さて、何で人は詐欺にあってしまうのか。円天騒動を見ていると、人というものの業の深さというか、保身の強さというものを感じ入ってしまいます。
( ・ω・) 自分が理解出来ないことは手を出さない俺も、現場に居ると騙されるんですかねぇ
「……」
え?
「な、何でアクアさんが姉さんを知ってるのさ。あ、ひょっとして、兄さん達が立ち寄った時に会ったとか?」
それなら、理屈が通る気もする。文脈的には少し変だけど、アクアさんならしょうがないよね。
「いえ、アレル様達がロマリアに来られた時、わたくしは少々、遠出をしていましたから、直接の面識はありませんわ」
「えーと……」
じゃ、じゃあ、何でなのさ。姉さん、この街の誰もが知ってるくらいの伝説を残したっていうの?
「アレクさん、御存知ありませんの?」
「何を、さ」
あー、もう、何が何だか良く分からないよ。
「『黒髪のトウカ』と言えば、齢十三にして、アリアハン騎士団に敵無しとさえ言われた天才剣士ですのよ」
「そうなの?」
何だか凄い話が出た気もするんだけど、どうもピンと来ない。小さい頃、姉さんとチャンバラみたいなことはしたことあるけど、そんな時分に腕が分かるはずも無いし。そもそも、僕は年上相手に、一回も勝ったこと無かったんだよね。
「それにしましても、アレル様にトウカ様――たしかにそれは、四年前の時点でアリアハン最凶最悪の取り合わせですわね」
そんな、お腹を壊す食べ合わせみたいに言わなくても。
「ですが、その様な二人でもバラモスを倒すには至らなかった――少々、解せない部分ではありますわね」
「まあね」
トウカ姉さんの強さはさておいて、兄さんが行方不明っていうのが信じられない。例え大蛇に飲み込まれても、腹を掻っ捌いて出てくる様な人だったんだけどなぁ。
「もしかして、暗殺されたとかかな?」
「暗殺、ねぇ」
簡単に言うけど、消息不明になる為には、仲間達を纏めて抹殺しないといけない。一人でも残せば、何らかの手段で生死を伝えてくれるだろう。姉さんが凄腕だったという話を信用するなら、それこそ至難の話なんだと思う。
「唯、一つ言えるのは――」
色々と、昔のことを思い起こし、考えを巡らせても、変わらない想いはある。
「父さんと兄さんがどうなったのか、絶対に知りたいっていうのが、旅立ちを決めた根底にあるんだと思う」
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