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 先日に引き続き、パラメータ第二段。アクアに比べるとツッコミ所があるような、無いような。

 

( ・ω・) 対極の様に運が無いクレイン氏については、そっとしておいてあげて下さい

「オルテガ様は旅立ちの際、わたくしに向けて『君が大人になる頃には、世界を平和にしてみせる』と言って下さいましたの」
 兄さんも、僕に似た様なことを言ってたなぁ。やっぱり、カエルの子はカエルなのかもね。
「それってつまり、将来の美人に粉かけておいたってこと?」
 シス。いつものことだけど、変な茶々入れないの。
「とはいえ、その約束が守られることはなく、わたくしは大人になってしまいましたわ」
 ア、アクアさんまで。良い話は、良い話のまま終わらせようよ。
「アレクさんは、どういった心持ちですの」
「何が?」
「お父様とお兄様が勇者とはいえ、御自身が旅立たれる決定的な要因になるとは思えませんの」
 あー、そのことについてね。
「そうでもないよ。兄さんが行方知れずになってさ。大人達の僕を見る目が、変わってくのが分かるんだよね」
 あの視線の中で過ごすくらいなら、いっそ外に出ちゃった方が楽だって思った時期もあったなぁ。
「つまり、もうちょっと鈍かったら、勇者にならなかったってこと?」
 世の中ね。君みたいに人目が気にならない人ばかりじゃないんだよ。
「そうですわね。シスさんの様に大らかであれば、又、別の道もあったやも知れませんわ」
「……ん?」
 アクアさんと殆ど同じことを考えてた事実は、とりあえず封印しておこうっと。
「ですが、そのお陰でこうして仲間として出会えたのですから、わたくしは感謝したいと思いますわ」
 だ、だからそういう恥ずかしい台詞をサラリと言わないでってば。
「年齢から察するに、アレクさんに、お父様の記憶は殆どありませんのよね」
「うん、父さんが旅立った時、僕は二歳だったから」
 何だか、凄く大きな男の人に抱えられた様な思い出はあるんだけど、あれは父さんだったのかなぁ。
「お兄様はどうですの」
「どう、って?」
「人となりや武芸の達者さ、仲間のお話についてなどですわ」
「う~ん。兄さんは、とにかく、『勇者』って感じなんだよね。剣も魔法も得意で、どんな敵にも恐れずに立ち向かっていってさ」
 得意なのは魔法だけで、基本的に臆病な僕とは凄い違いだと思う。
「後、仲間っていうと……トウカ姉さんと一緒に行ったくらいかなぁ。旅先で増えたみたいなことは書いてあったけど、僕は良く知らない人だし」
「今、トウカと仰いました?」
「うん、幼馴染みのトウカ姉さん」
 ちょっと憧れの人だったことは、ここでは伏せておこう。
「よもや、『黒髪のトウカ』ですの?」

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 遊びというか、ネタというか、こんなものを作ってみました。あくまで仮ですが。



 灼熱の魔術師編、終了時のパラメータ。弱い、泣きたくなるほど弱い勇者様。でも、ゲーム上のドラクエなら、ここから物凄いパワーインフレが起こるから、きっと何とかなるはずだ。

( ・ω・) アクアの運の良さについては、突っ込んだから負けかなって私は思ってる

「ん~。このフレーバーティの香り。やはり専門店の味わいは、他のそれとは違いますわよね」
「はぁ」
 とある日の、うららかな昼下がりのこと、僕達は三人で、ロマリア城下を散策していた。平たく言うと、女の子達の買い物に、荷物持ちとして付き合わされた訳だけど、そこは敢えて目を瞑ろうと思うんだ。
「それにしても、こんなにのんびりしてていいの?」
 僕達って、バラモスを倒すっていう、遠大な目標があった様な……あれ、僕の勘違い?
「まだまだ先は長いのですから、こういう日も必要ですわ。引き絞った弦は良い音色を奏でますが、常時、その様な真似をしていたら、いずれ千切れてしまいますのよ」
「そーそー。お店の服とか見てるだけで、気分良くなるもんね」
 シスがこう、女の子っぽいこと言うのって、凄い違和感があるよね。
「ふぅ……」
 そう言えば、ここまで日がなのんびりとしてるのって、アリアハンを出て以来、無かったことかも知れない。
 母さん、爺ちゃん、元気かなぁ。そろそろ、手紙を書く頃合の気もする。
「と言うかさ」
 こうして穏やかに時間を過ごしてしまうと、魔物達が世界を侵攻しているなんてことに現実感を覚えない。伝え聞いたところでは、バラモスに滅ぼされた地域もあるらしいけど、それは今の僕にとって遠過ぎる話だ。
「ねぇ、アクアさんは、どうしてバラモスを倒そうと思ったの?」
 考えてみると、聞いたこと無い気がする。僕は父さんと兄さんの跡を継いだみたいなもので、シスは世界のお宝探しのついでみたいだけど、アクアさんはどういった心境だったんだろうか。
「悪い方を打ち滅ぼすのに、理由が要りますの?」
「……」
 そうだった。割とこういう一直線な人だった。
「ですが、強いて言うのであれば、十余年前、オルテガ様に会ったことが切っ掛けだったでしょうか」
「……」
 ん?
「えー!? あ、アクアさん、父さんに会ったことがあるの!?」
「言いませんでしたかしら?」
「聞いたことないって!」
 ず、ずるい。息子の僕だって、殆ど喋った記憶が無いのに。
「あれはわたくしが十に満たない頃の話ですわ。オルテガ様は、このロマリアに立ち寄られましたの。たしか、魔物達を利用して国家転覆を狙う政治組織を壊滅させるのが目的だったはずですわ」
 父さん、僕の知らないところで、色々なことしてるなぁ。 
「政府サイドで指揮をしていたのが、うちのお爺様ですの」
 だから、本当に何者なのさ、あのお爺さん!?

