「てめぇらの荷物は、それで全部か?」 「え?」 予期しない質問に、つい、間の抜けた声をあげてしまった。 「そう、だね」 旅人の基本として、嵩張るけど買い直しが出来る食料や寝袋なんかを宿に置いて、貴重品は常に携行してる。どっちにしても、今は宿に居る訳だし、そんな多い訳でも無いんだけどさ。 「それ持って、ちょっと外出ろや」 「か、賭けに負けたからって、力ずくで無かったことにするのは間違ってるよ?」 「どういう目で見てやがんだ!」 もし、その発言を本気でしてるなら、人生を考え直した方が良いと思うよ。 「とりあえず、言われた通りにしたけど」 「したら、三人で手を繋ぎな」 「はぁ?」 何を言っているかはさっぱりだけど、とりあえず近くに居たアクアさんの左手を――。 「それで、何でシスが横取りするみたいな勢いで僕の手を取ってる訳?」 「細かいことは気にしない~♪」 女の子の行動って、未だにさっぱり分からない。 『ルーラ』 「へ?」 頓狂な声を口にする間もなく、強烈な浮遊感が身を包んだ。あ、これって旅の扉のあれに似てて、何だかむず痒い様な、気持ちが悪い様な――。 って言うか、風を切る感覚が凄くて、目も開けられない。薄目の間から僅かに零れて来るのは、蒼色だ。だけどそれが海のものか空のものかさえ判別は付かなくて――。 PR |
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