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 アクアという名前は、『水の様に掴み所がない』から来ています。本当に脊椎動物かよという、あの精神の軟体さ。きっと水分含有率は赤子顔負けの80%を越えていることでしょう。

( ・ω・) まあ、当然のことながら後付けなんですけどね

「あらよっと」
 驚異的発掘技術で掘り起こしたその場所に、何か煌くものが埋まっていた。
 ん? まさか、本当に宝石なの?
「ほほぅ、これは中々」
 シスが取り出したそれは、大きさでいうと握り拳くらいだろうか。はっきりとは分からないけど、多分、紅く輝く宝石なんだと思う。本当に当たっちゃったよ……。
「ぐえっへっへ。これ、幾らくらいで売れるかなぁ」
 うん、ここまで下品な笑いをあげられると、むしろ清々しい気がするよ。
「はへ?」
「どしたの?」
「いあ、なんらかひらはいへど、ふちがらんらん、うおああう……」
 ちょ、ちょっと、ふら付いて、どうしちゃったのさ。
「はりゃ~……」
 その言葉を最後に、シスは全身を痙攣させ、その場に倒れ込んでしまう。
 えー、と。これって、どうしたら良いのかな。
「身体が、麻痺しておられますわね」
 シスの二の腕にそっと触れたアクアさんが、そう口にした。
「麻痺?」
 話には聞いたことがあるけど、これがそうなんだ。
「魔物の中には、キラービーの様に麻痺毒を持ち、攻撃と共に痺れさせてくるものも居ますの。これは、それと良く似た症状だと思われますわ」
「うん、それは聞いたことがある」
「ちなみに、仲間全員が痺れてしまいますと、そのまま魔物達に好き放題襲われ、ほぼ確実に全滅するという恐ろしい状態でもありますわ」
 そ、そういう脅しは、結構、心にくるなぁ。僕達、三人しか居ない小さなパーティだしさ。
「高位の魔物ともなりますと、焼け付く息といい、こちらの全員を対象とした麻痺攻撃を繰り出してくるものも居ると聞きますの。幸いにと申しますか、わたくしはまだ遭ったことはありませんわ」
「……」
 何か、凄く怖い話を聞いた気がする。
「それって、もしかしなくても、運が悪ければ一瞬で全員が戦えなくなるってこと?」
「ですの」
 や、やだなぁ。一人旅だった父さんとか、どうやって対処してたんだろう。兄さんだったら、『身体が言うことを聞かなくても、気合で動かせ』とか無茶言いそうだけどさ。

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 良くメインヒロインが一番人気の作品は少ないと言います。黄龍ちゃんの場合、メインヒロインって……武則天?

( ・ω・) うむ、この法則、当たってるやも知れぬな

「ですが、そうすると、一つの疑問が生まれますわ」
「って言うと?」
「もし本当に女王様がそう思われているのであれば、それを信じるだけの理由が無くてはなりませんわ」
「そっか」
 だけどそれは多分、死体が上がったなんて直接的なものじゃないと思う。だとすれば、人の口に戸は立てられない。エルフの誰かが知るところとなり、お爺さんにも伝わっただろう。
 きっと、女王様だけに分かる、暗号みたいなものがあったに違いない。
「推察だけで構築するのは、そろそろ厳しいかな」
 ここまで考えてきたことは、あくまで推論というか、悪く言ってしまえば妄想だ。根拠がある訳じゃない。
「ん? シス、何してるの?」
 そんな地面に這い蹲っちゃって。さっきの蛇ごっこの続き?
「いや、この墓、何か埋まってる気がしてさ」
「……」
 いや、この暗がりで、何でそんなこと分かるの? 魔法とかを越えた、超常的な力でも持ってる訳?
「掘り返して良い?」
「あのね、それは多分、お墓なんだよ」
 形式的なものかも知れないけど、君には畏れを抱く心とか無い訳?
「別に、問題ないのではありませんの?」
 ア、アクアさんまで。神職者がそんなこと言ったら、纏まるものも纏まらないじゃない。
「じゃ、多数決ってことで」
 言って、道具袋から何やら金属器を取り出して、その場を掘り始める。な、何があっても知らないからね。
「あれ?」
「今度は、どうしたの?」
「今、何か、カツーンって、硬い物がぶつかった様な?」
 ほ、骨とかじゃないよね。やだよ、そんなの。
「あたしの経験だと、宝石系の感触だね」
「分かるの? その金属器越しの感触で?」
 職人芸と言って差し支えないこの技は、そろそろ真っ当な道で使うことを考えても良い気がする。

