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「それじゃ、入るわよ?」
 言ってお姉さんは、陶器製の器に三つの賽を放り入れ、カラカラカラと音を鳴らして、台の上に叩き置いた。今の動作で、狙った目が出せるとは思えないけれど、その道で食べている以上、それくらいはやってのけると仮定しよう。
 となると、この場合、ディーラー側は何を考えるかと言うと――。
「小に五ゴールド」
「大に七ゴールド」
「儂は小に十ゴールドと、ピンゾロに三ゴールドじゃわい」
 僕が思案している間にも、他のお客さんが次々と張りを決めていく。
「坊やは、最初は見かしらぁ?」
「ねぇ、お姉さん」
「うん?」
「ゾロ目にも、賭けられるんだよね?」
「ええ、ただ、三つの目が揃うゾロを言い当てたら三十倍、その数まで指定したら百八十倍よぉ」
「じゃあ、ゾロ目に十ゴールドで」
「本当にそれだけで良いのぉ? 大小はぁ?」
「構わないよ。ちょっと、勘に頼ってみたい気分だから」
 もちろん、勘だけでこんな分の悪いことを言い出したりはしない。ゾロ目が出る確率は三十六分の一に対して、戻しは三十倍だ。数指定した場合も、二百十六分の一に対して百八十倍だから、長く続ければ負けるだろう。それを分かった上で、何でそんなところに賭けたかと言うと――。
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