花粉症の季節です。頭が働きません。もう嫌です。甜茶を飲めば少しはマシになるんじゃ無いかというのに気付くのに、三日ほど掛かりました。
( ・ω・) 花粉症患者は一致団結して、秋の内に杉の樹を切り倒すしかない!
「なぁに。当面の問題が金なら、幾らでも手はあるもんじゃ」
「もしや、うちには莫大な隠し財産があったりしますの?」
「それじゃったら、若い頃に道楽して潰したわい」
この人達、本当に聖職者なの? ねぇ、問い詰めてみていい?
「まあ、それは冗談じゃが――」
全然、目が笑ってないせいで、信じていいものか分からない。
「世には、懸賞の掛かった仕事が幾らでもあるもんじゃ。大国家ロマリアであれば、尚更のぉ」
「懸賞!?」
自分の人生からは現実離れしたその単語に、思わず大声を出してしまった。
「肩慣らしにこんな仕事なんかどうじゃ」
そう言って、お爺さんは何処からとも無く紙の束を持ち出してきた。
「『迷い猫探して下さい。但し生け捕りに限る――』」
「お爺様、報酬が二十ゴールドでは、一泊の宿代くらいにしかなりませんわ」
「千件こなせば、もしかすると目標に届くかも分からんぞ」
幾らなんでも、そこまで遠回りする程、精神的な余裕は無い。
「腕試しを兼ねるんじゃったら、山賊退治の類もあるがのぉ」
ま、またですか。
「これなんかどうじゃ。『シャンパーニの塔に住み着いた賊を追い払って下さい』」
「シャンパーニの塔?」
あれ、何処かで聞いたことある様な――。
「もしかして、昔、カンダタが根城にしてたっていう?」
「ふむ。いかにもそのシャンパーニじゃ。これはスポンサーがロマリアじゃから、報酬も良いぞい」
「ロマリアが? カンダタの時といい、何で国軍を動かさないんですか」
大国家を自認している割に、情けない話だと思う。
「それが、何度か選抜隊を送ったらしいんじゃが、返り討ちになったらしいわい」
本当に、情けない話だったとは思わなかったなぁ。
「シャンパーニは、昔からそういう所ですわよね」
「うむ、どういう訳か、何度となく悪党共の巣窟になりおる。儂が産まれた頃から数えると、十回にはなるかの」
そんな塔、取り壊しなよって言ったら、何だか負けた気分になりそうなのは何故だろう。
「じゃが、今回の賊はこれまでとは一味違うぞい」
「全員、あたしみたいな義賊とか?」
そろそろ、毎回毎回、相手するのも疲れてきたなぁ。
「いや、今、あの塔に立て籠もっておるのは、たった一人の男なんじゃよ」
「え――?」
ロマリア国軍を追い返し、盗賊行為をする輩が一人の男だという事実は、僕の心を大きく動揺させた。
同時に、何か今までに感じたことのない予感を覚え、この話に乗ることを決めた自分が居た。
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