず、聞き流しておくことにしようっと。
「んぐんぐ。お、これ、結構、イケるね」
「って、シスも食べないの!」
 ああ、もう。お爺さんも呆れ顔で見てるじゃない。全く、恥ずかしいなぁ。
「あ、あの~、皆さん」
 不意に、声を掛けられた。
「えっと」
 そこに居たのは、少し友好的だったエルフの少女だった。
「今日は、男の子の格好なのね」
「……」
 折角、忘れ掛けてたのに掘り起こさないで欲しいなぁ。

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 少し前、民主党小沢氏が『極東の米軍は第七艦隊だけで充分』と発言しました。あれ、あの人、この前ヒラリー氏に会ってませんでしたっけ。もちろん、直接言ったんですよね?

( ・ω・) 影でコソコソ言うだけならネット住人でも出来る。面と向かって言わんかい

「只今帰りました、お爺さん」
「おーおー。無事じゃったか」
 洞窟を後にし、赤い宝石を持ち帰った僕達は、一先ずお爺さんの所にやってきた。
「一つ伺いたいんですが」
「ほむ」
「お爺さんは、あの洞窟には一度も行ったことが無いんですね?」
「前に言った通りじゃよ」
 その物言いに、嘘をついている様子は感じられなかった。となるとやっぱり、あのお墓を作ったのは――。
「こんなものが、見付かりました」
「ほー」
 言って僕は、宝石を切り株の上に差し出した。お爺さんは興味深げにそれを見詰め、手にとってみている。
「これは、エルフ達の細工がされておるのぉ」
「分かるんですか?」
「彫刻を見る限り恐らく、な。人間の誰かがエルフに弟子入りして作った可能性も否定できんが、いずれにしてもその流れを汲むものであることは間違いなかろうて」
 言われてみれば、人間っぽくない流麗な艶やかさがあるような……流された訳じゃないよ?
「これを、何処で見付けなさった」
「それは――」
 何の確証も無いことを告げるのに、一瞬、躊躇いが生じてしまう。
「墓碑と思われる場所に、埋まっていましたの」
 もちろん、いつもの通り、そんな僕の心情をアクアさんは完全に無視してくれる訳で。
「墓碑、の」
「あ、いえ。と言っても、あくまでそれっぽいというだけで、骨があった訳でも、名前が刻まれてた訳でも無いんですよ」
 何で僕が必死に弁明してるのか、誰か説明して欲しいなぁ。
「いいんじゃよ。その様なこともあると、覚悟しておったからの」
「そう、ですか……」
 ア、アクアさん、空気が重くなった責任、ちゃんと取ってよ。
「わたくし達は、御二方は存命であると考えておりますの」
「ほぅ」
 何でそう、根拠の無い言葉で振り回せるのかなぁ。あ、またお腹がシクシクと痛んできた。

 アレクはアクア相手に時たまドキマギしていますが、どれかと言うと気があるかというよりは単に思春期なんだと。15歳の若者が、あんな天然破戒僧に色気振り撒かれたらアウトですよね。

( ・ω・) むしろ暴走しないだけ、理性的だと思うんだよ、俺は

「ゲ、ゲホッ、グホッ……こ、殺す気!?」
「ふーん、だ」
 な、何だか、凄く理不尽な扱いを受けてる気がする。僕、何か間違ったことした?
「それはさておいて」
 本当は横に置いておきたくないんだけど、話が進まないからしょうがない。
「どうやら、何か煩悩的なことを考えると身体が痺れてくるっていうのは確定的みたいだね」
 具体的に、どんな煩悩を抱えていたかは触れない方向で。命が幾らあっても足りなくなる気がするから。
「これは、恐ろしい兵器ですわ」
 あ、あれ、アクアさんが真面目な顔してるなんて、どういう事態なのさ。
「わたくしは、これを大量生産して、各国の首脳格にばら撒くことを進言致しますの」
 恐ろしいことを言う人だ。そんなことしたら、魔物達の侵攻を待たなくても、根底から崩壊する国が幾つあることやら。ある意味、現実を無視して理想主義を追い求める聖職者っぽいとも言えるけどさ。
「絶対、はんたーい。そもそも、善悪なんて所詮はそーたいてきなもので、確信犯にだいひょーされる様に、物事のいーわるいは、簡単に判別出来るじょーきょーになくて――」
 ここって、そういう難しい政治情勢を語るべき場だったっけ?
「それで、これ、どうしようか?」
 やっぱり、墓暴きなんかして手にしたものだし、このまま持って帰るって訳にも――。
「女王様とお爺さんに見せて、反応を伺いたいところですわね」
 ちょっと待った、聖職者さん。
「はい」
「ですの?」
 言って僕は、宝石をアクアさんに手渡した。そういうワルなことを考える人は、一度この宝石にお仕置きされなさい。
「……」
 別に、アクアさんが痺れて悶える姿が見たい訳じゃないからね?
「あれ?」
 渡して一分程が経ったけど、変化らしいものは特に起こらなかった。
 えーと、これって一体――。
「もしかして、だけどさ。『邪なことを思ったら』じゃなくて、『邪なことを考えてしまったと思ったら』発動するんじゃない?」
 アクアさん、今の発言に何の罪悪感も覚えてなさそうだし。今更だけど、凄い大物だよね。
 ってことはちょっと待って。偉い人に持たせても、余り意味が無いような……ま、まあ、それは又、別の話だよね。
「それよりも、シスが罪悪感持ってたことの方が驚きなんだけど」
「ほへ?」
 人の心っていうのは、本当、何処までも奥深いって言うかさ。自分の心持ちさえ今一つ分かってない、僕が言うのも何なんだけどね。

 ○○界のサラブレッドなどという言葉があります。主として、その業界に於ける良血統のことを指すのですが、考えように依っては、当人にとって迷惑な話。何しろ、サラブレッドは1~3km程を高速で駆け抜けることだけに特化しすぎて、他の事が余り出来ないのですから。

( ・ω・) さて、勇者界のサラブレッド、アレク君に今後待ち受ける運命とは如何に?