 私は基本的にマスコミ不信のポジションで居ますが、その最大の要因は記者クラブ制度と押し紙制度です。何やねん、その情報の独占。何やねん、その徹底した下請け苛め。

( ・ω・) 少なくても、この二つの是正と公開が成されない限り、解消されることはないでしょう

「どなたか、ここで亡くなられましたの?」
「どなたかって……誰?」
 そもそも、この墓碑が作られた時期って、扉の仕掛けが作られた前? 後? それで随分と意味合いが変わってくると思うんだけど。
「ここに入ってこれるのがエルフであるという事実と、駆け落ちしたと言われる二人がここという二点から鑑みるに、その二人である可能性が濃厚と言わざるを得ないわね」
 な、何かシスが論理的っぽいこと言ってる。この洞窟、崩れてきたりしないよね?
「二人が、ここで死んだ?」
 それってつまり、入水自殺――ってか、心中したってこと?
「あたし、死んだなんて言ってないよ」
「ん?」
 シスの発言は、どんな時も難解だ。
「あたしが言ったのは、そのお墓が二人のかも知れないってだけ」
「いやいやいや」
 結局、死んだから墓が作られる訳で、殆ど同じ意味――。
「あ」
 一つのことに気付いた。
「そゆこと~。お墓ってのはあくまで、『その人が死んだと他人が思い込んだ時』に作られるものなの。死んだかどうかは、又、別の話ってこと」
 ほ、本当にシスらしくないくらい、まともな構築をしてる。どうしちゃったのさ、今日は。
「昔、墓暴きを何回かやったことあってさ~。開けられた形跡が無いのに中身空っぽのことも少なくなかったんだよね~」
 よ、良かった。こうでないと、やっぱりシスじゃないよね。
「それで、誰が死んだと思い込んだかってことなんだけど」
 墓碑の対象が、駆け落ちした二人と仮定すると、やっぱり、エルフの誰かってことになるのかな。ノアニールの人は殆ど寝てるし、お爺さんはここに寄ったこと無いっていうから、消去法でそうなるよね。
「エルフ側の身内って言うと――」
 あの、女王様だ。
「女王様は、二人が死んだと思っている?」
 本当に死んでいるかはともかく、彼女にとってそれが信じ込むに値すれば、それは真実となる。