 ところで、渡辺元行革担当大臣って、今、何処で何を――。

( ・ω・) おっと、夜だというのに、一体、何の来客だ?

「はぁ……」
 ロマリアに帰還したその夜、僕は現有戦力の如何ともしがたい状況を思い起こし、大きく溜め息をついた。謙遜でも何でもなく、僕は自分が強いと思ったことはない。それでも、漫然と旅を続けていれば、その内に何とかなるだろうという甘い期待はあった。
 クレインの強さと敗戦という事実は、現実を知るという意味では良かったんだろうけど、やっぱり気分が良くなるものじゃないよ。
「あら、溜め息をつきますと、運の良さが少しずつ下がっていくと言いますわよ」
 それ、ロマリア地方独自の迷信? それとも、アクアさん個人が信じてるだけ?
「まーまー。色々あったけど、懸賞金の半分は貰えたんだからいーじゃない」
 そう。結局、クレインに掛かっていた懸賞は、略取を続ける地方領主が差し向けた兵隊を、彼が追い返していたという話だったらしい。お調子者の王様はそれを信じて手配しちゃったけど、最終的には誤解が解けて領主に厳罰を与えることで決着した。何だか、権力に依る揉み消しとか、ドロドロしたすったもんだはあったらしいんだけど、そこのところはアクアさんのお爺さんに一任したもんだから、細かいところは知らなかったりする。
「あのお爺さんって、何者なの?」
「知りますと、バラモスと戦うより恐ろしい悪夢を見るかと思われますわよ」
 き、気になる。気になるけど、これ以上、心労の素を増やすのも何だかなぁ。
「何にしましても、ですわ」
「うん?」
「わたくし達は、たしかにそれ程、強くは無いのかも知れませんの」
 は、はっきり言われると、結構、傷付くんだけど。
「ですがアレクさんは、勇者にとって一番大切なものを、既に持っていますわ」
「え?」
 虚をつかれるその言葉に、一瞬、固まってしまう。
「そ、それって」
「もちろん――」
 言ってアクアさんは、僕の胸を軽く小突いた。
「勇気の心、ですわよ」
 途端、心の中に、温かいものが溢れた。
 あぁ、やっぱりこの人には敵わない。まだ、僕に何が出来るかは分からないけど、足だけは止めないでおこう。そんなことを思わされる、一夜の出来事だった。

 囲碁将棋の段位規定が今一つ分からないので、雑学として調べてみる。ほうほう、七、八、九段クラスは、勝ち星だけじゃなく、タイトル戦動向に依っても決まるのか。何々、日本棋院は2003年に規定を改定。三大タイトル(名人、本因坊、棋聖)リーグに入ると、無条件で七段――。

