その昔、ドラクエ小説を書いていた方が後書きで、『事細かに描写してたら最初の洞窟に辿り着く辺りで一冊使ってしまう』的なことを書いておられました。こんな話を書いていると、言いたいことが何となく分かります。ちゃっちゃか進んでるようで、バラモスはまだまだ遠いなぁと思ってる訳で。
( ・ω・) いえ、セネレの方で、学園祭始まるまでに十五話使った言い訳じゃないです
「どう思われますの」
「どうって、何が?」
「シャンパーニの夜盗のことですわ」
僕達はロマリア勢力化の小村、カザーブに居た。アクアさんは夕食後、いつものトボけた表情のまま、そんな質問を口にした。
「んー……ありきたりで悪いけど、良く分からない、かな」
どうも、今回の話は、アリアハンの山賊辺りとは、訳が違う気がする。一つの根拠として、この村の人達が殆ど騒いでいないことがある。何だか、ロマリア城下で聞いた情報の方が大袈裟だった印象が強い。伝え聞いた話には尾ひれが付くっていうから、必然のことなのかも知れないけど。
「余り他国のことを言いたくないけどさ。ロマリアの王様はお調子者だって聞いてるから、国が動いているって言っても、無条件で信じない方が良いと思うし」
何でも兄さん、カンダタ討伐の褒賞で、短期間だけど王様の真似事をさせられたらしいんだよね。幾ら素性がはっきりしてるって言っても、他国の人間にホイホイそんなことをさせるなんて国王としてどうなんだろう。
「たしかに、王様はちょっと奔放な方かも知れませんわね」
「ロマリアに住んでたアクアさんでも、そう思うんだ」
「比較するのであれば、お爺様より上かも知れませんわ」
ちょっと待って。それは幾らなんでも、国家として危なすぎる気がしてならない。
「あたしとしても気になるところなんだよね~」
「何が?」
「一人で賊行為をするなんて、やっぱ相当の腕が無いと出来ないことだよ。場合に依っては、弟子入りも考えないとね」
とりあえず、シスの意見は聞かなかったことにしよう。
「何にしましても、全ては行ってみてからの話ですわ。自分の目で見て、その上で決断をするというのが、わたくし達には必要なことですの」
僕達はまだ、世界を知らない。アクアさんは少し旅をしていたが、それはロマリアからイシスに至る二国間程度の話で、後はアリアハンへ立ち寄ったくらいのものらしい。
父さんと兄さんを追い掛ける僕にとって、この世界はまだまだ広大で――立ち止まって、何もかもを放棄したい気分にもなる。
それでも、僕は歩くと決めたんだから、今は進み続けよう。
その先に何があるかはこの目で見極め、何をすべきかはこの頭で考え尽くす。それが僕達にとって、唯一の道なんだよね、きっと。
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