 昨日、-keighさんとメッセをやっていた時の会話。K『ドラクエ3にメダパニってあんの?』M『アクアはこんらんした。だがふだんとあまりかわらなかった』

( ・ω・) 常日頃から、半分メダパニ掛かってるとまで言われてしまったよ

「うわっ……」
 恐る恐る潜った穴の向こう側には、風雅な光景が広がっていた。それは大自然が生み出した一つの奇跡、地底湖だった。仄かに光る壁面は、発色能力を持った苔か何かの為だろうか。月夜程度の明るさが幻想的にその場を浮かび上がらせていて、心の奥がジンとした。
「ん~。ここって、位置的に考えて、エルフの隠れ里の下くらいにあるんだよね?」
「うん?」
 そりゃ、地底湖なんだから、上下関係は大体の場合そうなるよね。地理的には……どうなんだろう。おおまかな地図は書き記してきたけど、地上との相関性は今一つ分からない。
「上にあったら、穴掘って水浸しに出来たんだけどな~」
 その水計、一体、誰が得するのさ。
「って言うか」
 この仕掛けは、一体、誰が作ったんだろう。こんな大掛かりなもの、一人や二人でどうにかなるとも思えないし、湖側からしか開けられないとすると、鍵となるのはこの穴の訳で。だけどこんなの、シスみたいな軟体動物ならともかく、普通に考えれば小さな子供か、メチャクチャ細身の人しか――。
「……細身?」
 自分で考えながら、一つの単語に引っ掛かりを感じた。
「もしかして、ここって、人間は無理でもエルフなら通れるんじゃない?」
「ですの?」
「何か、あたし、人間扱いされてなくない?」
 頭が通れば全身通るなんて猫みたいな真似する人は、むしろ人間扱いされない方が褒めてると思うんだ。
「ということは、この絡繰は、エルフのどなたがお作りになったと?」
「そう考えるべきなんじゃないかなぁ」
 何としても、人間をここにやりたくなかった。だけど、完全に封鎖してしまうのは忍びない。だから、自分達だけが通れる穴を掘り、内側からしか作動しない扉を構築した、と。
「ここまでする理由は、分からないけどね」
 この地底湖に、どんな秘密が隠されてるって言うんだろうか。
「ん? 何かあるよ」
 シスが指し示した場所には、握り拳ほども無い小さな石が、幾つも積み上げられていた。これってもしかして……墓碑?

 果てしなく今更な話ですが、中川元財務・金融大臣が、酔いどれ殺法で自爆しましたね。つーか、一服盛られたんじゃないのかと。酒か薬か真相は不明ですが、あんだけまともじゃない状態で記者会見を強行するって、普通の感覚じゃ考えられないことですよね。

( ・ω・) 私個人の妄想としては、財務官僚辺りが、目の上のタンコブを始末した感じですね

「シスー! すぐ戻ってきてー!」
「え~。何かちょっと明るくなってきたし、一回出てから考えるよ~」
「それじゃ遅いんだって。魔物が居たらどーすんのさ!?」
「ん~」
 いつもの様に、数拍の思考時間を経て――。
「まー、そん時に考えるってことで」
 だ~か~ら~! 何でそう、行き当たりばったりなのさ!
「うう……胃が痛くなってきた」
 何か、魔物達と戦うことより、この二人を相手にしてる方が疲れる気がする。
「ホイミでは、病気は治せませんので、御留意下さいね」
 この独特の間が一因だって、言い放ってしまいたい。
「ですが食あたりが原因でしたら、キアリーで緩和くらいは出来るやも知れませんわ」
 こんなところで、回復魔法の効用を勉強することになるとは思わなかったなぁ。
「二人共~、出れたよ~」
 そうこうしてる内に、シスはあちら側に出ていってしまったらしい。穴を介して、声が響いてくる。
「だ、大丈夫?」
 魔物の問題もそうだけど、断崖になってるとか、とても人間が入れる空間が無いとかさ。
「うん、何て言うか随分と綺麗なところだよ」
「綺麗って……」
 松明も無いのに、どうして見えるのさ。猫並の夜目が利くって言うの。
「ま、まあ良いや。とりあえず、紐に武器とか括りつけるね」
 基本というか、非常用の備えとして、シスの足首には紐を結わえ付けておいてある。えーと、鞭は通りそうで、後は予備の松明と火打石と――。
「あ」
「ど、どしたの?」
「何か、変なボタン押しちゃった」
「……」
 もーやだ、この展開。
「ん?」
 カチャカチャガタリ――。
「今、何か歯車的なものが動いた様な……?」
 に、逃げたい。逃げたいけど、シスを見捨てる訳にはいかないし――。
「ですの?」
 不意に、前方の壁がゴゴゴという音を出して動き始めた。幸いにして、その方向は下で、要は扉の一種と言って良いのかもしれない。
 て、手前に来なくて良かったなぁ。下手すれば圧死トラップなんて笑えないものだったかも知れないし。
「やっほ~」
 新たに誕生した洞穴の奥で、シスが能天気に手を振っている。こ、このお気楽さ、ちょっと羨ましくなってきた。



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