さて、本日より何を血迷ったか、ドラゴンクエスト3の二次創作を連載します。( ゚Д゚) という顔になったら俺の勝ちということで。理由らしいものは全く無く、まあ、言うなれば、いつもの『何となく』ですね。黄龍ちゃんだって何となく三年以上続いてるんだから、大した問題ではないのです。とりあえず、始めてしまえば何とかなる、これ、私のモットー。
( ・ω・) ブログなら(私の中で)準強制だから、嫌でも話が進むしね
十三年前、一人の男がアリアハンより旅立った。彼の名はオルテガ。かの地で比類なき武勇を誇った豪傑である。その目的は、天下に巣食う魔物達を掃討すること。そして、諸悪の根源たる魔王バラモスを、この世界から抹殺することである。
オルテガは、勇敢であった。各地で魔物達を打ち倒し、その名を轟かせた。
だが、終焉は突然に訪れた。魔王の本拠地と言われるネクロゴンド近郊での死闘で、その身を火山へと躍らせてしまったのだ。
世界の希望は、敢え無く最期の時を迎え、緩やかに破滅へと時計の針を動かすかと思われた。
だが、平和への意志が断たれた訳では無かった。
四年前、一人の男がアリアハンより旅立った。彼の名はアレル。勇者オルテガの長子である。齢十六にして父の魂を受け継いだ少年は、その精神を存分に知らしめた。各地で悪党やモンスター達をひれ伏し、旅は順調であるかの様に思えた。
ところが、彼の道も又、不可解な幕引きを迎えた。世界各地に散らばる伝説の宝珠、オーブを捜し求める最中、消息を絶ったのだ。
人々は落胆の感情と共に、アレルが生きていることを信じ、待ち続けた。だが時は無情に流れ、いつしか諦めの感情が心を支配する様になっていった。
そして現在、一人の少年がアリアハンより旅立とうとしている。彼の名はアレク。勇者オルデガの次子、即ちアレルの弟である。アレクも又、父や兄と同じく、バラモスを許せぬ心を持っていた。
しかしながら、父や兄とは一つ違う点があった。彼は剣技の心得が無い、魔法使いを志す少年だったのだ――。
◇
「兄さん……父さんって、どういう人だったの?」
夕暮れ時、城下町を見渡せる高台で、僕はそう問い掛けた。
「父さん、か。とても強い人だった。剣や魔法はもちろんだけど、全てに於いて、な。勇者の中の勇者って言われるのも、分かる気がする。
まー、俺もガキだったから良くは憶えてねーんだけどな」
アリアハンの英雄であり、僕達の父親でもあるオルテガが旅立った時、兄さんは七歳で、僕は二歳だった。僕にとってその思い出は余りにかすかで、霧が掛かったかの様に曖昧だ。
「父さんは、死んじゃったのかな?」
「さぁな。だけど心配するな。魔王バラモスは俺が倒す。それが、勇者オルテガの長男に生まれた、俺の使命だ」
「だったら、僕は兄さんを助けられる魔法使いになる。一杯、一杯、勉強するからさ」
「ああ……そうだな。アレクが大きくなったら、一緒にバラモスを倒そう。約束だ」
「うん!」
アレル兄さんが勇者を継ぐ者としてアリアハン国王に招かれたのは、それから二年後のことだった。
「兄さん!」
「大丈夫だよ、アレク。お前が大きくなる前に、俺がバラモスを倒してみせるさ。そんな心配そうな顔すんな」
「兄……さん」
「母さんと爺ちゃんを頼んだぞ」
「う……ん。分かったよ。兄さんが帰ってくるまで、僕がこの家を守るから!」
「ああ、それでこそ俺の弟だ」
そう言って、兄さんは幼馴染みのお姉さんと一緒に旅立っていった。
それから一年半、兄さんはキメラの翼を使って、何度と無く手紙を届けてくれた。世界の国々で出会った人達の話。新たに出会った仲間の話。カンダタっていう、何処か憎みきれない悪党の話。そして、魔王バラモスの本拠地、ネクロゴンドへ向かう方法についての話。
旅の全てが書かれている訳じゃなかったなかったけど、兄さんの無事が確認出来るだけで充分だった。五つも歳が離れてなければ一緒に行けたのにと思ったりもしたけど、僕はいつしか兄さんからの手紙を心待ちにする様になっていた。
だけど、ある日を境に、連絡が途絶えてしまった。動揺する僕に母さんは、『あの子も忙しいのよ。便りが無いのは無事の知らせでしょ』と言ってくれた。でも、僕以上に母さんの方が心配していた。
噂は、瞬く間にアリアハン国内に広がっていった。面と向かっては言われなかったけど、『オルテガに続いてアレルもか』と、たくさんの人が嘆いた。
兄さん、一体、何があったっていうんだ。長い文章なんて要らないから、一言、無事を報せてよ。
そして、更に半年後。キメラの翼は、僕達に便りをくれた。
それは、手紙じゃなかった。べったりと黒ずんだ、子猫程の大きさの球だった。それが血糊であると気付き拭き取ってみると、珠は紫色の輝きを放った。
これが、何を意味するのかは僕には分からない。だけど一つだけ言えることがある。僕が勇者としての旅立ちを期待され始めたのは、ちょうど、この頃からだった。
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