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「わたくし、運には少し自信がありますの」
 あ、その雄姿は見えなくても、何処かの破戒僧の姿がくっきりと浮かんできたよ。
「アクアさん! 何してんのさ!」
 大声を上げて、注意をこちらに惹き付ける。その結果、川を塞き止めたかの様に道が出来て――僕はその細い隙間を、身体を横にすることで潜り抜けた。
「あら、アレクさん。奇遇なところでお会いしますの」
「うん、僕もこういうところにお邪魔するとは思ってなくてさ」
 何だか、和やかな会話になっちゃってるけど、店側は随分と苛立ってるんだろうなぁ。
「う~……あ~……」
「ところで、シスが何か、壊れちゃってる様に見えるんだけど、何があったの?」
「お小遣いを、あっさりと使い果たしたみたいですの」
 シス、ロマリアで、博打は胴が絶対に儲かるって言ってたはずなんだけどなぁ。まあ、あの時に言ってたみたいに、スリ行為に走らなかっただけ、まだマシかもね。
「それにしても、さ」
 アクアさんが積み上げたチップの山は、僕のそれと同等か、或いはちょっと大きいかも知れない。だけど、僕はちゃんと読み切って勝ったんだよ。強運で同じことを成せるって、何か凄く釈然としないんだけど。
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