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 ○○界のサラブレッドなどという言葉があります。主として、その業界に於ける良血統のことを指すのですが、考えように依っては、当人にとって迷惑な話。何しろ、サラブレッドは1~3km程を高速で駆け抜けることだけに特化しすぎて、他の事が余り出来ないのですから。

( ・ω・) さて、勇者界のサラブレッド、アレク君に今後待ち受ける運命とは如何に?

「何にしても、この宝石は危険ってことだね」
 埋められていたのも、呪いというか、災い除けかも知れないし、ここは様子を見ようっと。
「失礼しますの」
 そんな僕の心情なんかお構いなしに、ひょいっと宝石をつまみ上げるアクアさん。
 キ、キアリクを使える唯一の人が、そういう軽率な行動するのはどうなのかな。
「だ、大丈夫?」
「何ともありませんわ」
 アクアさんは、宝石を顔より上に持ち上げて、まじまじと見詰めていた。あれ、本当に何とも無さそうだ。これって、どういうことなんだろう。
「仮説……ってか思いつきなんだけど」
「うん?」
「もしかして、何か邪な気持ちになったら発動するとか、そういう話なんじゃないの」
「ほへ?」
 だって、状況的に、シスとアクアさんの違いって言ったら、そんなことくらいしか思い付かないし。
「だったらアレク、ちょっとやましいこと考えてみてよ」
「わっ!?」
 シスはアクアさんから掠め取った宝石を、ひょいっと僕に向けて放って来る。あ、危ないなぁ。何考えてるのさ。多分、余り考えてないんだろうけど。
「ところで、やましいことって、何を考えれば……」
 いきなり言われても、どうもピンと来ない。
 え~と、小さかった頃、兄さんのお菓子を黙って食べたことがあります。
 これは只の懺悔かな……。
「人は、誰もが罪深いものですわ。多少のことは、認めることで許されるものですわよ」
 言って、ずずいっと詰め寄ってくるアクアさん。ち、近いって。あ、身体はくっついてないのに、甘い匂いで何だかちょっとクラクラと――。
「はひ……」
 途端、指先がピリピリとしてくるのを感じた。
 ほ、ほらぁ、らから、りっらろーりりゃりゃ……。 
『キア――』
「むがぁ!?」
 アクアさんが呪文を唱え終える前に、シスが僕の口に満月草を生のまま突っ込んできた。草なんて名前がついてるけど、その実態は丸っこい根菜で、玉葱やカブに似た形状だ。まともに喉を通る訳が無く、思いっきりむせ返してしまう。

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