「何にしても、この宝石は危険ってことだね」
 埋められていたのも、呪いというか、災い除けかも知れないし、ここは様子を見ようっと。
「失礼しますの」
 そんな僕の心情なんかお構いなしに、ひょいっと宝石をつまみ上げるアクアさん。
 キ、キアリクを使える唯一の人が、そういう軽率な行動するのはどうなのかな。
「だ、大丈夫?」
「何ともありませんわ」
 アクアさんは、宝石を顔より上に持ち上げて、まじまじと見詰めていた。あれ、本当に何とも無さそうだ。これって、どういうことなんだろう。
「仮説……ってか思いつきなんだけど」
「うん?」
「もしかして、何か邪な気持ちになったら発動するとか、そういう話なんじゃないの」
「ほへ?」
 だって、状況的に、シスとアクアさんの違いって言ったら、そんなことくらいしか思い付かないし。
「だったらアレク、ちょっとやましいこと考えてみてよ」
「わっ!?」
 シスはアクアさんから掠め取った宝石を、ひょいっと僕に向けて放って来る。あ、危ないなぁ。何考えてるのさ。多分、余り考えてないんだろうけど。
「ところで、やましいことって、何を考えれば……」
 いきなり言われても、どうもピンと来ない。
 え~と、小さかった頃、兄さんのお菓子を黙って食べたことがあります。
 これは只の懺悔かな……。
「人は、誰もが罪深いものですわ。多少のことは、認めることで許されるものですわよ」
 言って、ずずいっと詰め寄ってくるアクアさん。ち、近いって。あ、身体はくっついてないのに、甘い匂いで何だかちょっとクラクラと――。
「はひ……」
 途端、指先がピリピリとしてくるのを感じた。
 ほ、ほらぁ、らから、りっらろーりりゃりゃ……。 
『キア――』
「むがぁ!?」
 アクアさんが呪文を唱え終える前に、シスが僕の口に満月草を生のまま突っ込んできた。草なんて名前がついてるけど、その実態は丸っこい根菜で、玉葱やカブに似た形状だ。まともに喉を通る訳が無く、思いっきりむせ返してしまう。

 シスの本名は、多分、システィ=トランスファーと言うんだと思われます。公式なんだか、何なんだか、今一つ分かりませんが。一部で、『死すティ』とか、死亡フラグ立ってんじゃんとか揶揄されつつも、今日も奴は元気です。

( ・ω・) 尚、由来がシス=トランス異性体であることは、微妙に知られていない

「えっと、それで治療するには、と」
 記憶の片隅に埋もれた対処法を、掘り起こしてみる。
「満月草を煎じて飲ませれば良いんだっけ」
 カザーブで、非常用の備えに買っておいた気がする。誰が持ってたっけ。
「っていうかさ」
 一つの懸念が頭を掠めた。
「どう考えても、戦闘時に一々、満月草を取り出して、刻んで、煮出して、飲ませるなんて無理だよね?」
 むしろ、気付いたのが今で良かったと思う。戦況が不利な時だったら、混乱しちゃう自信があるよ。
「たしか、刻んだものを飲ませるだけでも、それなりの効果があると記憶しておりますわ」
「動けない仲間の口に押し込むって、絵として随分凄いよね」
 実際はそれどころじゃないんだろうけど、もうちょっと何とかならないかなぁ。
「そこで登場するのが、キアリクですわ」
「あ~」
 たしか僧侶系魔法で、痺れを取り除くことが出来る専用の魔法だ。
「アクアさん、使えるの?」
「最近、憶えたばかりですの」
「……」
 物凄く、嫌な予感がした。
「それって、つまり使ったことが無い、と」
「実はこの状況に、心がうずうずしている状態ですわ」
 言い換えると人体実験ってことだよね。ま、まあ、いずれ訪れる戦闘時を想定した、予行演習って解釈にしておこうかな。
「ら、らんれも……りいらあ……ららう……」
 足元でシスが、呻きに似た声をあげた。正直、何を言おうとしてるかさえ分からない。
「『何でも良いから早く』と仰られてるようですの」
 そこまで分かってるなら、早く魔法を掛けてあげようよ。
『キアリク』
 杖の先から放たれた淡い光が、シスの上腕部を包み込み、そこから肩を経て頭部、胸部、下腹部へと広がっていく。弛緩していた筋肉が回復しているのが見て取れ、呪文が成功したことを理解した。
「ふ、ふ~。し、死ぬかと思ったよ」
「何にしても、お帰り」
 これに懲りて、少しは不用意な行動を慎んでくれる様になったら良いなぁ。
「今度から、得体の知れないお宝は、誰かに取らせて、安全なのを確認してから手にしないと危ないね」
 ダメだ、物凄い勢いで悪化の一途を辿ってるよ。



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