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 最近、ちょっと思うのは、桜井母のこと。茜、岬を育てた両親、特に同性の母って、どんな性格してるんだろう。ちょっと想像がつかないや。何しろ、一人ならともかく、二人共、ああいう感じである以上、血統や環境の影響が濃厚な訳で。

( ・ω・) それを言ったら、七原家も大概だろうと思ったら、きっと負けです

「わたくし、思いますの」
「な、何を?」
「ヒャドを使える方が、夏場、氷屋さんを開けば、確実に商売繁盛ですわ」
「そ、それって、今、言わないといけないことじゃないよね?」
御仕事を商人に変えようっていう話なら、別口で相談に乗るけどさ。
「とりあえず、中に!」
ここに居座っていては、的になるだけだ。相手が一人だというのであれば、地の利を活かされたとしても、挟み撃ちにされる心配はない。内外双方の危険度を総合的に判断して、僕は障害物の多い塔内部を選択した。
大熱量の閃熱の力が大地を灼いたのは、飛び込んだ数秒後のことで――自分の判断が正しかったことに、僕はほっと胸を撫で下ろした。


「言い忘れていたことがありますわ」
塔に入り込んで幾らか経った頃、アクアさんはおつかいの追加でも頼むかの様な軽さで口を開いた。
「この塔、至る所に罠や仕掛けがあると聞いたことがありますの」
「……」
え?
「そ、そういうことは、先に言って欲しかったなぁ……と言うか、何で灯台にそんなものが」
実務上、特に役立つものとも思えない。
「逆ですわ。元は灯台だったからこそ、必要でしたの」
「はぁ」
何だか、良く分からなくて気の抜けた返答をしてしまう。
「灯台とは、文字通り水先案内人を買って出る守り人ですの。言い換えれば、心無い輩がその自由を奪えば、全てを狂わせることも可能ですわ」
「あ~……」
具体的な説明をされると、納得出来ないこともない。例えば、海賊の類が灯台を占拠すれば、商船なんかを誘導して、悪さが出来る。他にも、国家転覆を狙う連中が、要人が乗った軍船、儀礼船を、という展開も考えられる。伊達や酔狂で、迷宮みたいな造りになってるんじゃないんだと、この年で初めて知った。
「って話だから、シス、あんま壁とか弄らない方が――」
「ん~。ここら辺が匂うなぁ」
君は、話を聞く耳を持ってないの!?
「ペコペコ」
そして、そんなあっさり、ヘコむ壁のスイッチを見付けないで!
「ですの?」
「わ!?」
瞬間、床が抜けた。幸いにして、僕とアクアさんは穴の縁に居たから辛うじて躱せたけど――本当、落ちてたと思うとゾッとする。
「シス~。だから、軽はずみに触っちゃダメだってば!」
今回は運が良かっただけで、次も問題が無くいくとは言い切れない。
「う~んと――」
そして、又しても唸り出しちゃってさ。今の僕の発言の、どこら辺に考え込む要素があるのさ。
「ちゃんと確認してからなら良いってことだよね?」
もうやだ、この問答。
だー! アクアさんも、そんな微笑ましいものを見るみたいな目で眺めてないで、何とか言ってやってよ!

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 ひたすらに、ブログのブツをアップするシリーズも、十日で何とか決着。もう、推敲する日々は嫌なんだよぉ。政治講座六篇が効いた……。

( ・ω・) 学んだこと。宿題とかと一緒で、適度に消化しないと、最後に泣くのは俺自身!

 シャンパーニの塔。その建造は古く、百年以上前とされている。本来の目的は岬守りの灯台であるが、陸路の発達と、北方方面へ向かう船舶の減少に伴い、本来の機能を失う。後に、ロマリア本国の影響力が弱い僻地であることなども一因となって、山賊を始めとする、ならず者達の溜まり場となる。その悪しき伝統は、数年前、アレルがカンダタを追い出した時に、とりあえずの終幕を迎えたのだが――。
「半年位前から、一人の男が占拠し、住み着いている、と」
 目の前にある古塔を見上げ、収集した情報を思い起こした。
「だけど、ここに来るまで、被害にあったって村は特になかった」
 略奪をしてないなら、何でお尋ね者として手配がされてるんだろうか。
「にしても、凄く古いのに、しっかりした造りだよね~。王宮とかみたい」
 シスは、チョロチョロと近辺をうろついては、何が楽しいのか、外壁に触れて回っていた。
「あたしの経験だと、こういう塔には、隠し扉の一つや二つあったりするんだよね」
 あー、そういうことか。だけど、そういうのって、内壁が多いんじゃないかなぁ。大体、灯台に隠し部屋って、良く分からない――。
『メラミ』
 不意に、呪文を口にする声が耳に届いた。次いで、肌を焼かんばかりの熱波と、目が眩む程の光量を知覚する。それが塔の上から放たれた火球であると気付くのに約一秒。向けられた先が盗賊の少女であると理解するのに、更に一秒を要した。
「シス!」
「うぎゃ!?」
 妙な叫び声を上げながらも、壁を蹴り飛ばし、反作用の力を利用して後方へ身を飛ばすことで直撃を躱した。やっぱり、この手の軽業は、少し芸術的でさえある。
「あー!? 髪の毛がちょっと焦げてる!?」
 本人に、優美さは余り感じられないんだけどね。
「それよりも、上!」
 逆光で見上げ難い上層階を、目を細めることで何とか視認しようとする。誰か……居る。それは間違いない。だけど、どんな奴かまでは――。
「!?」
 ゾクリと、悪寒が全身を駆け巡った。それは精神的なものもあったのかも知れないけど、一番の理由は、別にあった。
「二人共、頭を防御して! ヒャドの、氷の雨が降ってくる!」
 刹那、陽光煌く氷塊が、数限りなく降り注いできた。僕達は壁際に退避すると、極力小さく固まって、盾を使い、頭だけは守り抜く。季節外れの雹の嵐は、ものの数十秒で終わったけれど、辺りの荒野一面に氷が敷き詰められ、又しても、身震いする程の寒気が走った。

