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「ルールは知ってんのか?」
「ううん、全然」
「そうか。まあ、すぐ憶えられる」
 クレインの説明に依ると、この遊戯は六面体のサイコロを三つ用いるらしい。そしてその合計が、四から十を小として扱い、十一から十七ならば大になる。一番単純な決めでは、その大小を当てた場合、掛け金が二倍になるというものだ。ちなみに、一のゾロ目である三と、六のゾロ目である十八はどちらにも属さず、又、他のゾロ目が出ても掛け金は没収される。この部分がテラ銭に相当する。この二つのどちらかが出る確率は、六の三乗の内六回で、二百十六分の六、つまりは、三十六分の一で、三パーセントにも満たない。二割、三割を抜く容赦無いものも多いことを考えれば、随分と良心的なものと言えるだろう。あくまで、単純な確率だけの話なんだけど。
「合計値当てや、ゾロ目当てってのもあるんだが、とりあえずは無視してけ。分かってるみてぇだが、丁半博打と同じく、胴側に賽振りが居て、基本、好きな数を出せる。最終的には、その腹を読み合う争いになると思いな」
「了解」
 好きな目を出せるなら、ゾロ目ばかりを出して大小を外しても良い気がする。だけど、そういう露骨なことをすれば客は逃げるし、ゾロ目を当てられれば損失も大きい。結局、適度に散らしして、それなりに勝たせつつ、その上で、トータルで見たら賭場が潤う収支に持ち込むという神業が要求される訳だ。
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