( ・ω・) 塔矢アキラ七段が、誕生した瞬間である

「これぁ、取引だ。てめぇらが、この先、万に一つバラモス城へ行く手段、ないしは取っ掛かりになりそうな情報を得たら、俺にも寄越せ。そんかわし、俺は俺で、何かを見付けたらくれてやる。もちろん、てめぇらがそれまで生きてたらの話だがな」
 願ってもない申し出と言えた。そもそも、バラモスを倒すのは誰でも良い。父さんでも、兄さんでも、僕でも。そして、目の前の魔法使いでも。契約関係に過ぎなくても、同士が増えるのは望ましいことだ。
「と言いますか、一緒に旅をすれば、何の問題も無いと思われますの」
「あぁん?」
 アクアさんの発想は、いつ如何なる時も予想の外側を突っ走ってくれる。
『こんな乱暴な奴と一緒なんて、ぜーったい、ぜーったいにヤダー!』
「って、シスが起きてたら、ふくれっ面で言うと思うんだけど」
「物真似、お上手ですのね」
 うん、昔から、人の特徴を捉えるのは割と得意な方でさ。
「てめぇら――」
 微妙に蚊帳の外に置き去られた感のあるクレインが、少し頭に血を昇らせていた。
「ざけんな! 何で俺が、雑魚の守りなんざしねぇといけねぇんだ!」
「あら、たしかに今のところはそうかも知れませんが、わたくし達、これでも期待の新星なのですわよ」
 自分で言えるところが、アクアさんの凄いところなんだろうね。うん、割と本気でそう思うよ。
「チッ」
 クレインは、小さく舌打ちすると、立ち上がり、窓辺へと足を向けた。あ、あれ、本気で怒っちゃった?
「どうやら、バラモスの怖さってもんが、良く分かってねぇみたいだな」
 ギ、ギクッ。ど、どうしてそれを知ってるんだろうか。
「奴はな――」
 ベランダに立ち、右手に魔力を集中させている。え、ちょっと、何、この尋常じゃない感じ。
「この力があっても、歯が立たなかったんだよ!」
 途端、巨大な光球が飛び出し、上方へと駆け上がった。その余波は爆風となって僕達の横を擦り抜け、空気が弾ける感じさえ覚えてしまう。
「な、何があったの!?」
 事態を把握できず、慌ててベランダへと飛び出す僕とアクアさん。
 刹那、耳を突き破らんばかりの爆音がした。
 発信源が頭上だと知覚し、そちらを見遣ると、そこには何も無かった。いや、ここは、塔の中ほどだよ。上に何も無いだなんてこと、あるはずがない。
「まさか、今の魔法で吹き飛ばしたって言うの!?」
 パラパラと降って来る細かな塔の破片からして、そう判断するしかない。何て、常識外れの威力なんだ。
「イオナズン、ですのね。爆裂系魔法の最高峰――数多い魔法使いの中でも、扱える方は僅かと聞きますわ」
「ケッ。どんな力があってもな。勝てなきゃ意味ねぇんだよ」
「いえ、わたくし、評価を改めることにしましたわ」
「あぁ?」
「あなたのことを、只のチンピラさんだと思っておりましたが、今からインテリヤクザさんと認識させて貰いますの」
「どっちにしても、まともに呼ぶ気ねぇな、このアマ!」
「ツンデレヤクザさんの方がお好みですの?」
「だぁらぁ!」
 アクアさんとクレインの掛け合いが繰り広げられる横で、僕は呆然と、空を見上げていた。
 魔法使いの極みの一つと言えるイオナズンを使えるクレインと、大賢者メロニーヤ様が挑んでも、逃げることしか出来なかった魔王バラモス。今の僕と、どれだけの開きがあるんだろうか。
 喩え様の無い悠遠さを感じてしまい、僕の心は、痛い程に締め付けられた。

 もう二月だというのに、初詣報告。いや、行ったのは一月三日ですよ。近所の氷川神社です。しかし調べてみると、祀ってあるのは須佐之男だとか何とか。

( ・ω・) だって近所に、月読関連の神社なんてある訳が無いだろうと

「分かりましたわ」
 不意に、アクアさんがポンと自身の掌を叩いた。
「あなたがバラモスを倒すと仰られてるのは、そのお師匠様を助ける為ですのね」
「あぁん?」
 それにしても、クレインって、何処までもガラが悪いよなぁ。
「ざけたこと抜かすな。誰があんな爺の為にこんな躍起になるか。俺ぁ、自分の負けが許せないだけだ」
「世間では、その様な心情をツンデレさんと言うのですわ」
 本当、アクアさんって、謎の言葉を駆使するよなぁ。
「あ、そう言えば――」
「どうしましたの」
「結局、どうやって帰ってきたかを聞いてない」
「……」
 クレインが言うには、バラモス城は特異な結界が張られていて、魔法に依る移動は出来ないらしい。しかも湖の上に佇んでるから、陸路、海路共にどうしようも無いし――訳が分からないとしか言いようが無い。
「バシルーラ、だ」
「あの、敵を遠くに飛ばす奴?」
 あれ? でも結局、ルーラやなんかと一緒で、魔力で飛んでくんだから、同じことの様な?
「謎は解けましたわ」
「どゆこと?」
「ルーラは、術者自身とその仲間が飛ぶものですから、当然、魔力はその集団を中心に発生しますの。ですがバシルーラは術者が放ち、対象を飛ばすものですので、魔力感知には引っ掛からないと思われますの」
「そうか。極端なことを言えば、飛ばされた身体は、肉の塊ってことになるんだ」
「その通りだ。俺ぁ、半年前、バシルーラでカザーブ近くに飛ばされて、それ以来、ここに住み着いている」
「でも、ちょっと待って。クレインがここに居るってことは、バシルーラを使ったのは――」
「――」
 クレインはそこで、小さく声を詰まらせた。
「メロニーヤの爺だ」
「――!」
「あの爺、人身御供のつもりか何か知らねぇが、頼みもしねぇのにこんな真似しやがって……生きてやがったら、干からびた面、弾き飛ばしてやる!」
「やっぱり、ツンデレさんですわ」
 とりあえず、アクアさんの言うことは気にしないでおこう。
「これで、俺の知ってる情報は全部だ。何度も言うが、ルーラ、キメラの翼の類で直接、バラモス城に乗り込むのは不可能だ。範囲を広げて、ネクロゴンド近辺なら可能かも知れねぇが、俺ぁバラモス城へ行って帰ってきただけだから、そこには行けない。バラモスを倒す力もさることながら、そもそも奴の懐に辿り着く手段がありゃしねぇんだよ」
「それで、半年もこんなことろに引き籠もってましたのね」
「一々、癪に障る女だな」
 うん、慣れないと、アクアさんの癖は、相当、神経に届くものだと思う。



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