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 何か、カウンターさんが絶不調。まあ、目安なので良いと言えば、良いのですが。今更、レンタルサーバー内でのCGIに変えちゃおうかしらん。

( ・ω・) 正直、PVとIP数の間くらいの、微妙な数え方してくれるねん

「さぁて……何処から話したもんかな」
 男に促され、僕達は塔内の一室に場所を移していた。そこには、粗末な家具が幾つか置かれている以外に、大量の蔵書が収められていて、思わず圧倒されてしまう。
「まずは自己紹介ですわ。わたくしはアクア。ロマリア正教会の僧侶ですの」
「僕はアレク。職業は……勇者、かな。この女の子はシス。自称義賊ってことになってる」
 あ、ちなみにシスはまだ気を失ったまんまで、僕が担いでここまで連れてきたんだ。
「俺ぁ、クレインだ」
 言って男は、一つしかない椅子に腰掛けた。えーと、僕達は立ちっぱなしってことで良いのかな。
「何にしましても、お茶は出ませんの?」
「てめぇら、俺の客人か!?」
 あれだけ完膚なきまでに捻じ伏せられたのに、アクアさんは今日もアクアさんだった。
「とりあえず、あなたの素性から、かな。昔は傭兵だったというのに、何故あれだけ魔法を使えるのか辺りを」
「遡れば、俺ぁ、元々孤児でな。親の顔も、生まれた場所も知らねぇ。
 十歳くらいまでは孤児院で過ごしてたんだがな。そんくらいの時期に傭兵団に連れてかれたんだ。そっからは、世界の戦場を転戦する日々だな」
 ず、随分と重い過去をさらりと言うなぁ。
「まー、今思うと、そん頃の生活に不満は無かったな。一通り武芸なんかも仕込まれたが、一番の仕事は炊事なんかの後方支援だったんでな。問題は、その次だ」
「次?」
「団長の知り合いにメロニーヤって爺が居て、俺を譲り渡しやがったんだ。犬や猫じゃねぇってんだよ」
「メロ……ニーヤ?」
 あれ、何だか何処かで聞いたことがある様な。
「あぁ! もしかして、大賢者メロニーヤ!?」
「な、なんだぁ? 昼行灯みてぇな面して、いきなり目を輝かせやがって」
 だ、だって世界で三指に入るとまで言われる偉大な賢者様だよ?
「ってことは、クレインって、メロニーヤ様の弟子だったの!?」
 わぁ~、良いな、良いな~。魔法使いを志していた僕にとって、メロニーヤ様は、絶対に会ってみたい一人だ。
「それで、メロニーヤ様は今、どうしてるの?」
 世界がこんなことになってしまって、情報の伝達が極めて遅くなってしまっている。僕が知っているのは古い記録だけで、ここ数年の近況はさっぱりだ。
「てめぇ、俺がどうやってバラモス城に行ったか聞いてたな」
「う、うん」
 あれ? 僕の質問、完全に無視された?
「招待されたんだよ。表現の問題で、平たく言えば拉致だったんだがな」
「な、何で?」
 幾らメロニーヤ様の弟子と言っても、一魔法使いを個別に拉致なんかしてたら、キリが無い。
「用があったのは俺じゃねぇ、師匠の方だ。つまり、俺はついでだな」
「え――?」
 言われたことを把握するのに、数拍の間を必要とした。
「それって、つまり――」
「ああ、メロニーヤの爺は、バラモス城に囚われてる。生きてるかどうかも分からねぇ」
 余りの衝撃に、言葉が何も口から出てこなかった。そんな、そんなことって。

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 ちょっと古い話題ですが、朝青龍氏が決定戦の末、優勝しましたよね。あんだけ一部に嫌われながらも、視聴率と世間の関心はガッツリ奪う辺り、大したキャラクターだと思います。

( ・ω・) 新ジャンル、横綱ヒールってのはどうでしょう?

「バラモスってのは用心深い性格だからな。長命なのを良いことに、部下を使ってジワジワと侵攻させておいて、本人は城に引き籠もったまんまだ。こっちから出向かない限り、会うの無理だろうな」
「そんなバラモスに、あなたはどうやって――」
「だから、何でてめぇにそれを言わなきゃならねぇんだ」
 頑なに、この話題にだけは触れたがらない。稀少な情報だからなのか、或いは、他に理由があるのか。それでも、僕は食い下がる。
「只でとは、言わない」
「金なんざ要らねぇぞ」
「僕は、勇者オルテガの次子、そして勇者アレルの弟、アレクだ。僕が持つ情報の全てを渡すと言ったら?」
「あぁ?」
 正直、僕が持つ手札は、彼のそれと釣り合うものかは分からない。これは、駆け引きだ。彼が口を閉ざす可能性を狭めない為、最善の努力をする必要がある。
「これは、兄さんが僕に宛てて送ってきたものだ」
 そう言って、腰の道具袋から、件の宝珠を取り出した。
「アリアハンの宝石商が言うには、『今までに見たことが無い宝石』ってことらしい。血塗れで、しかも何の手紙も添えられずに送られてきたこれは、バラモス退治を志していた兄さんにとって、重要な意味を持っていたもののはずだと思う」
「ってことは何か。てめぇも結局、そいつが何なのか分かってねぇんじゃねぇか」
 そう攻められるのは、予想の内だった。
「だけど、この宝珠を持っているのは僕で、あなたではない。これが将来、重要な因子になるとすれば、あなたは手詰まりにならざるを得ない」
「甘ぇな。今、おめぇをぶん殴って奪っちまえば済む話だろうが」
「それは無いよ」
「あ?」
「あなたは、無抵抗の人から物を奪えるような人じゃない。敵と認識した人を攻撃は出来てもね」
 とりあえず、シスが意識を失ってて良かったなぁと、ちょっと思ってしまった。だって、絶対、茶々入れてくるもん。
「チッ……」
 僕の言葉を聞いて、男は小さく舌打ちした。そして口に手を当てて思案を巡らせる。
「仕方……ねぇか」
「話をしてくれる気になった?」
「少しだけ、な」
 よし、引き出せた。僕は、自分の口先がそれなりの結果を残せたことに安堵感を覚え、身体と精神が脱力するのを感じていた。

