「はい、丁方無いか、丁方――」 「コール。チップ、全賭けで」 「ああ、今日の稼ぎが、全て消えてしまった。またかみさんに怒られる……」 クレインに誘われ連れてこられた先は、鉄火場、つまりは場末の賭博場だった。 「何でまた、こんなところに……」 とりあえず、一つだけ言えることはある。素浪人というか、悪く言えばみすぼらしい格好のクレインは、こういう場所が良く似合う。 「貧乏旗本で奥さんを泣かせてても、余り違和感無いよね」 「てめぇは一体、何を言ってやがる」 「人間、見た目が思った以上に、重要なのかなって話」 実際、クレインと街中で擦れ違ったとしたら、目も合わせないだろうなって思うし。 「ってか、こういうところ、良く来るの?」 たしかクレインの経歴って、孤児院、傭兵団、メロニーヤ様のところでの修行だったよね。まあ、傭兵達って、宵越しの銭は持たない印象だし、たしなみの一貫なのかな。 「多分、違うこと考えてるだろうから言っておくがな。俺に博打を仕込んだのはメロニーヤの爺ぃだからな」 「……」 あ、今、ほんのちょっとだけ、メロニーヤ様に対する敬意の念が揺らいだ気がする。 PR |
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