アレクはアクア相手に時たまドキマギしていますが、どれかと言うと気があるかというよりは単に思春期なんだと。15歳の若者が、あんな天然破戒僧に色気振り撒かれたらアウトですよね。
( ・ω・) むしろ暴走しないだけ、理性的だと思うんだよ、俺は
「ゲ、ゲホッ、グホッ……こ、殺す気!?」
「ふーん、だ」
な、何だか、凄く理不尽な扱いを受けてる気がする。僕、何か間違ったことした?
「それはさておいて」
本当は横に置いておきたくないんだけど、話が進まないからしょうがない。
「どうやら、何か煩悩的なことを考えると身体が痺れてくるっていうのは確定的みたいだね」
具体的に、どんな煩悩を抱えていたかは触れない方向で。命が幾らあっても足りなくなる気がするから。
「これは、恐ろしい兵器ですわ」
あ、あれ、アクアさんが真面目な顔してるなんて、どういう事態なのさ。
「わたくしは、これを大量生産して、各国の首脳格にばら撒くことを進言致しますの」
恐ろしいことを言う人だ。そんなことしたら、魔物達の侵攻を待たなくても、根底から崩壊する国が幾つあることやら。ある意味、現実を無視して理想主義を追い求める聖職者っぽいとも言えるけどさ。
「絶対、はんたーい。そもそも、善悪なんて所詮はそーたいてきなもので、確信犯にだいひょーされる様に、物事のいーわるいは、簡単に判別出来るじょーきょーになくて――」
ここって、そういう難しい政治情勢を語るべき場だったっけ?
「それで、これ、どうしようか?」
やっぱり、墓暴きなんかして手にしたものだし、このまま持って帰るって訳にも――。
「女王様とお爺さんに見せて、反応を伺いたいところですわね」
ちょっと待った、聖職者さん。
「はい」
「ですの?」
言って僕は、宝石をアクアさんに手渡した。そういうワルなことを考える人は、一度この宝石にお仕置きされなさい。
「……」
別に、アクアさんが痺れて悶える姿が見たい訳じゃないからね?
「あれ?」
渡して一分程が経ったけど、変化らしいものは特に起こらなかった。
えーと、これって一体――。
「もしかして、だけどさ。『邪なことを思ったら』じゃなくて、『邪なことを考えてしまったと思ったら』発動するんじゃない?」
アクアさん、今の発言に何の罪悪感も覚えてなさそうだし。今更だけど、凄い大物だよね。
ってことはちょっと待って。偉い人に持たせても、余り意味が無いような……ま、まあ、それは又、別の話だよね。
「それよりも、シスが罪悪感持ってたことの方が驚きなんだけど」
「ほへ?」
人の心っていうのは、本当、何処までも奥深いって言うかさ。自分の心持ちさえ今一つ分かってない、僕が言うのも何なんだけどね。
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