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「アレク……僕の名前は、アレク」
「アレク様。その御名前、心に刻ませて頂きます」
 あれ? 今、気付いたんだけど、これって武勇伝の一貫になっちゃうの? ある意味、悪名じゃない?
「ところでアレク様、夜も大分、更けて参りました。鳥達も、目を覚ます頃合でしょう。次を最後の勝負とさせて頂きたく思いますが、如何でしょうか」
「そっちがそれで良いなら」
 通常、賭け事の仁義として、勝っている方が終わりを申し出ることは出来ないものらしい。つまり手持ちの金が無くなるか、負けている方が降参するかの二つだ。当然、賭場の規模にも依るけど、お金が無限にある訳じゃない。ある程度を超えた場合、店を潰される可能性も鑑みて、引き際を設定するのも、妥当な判断と言えるだろう。
「だったら、ちょっと提案なんだけど」
「何で御座いましょうか」
「最後なんだったら、僕が賽を振っても良い?」
「アレク様が、で御座いますか?」
「うん、特別な勝負なんだから、特例ってことで。そしてディーラーさんが賭けられるのは、今まで僕が積み上げたチップの額までってことでどう?」
「おい、坊主」
 意外にも、この申し出に対し真っ先に声を掛けてきたのは、直接の関係は無いクレインだった。
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