 戦国時代の女性の平均身長は、143cmくらいだったそうです。綾女の数字やん。

( ・ω・) タイムスリップすれば、紛れることも可能だ!

「バラモスを……倒す?」
 聞き間違いでは無いかと思えるその言葉に、僕はオウム返しに口を開いた。
「んだぁ? てめぇ、出来ねぇと思ってやがるな」
「う……」
 い、いや、僕も一応、最終目標はそこにあるんだけどさ。何か現実感が無いって言うか、ピンとこないって言うか。
「それは奇遇ですわね。わたくし達も、その為に旅を続けておりますのよ」
「あぁ?」
 たまに、アクアさんのその真っ直ぐなところが、凄く羨ましく感じる。本当、極々たまにだけど。
「冗談抜かすな。三人も居て、俺一人に捻じ伏せられる様な奴らに何が出来るってんだ。
 奴は、本物の化物だぞ」
 口振りに、違和を感じた。
「その言い方……バラモスに会ったことが、いや、戦ったことがあるの?」
「だったら、どうするってんだ」
 雷光が、全身を駆け巡ったみたいだった。こんなところで、そんな人に会えるなんて思わなかった。
「どうして――」
「あ?」
「どうして、生きてるの? あなたが言う、化物なんかと戦って」
「くっ――」
 男は歯噛みすると、杖を握る手に力を籠めた。
「それをてめぇに説明しなきゃならねぇ義理はねぇ」
「きっと、悪運が強かったのですわね。その様な顔をしておられますもの」
 アクアさん。聖職者なんだから、そこは神の加護があったって言っておこうよ。
「何にしても、だ。てめぇらが何処で何をしようと勝手だが、俺には関わるな」
 言って男は、アクアさんに突き付けていた理力の杖を下ろした。
「そうはいかない」
「んだと?」
「バラモスと戦い、その恐ろしさを知っている人が目の前に居るんだ。話を、聞かせて貰う」
 こんな機会は、そうそうあるもんじゃない。ここは絶対、退く訳にはいかない。
「閃きましたわ」
 不意に、アクアさんが、ポンと相槌を打った。
「バラモスに会ったことがあるのであれば、ルーラかキメラの翼を使えば、一気に本拠地へと、乗り込むことが出来ますわね」
 あ……。
「出来ねぇよ」
 しかし、男はアクアさんの提言を、あっさり否定した。
「バラモス城ってのはな、外界からの異物を排除する力が備わってやがるんだ。ルーラなんか使っても、弾き飛ばされるのがオチだぜ」
「あら、残念ですわ」
 だから、全然、実感が籠もってないって。
「しかも、外洋に繋がってない湖の中の島に建ってやがる。更にその水辺は簡単には越えられない山脈で囲まれて――普通じゃ考えられない地形だが、多分、魔力か何かでどうにかしたんだろうな」
 な、何て無茶苦茶な要塞なんだろうか。聞いただけで頭がクラクラしてくる。