 その昔、ドラクエ小説を書いていた方が後書きで、『事細かに描写してたら最初の洞窟に辿り着く辺りで一冊使ってしまう』的なことを書いておられました。こんな話を書いていると、言いたいことが何となく分かります。ちゃっちゃか進んでるようで、バラモスはまだまだ遠いなぁと思ってる訳で。

( ・ω・) いえ、セネレの方で、学園祭始まるまでに十五話使った言い訳じゃないです

「どう思われますの」
「どうって、何が?」
「シャンパーニの夜盗のことですわ」
 僕達はロマリア勢力化の小村、カザーブに居た。アクアさんは夕食後、いつものトボけた表情のまま、そんな質問を口にした。
「んー……ありきたりで悪いけど、良く分からない、かな」
 どうも、今回の話は、アリアハンの山賊辺りとは、訳が違う気がする。一つの根拠として、この村の人達が殆ど騒いでいないことがある。何だか、ロマリア城下で聞いた情報の方が大袈裟だった印象が強い。伝え聞いた話には尾ひれが付くっていうから、必然のことなのかも知れないけど。
「余り他国のことを言いたくないけどさ。ロマリアの王様はお調子者だって聞いてるから、国が動いているって言っても、無条件で信じない方が良いと思うし」
 何でも兄さん、カンダタ討伐の褒賞で、短期間だけど王様の真似事をさせられたらしいんだよね。幾ら素性がはっきりしてるって言っても、他国の人間にホイホイそんなことをさせるなんて国王としてどうなんだろう。
「たしかに、王様はちょっと奔放な方かも知れませんわね」
「ロマリアに住んでたアクアさんでも、そう思うんだ」
「比較するのであれば、お爺様より上かも知れませんわ」
 ちょっと待って。それは幾らなんでも、国家として危なすぎる気がしてならない。
「あたしとしても気になるところなんだよね~」
「何が?」
「一人で賊行為をするなんて、やっぱ相当の腕が無いと出来ないことだよ。場合に依っては、弟子入りも考えないとね」
 とりあえず、シスの意見は聞かなかったことにしよう。
「何にしましても、全ては行ってみてからの話ですわ。自分の目で見て、その上で決断をするというのが、わたくし達には必要なことですの」
 僕達はまだ、世界を知らない。アクアさんは少し旅をしていたが、それはロマリアからイシスに至る二国間程度の話で、後はアリアハンへ立ち寄ったくらいのものらしい。
 父さんと兄さんを追い掛ける僕にとって、この世界はまだまだ広大で――立ち止まって、何もかもを放棄したい気分にもなる。
 それでも、僕は歩くと決めたんだから、今は進み続けよう。
 その先に何があるかはこの目で見極め、何をすべきかはこの頭で考え尽くす。それが僕達にとって、唯一の道なんだよね、きっと。

 花粉症の季節です。頭が働きません。もう嫌です。甜茶を飲めば少しはマシになるんじゃ無いかというのに気付くのに、三日ほど掛かりました。

( ・ω・) 花粉症患者は一致団結して、秋の内に杉の樹を切り倒すしかない!

