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 ドラクエ1の世界ではベギラマは本来、雷撃なんだそうです。尚、3以降は、閃熱で統一されていたような。2は知らないです。これは、あの世界に於いてデイン系の雷撃魔法が、伝言ゲームをしてる内に、ベギラマという名に変わってしまったという裏設定があるとか無いとか。本当かどうかは知りません。

( ・ω・) これ程までに豪快な後付けであれば、むしろ清々しいというものだけどね!

「それにしても、こんなに長く船に乗るのは初めてだと聞いていましたが」
「そうですよ」
 ここまで、移動に用いてきた手段は、二本の脚にアリアハン-ロマリア間の旅の扉、それとルーラだけだ。アリアハンでは、小船で釣りに出たことがあるくらいで、数日間も乗りっぱなしというのは、正真正銘、今回が初めてだ。
「誰一人酔いもしないとは、面白くありませんね。初心者が今にも死にそうな顔で潰れるのが、伝統みたいなものだというのに」
「ははは」
 何ですか、その、分かり易いけど悪趣味な風習は。
「まあ、こういうの昔から強かったですから」
 シスは仮にも盗賊だから、平衡感覚が優れてるんだろう。アクアさんは、ほら、陸でも酔ってるみたいな人だし、このくらいどうってこと無いんでしょ。
「それにしても、カードゲームとは宜しいですな。いえいえ。船旅とは、順調な内は退屈なもの。暇を潰すにはもってこいと言えましょう」
「えーと、お時間あるんでしたら、混ざります?」
「ほほぉ、そうですか。お誘いを断るというのも失礼に当たりましょう。ささ、今はどなたが親で?」
 あれだけ露骨に催促しときながら、この態度だ。全く以って、大人の対応だなぁ。
「一応、ちょっとは賭けてますけど、低レートですから、イカサマに気を揉む必要は無いですよ」
 本当、百連勝して御飯一回くらいの額だから、人間関係がこじれるリスク背負ってまでズルする人は居ないはずだ。
「御心配無く。私は、勝負に関しては清廉潔白ですから。女性関係は、ドロドロしていますけどね」
 誰も聞いてないと思うんだけど、ま、深く考えるのはやめておこうっと。

 ちなみに、僕とアクアさんを相手にする格好になった船長だけど、その戦果は――名誉の為に、伏せておこうかな。

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 オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞したそうですが、世界一の軍事国家の長が平和賞とか、高度なギャグかと。え? イグノーベル賞の間違いでしょ?

( ・ω・) まあ、ノーベル賞自体、ダイナマイトのノーベルさんが作った賞だしなぁ

「バラモス軍について、知ってることがあれば教えて下さい」
 ここまで、僕達は魔物達の相手を散発的にしか行ってこなかった。だから、彼らの組織がどの様な形態になっているのか、おぼろげにさえ知らない。折角、世界を知る人と親交を持てたんだから、話は聞いておくべきだよね。
「ふーむ、私の知っている限りでは、トップにバラモスが居るらしいです」
「それは知ってます」
 むしろ、バラモス軍を名乗っておきながら、別に黒幕が居たらそっちの方が驚きです。
「後は、幹部級の奴らが、数人居ると聞いています」
「幹部?」
「ええ。魔王軍は、魔王バラモスを頂点に据えたピラミッド状の組織ですから。当然、バラモス直下には、幾らか見劣りするものの、私達から見れば雲上とも言える高位の魔物が何体も居るとのこと。かの者達は実働部隊として、各国に侵出しつつあるらしいですよ」
「具体的には、どの国に、どんなモンスターが?」
「それについては、存じません」
「……」
 相変わらず、肝心なところが欠如してる情報だなぁ。
「幹部、ねぇ」
 言葉にすると一言だけれど、どうにもピンと来ない。少なくても、海の男達の食料と化した大王イカよりは強いんだろうねぇ。
 クレインや、大賢者であるメロニーヤ様と比べたらどうなんだろうか。
 そして、僕達が対峙したら一体――うん、暗闇で背後から数人掛かりで襲い掛かれば、運次第では勝てるかも知れないよね。
 相変わらず、勇者とは程遠い発想をする自分が居た。

 あ、ありのままに起こったことを話すぜ。歯の健康と頭脳活性を目論んで、ガムを噛み始めたら、銀歯がポロリと取れた。な、何を言ってるかわからねーと思うが、俺も何をされたか分からなかった。虫歯になる薬だの、コンビニより多い歯科病院なんてチャチなもんじゃねー、もっと恐ろしいもんの片鱗を味わったぜ。

( ・ω・) まあ、四、五年ひっついてたんだから、こんなもんって感じもしますけどね

「ええ。何とか配置も完了しましたので、急な天候の崩れや魔物の襲撃が無い限り、大丈夫でしょう」
 言って、船長は空いた椅子に腰を掛けた。
 さて、と。色々と話したいことはあるけど、先ずは――。
「オーブって、何なんですか?」
 ここから始めないと、どうにもならない。
「ふーむ。私も、件の友人から少し聞いただけなのですが、何でも勇者アレル一行は、そのオーブという珠玉を見つける為、世界を回って居たそうです」
「兄さんが?」
「そのことが魔王バラモスを倒すことにつながるという話でした」
 どういうことなんだろう。この、ぱっと見は只の大きな宝石にしか見えない宝珠と、打倒バラモスに何の繋がりがあるんだろうか。
「それは、どういった因果関係で?」
「さぁ、そこまではちょっと」
「じゃあ、オーブっていうのは、これ一つだけなんですか? それとも、幾つかあるんですか? だとしたら何個――」
「それも、分かりかねます」
「……」
 微妙に、役に立つんだか立たないんだか、良く分からない情報だなぁ。
「だけど、オーブか」
 兄さん達が、何の目的でこの玉を求めていたかは分からない。だけど、これを追い続けていれば、接点が見出せるかも知れない。それが分かっただけでも、価値があったかな。
「他に、何か聞きたいことは?」
 えーっと、そうだなぁ。
「船長は、かつて世界を巡っていたんですよね?」
「あの頃の私は、本当に輝いていました。この船旅は、全盛期の私を取り戻し、乗り越える為のものなのです」
 いえいえ。そんな船長の自己陶酔は、この際どうでも良いですから。

