大昔のドラクエ3の鉄板パーティと言えば、戦士、勇者、僧侶、魔法使い(後に賢者)だったのですが、スーファミ版ではどうなんですかね。折角だから、そろそろ職業追加してリメイクしても良い頃なんじゃないでしょうか。リメイク商法に定評のあるスクエニですし。
( ・ω・) とはいえ、バランスブレイカーの新職業は勘弁ですけどね
「お帰りなさい、アレク」
「ただいま、母さん」
暗がりの中、母さんは玄関先まで出迎えてくれていた。
「あら、そちらの方は?」
「えーと、旅の僧侶さんらしくて、名前は――」
……あれ?
「わたくし、アクアと申します。ロマリア正教会に所属しておりますが、修行中の身で、見聞を広げる為、世界を回っておりますの」
アクアさん、か。と言うか、僕も、正式には自己紹介してないよね。会話で出てきてるから知ってるだろうけど。
「アレク、お前、名前も知らないお嬢さんを連れてきて――顔で選んだんじゃないだろうね」
コソコソ声で、僕の品位を落とす様な発言はやめてほしいなぁ。
「そういうところは、父さん似だわよねぇ」
今日、僕はそれを何回言われただろうか。そして今後、何回言われるのだろうか。
そして父さん、あなたは一体、どんな人だったのですか。
「それで、今晩、アクアさんを泊めたいんだけど良いかな?」
「構わないけど――部屋は別よね?」
母さんは僕に、一体、何を期待しているんだろうか。
何にしても、アクアさんにこの会話を聞かれてないと良いなぁと思いつつ、僕は家の門を潜った。
◇
「ほぅ、アッサラーム近郊で夜盗退治とな」
「えぇ、近頃は何処も、魔物達が増え、人々の心は乱れるばかりですの。この様な時にこそ主の愛を自覚せねばなりませんのに、本当、困ったものですわ」
さりげなく信者を増やそうとしている辺り、アクアさんってプロフェッショナルだと思う。
「いやはや、お嬢ちゃん、偉いもんじゃ。若いもんはこうでなくてはいかん。アレク。御主も名を馳せるんじゃぞ」
「う、うん」
「いやぁ、儂もあと三十、いや、二十若かったらのぉ」
爺ちゃんとアクアさんは、何処か波長が合うのか、妙に会話が盛り上がっていた。うん、分かった。父さんや僕が女性についてどうこう言われるのは、爺ちゃんの女好きが大本だ。
「アレク、おかわりは?」
「もうちょっとだけ貰うよ」
「はい」
母さんが渡してくれた皿を手に取り、野菜の煮物を口に運んだ。
「あ、そう言えば母さん。ルイーダさんの所に行ったんだけど、選ぶのにちょっと時間が掛かりそうだから、旅立ちが遅れることになると思う」
「そう。大事なことですものね。慌てることは無いと思うわ」
その言葉を口にした母さんの表情は、喜んでいるようにも物憂げにも見え、読み取ることが出来なかった。
「よし、若人達よ、眠るが良い。なぁに、今日が例えどんな日であろうとも、明日は何だかんだでやってくるもんじゃ。
この年まで生き抜いた儂が言うんじゃから間違いないわい」
「ははは……」
もしかして、バラモスが三十年早く世界に出ていたら、爺ちゃんが勇者として送り出されたんだろうか。そんな突拍子も無いことを思いながら、この日の夕食は散会となった。
◇
「う、ん……」
まどろみの中から、不意に意識が覚醒した。眠りが極端に浅かった気がするから、ほんの一刻も経っていないだろうか。やっぱり緊張してるのかな、僕。
「水でも飲もうっと」
そう決めて、半身を起こした。ふわぁ、何だか、頭と目が今一つしっくり来てないや。
「ん?」
ふと、居間から光が漏れていることに気付いた。母さん、まだ起きてるのかな?
「あ――」
そこには、神像を前に跪き祈りを捧げる母さんの姿があった。静かに、だけど想いを籠めているのが見て取れ、僕は思わず、息を飲んでしまう。
その先に在る人は、父さんか、兄さんか、或いは僕なのか。いや、きっと三人共なんだろう。
大丈夫だよ、母さん。父さんと兄さんは、僕が見付けて帰るから。そうしたら、ゆっくり家族で暮らそう。
心の中で一人ごちると、僕は踵を返して自分の部屋へ戻ることにした。
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