「なぁに。当面の問題が金なら、幾らでも手はあるもんじゃ」
「もしや、うちには莫大な隠し財産があったりしますの?」
「それじゃったら、若い頃に道楽して潰したわい」
 この人達、本当に聖職者なの? ねぇ、問い詰めてみていい?
「まあ、それは冗談じゃが――」
 全然、目が笑ってないせいで、信じていいものか分からない。
「世には、懸賞の掛かった仕事が幾らでもあるもんじゃ。大国家ロマリアであれば、尚更のぉ」
「懸賞!?」
 自分の人生からは現実離れしたその単語に、思わず大声を出してしまった。
「肩慣らしにこんな仕事なんかどうじゃ」
 そう言って、お爺さんは何処からとも無く紙の束を持ち出してきた。
「『迷い猫探して下さい。但し生け捕りに限る――』」
「お爺様、報酬が二十ゴールドでは、一泊の宿代くらいにしかなりませんわ」
「千件こなせば、もしかすると目標に届くかも分からんぞ」
 幾らなんでも、そこまで遠回りする程、精神的な余裕は無い。
「腕試しを兼ねるんじゃったら、山賊退治の類もあるがのぉ」
 ま、またですか。
「これなんかどうじゃ。『シャンパーニの塔に住み着いた賊を追い払って下さい』」
「シャンパーニの塔?」
 あれ、何処かで聞いたことある様な――。
「もしかして、昔、カンダタが根城にしてたっていう?」
「ふむ。いかにもそのシャンパーニじゃ。これはスポンサーがロマリアじゃから、報酬も良いぞい」
「ロマリアが? カンダタの時といい、何で国軍を動かさないんですか」
 大国家を自認している割に、情けない話だと思う。
「それが、何度か選抜隊を送ったらしいんじゃが、返り討ちになったらしいわい」
 本当に、情けない話だったとは思わなかったなぁ。
「シャンパーニは、昔からそういう所ですわよね」
「うむ、どういう訳か、何度となく悪党共の巣窟になりおる。儂が産まれた頃から数えると、十回にはなるかの」
 そんな塔、取り壊しなよって言ったら、何だか負けた気分になりそうなのは何故だろう。
「じゃが、今回の賊はこれまでとは一味違うぞい」
「全員、あたしみたいな義賊とか?」
 そろそろ、毎回毎回、相手するのも疲れてきたなぁ。
「いや、今、あの塔に立て籠もっておるのは、たった一人の男なんじゃよ」
「え――?」
 ロマリア国軍を追い返し、盗賊行為をする輩が一人の男だという事実は、僕の心を大きく動揺させた。
 同時に、何か今までに感じたことのない予感を覚え、この話に乗ることを決めた自分が居た。

 前にも書いたかも分かりませんが、月読の話を少々。あやつ、超良家のお嬢様で、才能は日本トップレベル、金は持て余すほどあり、優雅だか何だか良く分からない趣味に注ぎ込む程の暇も持っています。ぶっちゃけて言うと、世間的なステータスは殆ど持ち合わせてると言って良いでしょう。

( ・ω・) これだけあると、逆に人間腐るという、風刺だったんだよ!

「ポルトガのぉ。大方、海鮮料理が目当てなんじゃろ。あれは絶品じゃ。儂も何十年か前に食べたきりじゃて、久々に食ってみたいのぉ」
 お爺さん、軽く冗談を言わないと、死んでしまう難病か何かなんですか。
「しかし、船を手に入れるのは容易ではないじゃろう」
 そして、何事も無かったように、話を本筋に戻さないで下さい。
「それでも、わたくし達は、今、世界で何が起きているか、この目で確かめなくてはなりませんの。その為には、自分の意志で動かせる船が不可欠なのですわ」
「言いたいことは分かるが、最近、海はすっかり危険になってのぉ。海洋国家ポルトガとはいえ、例外ではないのは知っての通りじゃ」
 そ、それは分かってるつもりなんだけど、足や馬を使って地続きで行ける場所は、旅の扉を使っても限られている。世界中を回っていて、且つルーラが使える人を探すのも手かも知れないけど、結局、ネクロゴンドへ足を踏み入れて帰って来た人は居ないだろう。何にしたって、船が無いといずれ手詰まりになるのは目に見えてるんだ。
「そもそも、お主達、金は持っておるのか? 小型で良いと言っても、世界を回れる船に船員となると、安くは無いぞい」
「そ、それは――」
 アリアハン国王から預かったお金は、数人を一年程度雇い入れるのが精一杯だ。船なんかには手が届きやしないし、後のことを考えれば無一文になるのも心もとない。
「アレル様は、どうなさいましたの?」
「え?」
 ちょっと待って。たしか兄さんは――。
「東方の国、バハラタに行って、黒胡椒と引き換えに船を貰ったはず――」
 手紙に書かれていた情報を、記憶の底から引きずり出した。
「それって、本当に黒胡椒なの? 何か凄く危ない粉だったりしない?」
 シス。人の身内の品格を、やたらめったに汚さないで欲しいんだけど。
「ひょひょひょ。分かりづらい話かも知れんが、東方では簡単に手に入る香辛料の類も、こちらでは数が少ないが故に高騰するんじゃ。魔物達が増えて、更に手に入りにくくなったしの」
「へー」
 ひょっとして、兄さんの真似をすれば、資金の面は心配なくなるかも――やっぱりとりあえず、ポルトガに行ってみよう。
「言っておくが、アレル殿の方法を倣うのは無理じゃぞ」
「な、何でですか」
「去年、アッサラームとバハラタを隔てる山脈近郊で、大規模な地震があっての。唯一あった地下道が埋まってしまったんじゃ。幸い、番をしとったドワーフは無事じゃったが、陸路であちらへ向かうのは、まず不可能じゃ」
「……」
 い、いや、だからこそですね。黒胡椒に莫大な値段が付いて、それで船を手に入れれば、バハラタへも向かえ――わー! 自分で考えてて良く分からない!



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