 現在登場し、判明している職業纏め。オルテガ・アレル・アレク=勇者、シス=盗賊、アクア=僧侶。以上。

( ・ω・) ……全職業網羅は、まだまだ遠そうだ。

「ケッ」
 刹那、男は床を蹴ると、手にした杖の鞘を放り捨て、シスへと詰め寄った。
「わっ!?」
 斬撃一閃、両腕を交叉させ防御体制をとったシスを、壁際まで吹き飛ばした。
「はにゃ~……」
「シス!」
 あ、ああいうのから身を守るのは得意なはずだから、大丈夫だとは思うけど――。
「おらぁ!」
 追撃の矛先が、アクアさんに向いた。彼女は棍を両手で掲げ、頭を狙う一撃を防ごうとしたのだが、光り輝く切っ先が、柄の部分を真っ二つに寸断した。
「理力の杖、ですの……」
 体内の魔力を、物理的な攻撃力に転化する魔法の杖が何処かを掠めたのか、一筋の血が額から頬へと伝っていく。
「甘くみんなよ。俺ぁ傭兵上がりでな。魔法を封じられた位で戦えなくなるなんて鍛え方はしてねぇぜ」
「油断……しましたわ」
 首筋に切っ先を突きつけられ、アクアさんは搾り出すように声を出した。
「これ以上は言わねぇぜ。そこのボロ雑巾を連れて、とっとと帰りな」
 ボロ雑巾って……たしかに、現状を見る限り、否定しきれない部分があるけどさ。
「一つ、聞かせて欲しい」
「あぁ?」
 杖を握る手に力を籠めつつ、男は視線をこちらに向けてくる。
「あなたは一体、こんなところで何をしてるんですか」
「てめぇがそれを聞いて、どうしようって言うんだ」
「略奪行為をしていないあなたが、御尋ね者として、ロマリアから手配されている――充分に興味を惹かれることだと思いますが」
 それも、たった一人で、だ。
「お尋ね者だぁ?」
 し、知らなかったのか。見掛けと言動に依らず、意外と能天気な性格をしているのかも知れない。
「あー、そういや前、農家の奴に、権力を笠に好き放題してるロマリア兵を叩きのめしてくれって頼まれたことがあったな」
 食べ物を分けて貰ってる借りを、返しただけだと付け加えた。
「それで、逆恨みを?」
 だったら、手配書が回った理由も分からないこともない。
「さぁな。奴ら、何を考えてんのか、何度も随分な数を引き連れてきやがった。もちろん、全部、追い返してやったがな」
 さ、逆恨みってもんじゃない。これはもう、過剰防衛だ。
「てめぇら、その手合いじゃねぇのか?」
「あ~……」
「どちらかと言いますと、正義の味方ですわ」
「おい、このアマが何を言ってるか、説明しろ」
 アクアさんが何を言っているか今一つ分からないのは、僕も同じだから無理です。
「何がどうなってるか知らねぇが、俺ぁ、バラモスを倒す手段を考えねぇといけねぇから、んなことにかまけてる暇はねぇんだ。とっとと帰りやがれ」
「――」
 え?

 まあ、割と普通に思ったこと。アクアって、一応、表向きの職業は僧侶ですけど、半分くらいは遊び人ですよね。さりげなく、全編を通したら、全職業のキャラが出る様になれば良いなぁと思って書いてますが、アクアより遊び人度が高いキャラ……やべぇ、さりげに難易度高くないか。

( ・ω・) 最悪、公康みたいに滑り芸が得意という手で逃げてみせる!

『イオラ』
 再び、呪文を耳にした。それも、強力な爆裂魔法だ。急ぎ、声がした方を見遣ると、触れるだけで周囲を巻き込む光球が、こちらに飛んでくるのを視認する。
 わー! よ、避けなきゃ! で、でも壁が破壊されても巻き込まれるし、だからって直撃も――か、考えが全然、纏まらない!
『バギ』
 澄んだ声がした。それは、アクアさんが放った真空の魔法。
 え、炎ならともかく、純粋なエネルギーに近いあの球を、バギでどうしようと――。
「――ッ!」
 光球が、中空で炸裂した。その距離は僕達から相応に離れていて、爆風が駆け抜けていったけど、実害は被らなかった。一体、何が――。
「そうか。バギで生み出した風の流れで、壁の破片をぶつけたんだね」
「その通りですわ。イオ系の魔法は、術者の意志で爆発する瞬間を選べるものと、何かに当たった途端に起爆する二種類がありますの。今のそれは後者の誘爆型と判断しましたので、対処できると思いましたわ」
「……」
 ちょっと待って。ってことは、万一、承諾型だったら、普通にすり抜けてきたってこと?
 う、うん。結果として、無傷で済んだんだから、特に問題は無い……よね。
「チッ。トボけた面してる割に、戦い慣れてるアマが居るじゃねーか」
 何度となく耳にした呪文と、同じ声が聞こえた。振り返ってみると、そこには一人の男が立ち尽くしている。
 年齢で言うと、二十代半ばといったところだろうか。痩せぎすの体躯に薄汚れたローブを身に纏ってるけど、眼光だけは異常に鋭く、飢えた肉食獣の様な印象を覚えた。
「何が目的でこんなとこに来たか知らねぇがな。ここにゃ、宝なんか眠ってねぇから、とっとと帰れ。俺ぁ、忙しいんだ」
「またまたぁ。そんなこと言っちゃって。一人占めは良くないよ」
 シスの発言を意訳すると、『あたし以外の誰かがお宝を独占するなんて絶対に許さない』だよね。
「口で言って分からねぇなら、何発でも食らわせてやるぜ」
 言って男は、右手を差し出すと、次なる魔法の為、魔力を一点に集中し始める。
『マホトーン』
 先行する形で、アクアさんの魔法封じの音色が響いた。成功の証として、集まりかけていた魔力が霧散するのを知覚する。
「油断しましたわね。魔法さえ抑え込めば、自由にはさせませんわよ」
 おぉ、流石はアクアさん。一見すると昼行灯なのに、ここぞって時は何て頼もしい人なんだ。



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