 アレク君のスペックについてちょこっと考えてみた。基本能力は、魔法使い七割、勇者三割くらい。小賢しいくらいに頭は回るけど、度胸については何か流動的。剣は御存知の通り、あまり得意ではない。攻撃魔法の方が得意だけど、一応、勇者だから、基本的な回復魔法も使えるよ、っと。

( ・ω・) あれ、これってつまり、劣化賢者……?

「野郎共、敵は大王イカだ! 構うこたぁねぇ。十本足を八つ裂きにして、晩飯のおかずにしてやれ!」
「ヒャッホォォ。調味液に漬けて、ウマウマと内臓まで味わってくれるわ」
「日干しにすると、酒のツマミに最高なんだぜ」
 前略、兄さん。勇者なのに、何故だか戦闘での出番がありません。
「ブヒョー。このヌメりつく触手の感触、最高だぜー」
 そして、海の男には変人が多いと聞きますけど、どうやら真実だったみたいです。
「って言うか、大王イカって食べられるの? エースのスリーカード」
「アリアハンじゃ、あんま聞かないけどね。二と七のツーペア」
「地方に依っては、海の男の貴重な嗜好品と聞いたことがありますの。ジャックとクイーンのフルハウスですの」
「だー、また負けたー」
 結論。場末の鉄火場くらいでなら通用する僕の博徒としての才能も、絶対的な強運の前では何の役にも立たないみたい。
「ふー。軟体生物のくせに、手こずらせてくれやがったぜー」
「だが、この触感だけはやめられねぇ。戦闘を、他人に譲るなんて出来るかってんだ」
「うみゃー。うみゃーよ、このゲソ。たまらねぇ」
 いや、こんなこと言ってるけど、皆、結構、気の良い人達なんだよ? 戦闘中はちょっと人格おかしくなるけど。
「やぁ、坊や達。お騒がせしてしまったけど、被害は無かったかい?」
 何て言うか、勇者のプライドという意味でしたら、もうズタズタです。
「それはともかくとして、船長。今日は時間ありますか?」
 出航して数日、幸運なことに天気は良かったから航海は順風だった。と言っても、ブランクが長かったり、初対面の人が多い関係でアントニオ船長は忙殺されて、これまでゆっくり話す暇なんて取れなかったんだ。

 聞くところに依ると、政府は来年度予算で、赤字国債を発行する方向で調整しているとのことです。えー、無駄撤廃で、財源は十ウン兆も捻り出せるんじゃないんですかー。一体、どんな超論理を用意してるのか、今から楽しみというものです。

( ・ω・) いや、予算法案論議前に、鳩ちゃんが退陣するんじゃないかって専らの噂だけどね

 三日後――ポルトガ王国第三埠頭にて。
「それじゃ、クワットさん、行ってきます」
「ええ、良き航海を。そして願わくば、良き戦果を」
 ここ数日で、この、期待に満ちた顔を軽く受け流せるくらいにはなっていた。うん、これが大人の階段って奴だよね。
「例の件、宜しくお願いします」
「分かっています。アレル殿、並びにその仲間の消息を知り得ることが出来たのなら、お伝えしますよ」
 当然のことながら、大商人にであるクワットさんの情報網は、一介の旅人である僕達を遥かに上回る。色々と考えたけれど、今、優先すべきことの一つは、兄さん達の消息だ。ここまで来たら、とことんまで甘えてしまおう。
「何から何まで、お世話になります」
「ふむ。商人に対する礼は、言葉を用いなくて結構。常に利でお返し頂きたいね」
「ハハ……」
 何だか、ここまで本音で喋られると、一回りして好感が持てるから不思議だ。
「あ、そうだ」
 準備やらが立て込んでいたせいで、一つ、聞き忘れていたことがあった。
「この宝珠、何だか分かりますか?」
 兄さんから受け継いだ血濡れの宝珠――若干、見せるのを躊躇う気持ちがあったのは事実だけど、ここまで来たら、腹を括るしかない。
「ほぉ、これは食指が動かされるものですな。見たところ、極上の宝石を遥かに上回る価値があるようです。どうです、一億ゴールドで譲ってみませんか?」
「……」
 やっぱり、見せたの間違いだったかなぁ……。
「冗談ですよ」
 いやいや。幾ら僕が子供でも、本気と冗談の目くらい見分けつきますから。
「お、おい、それ――」
 あれ? アントニオ船長、そんなに慌ててどうしたの?
「もしかして、オーブって奴じゃないのか?」
「オーブ?」
 船長の言葉に、小さく反応する僕の心臓。この遣り取りが、これからの僕達に大きな影響を与えるだなんて、まだ、この時は気付いてなかったんだ。



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