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 聞くところに依ると、政府は来年度予算で、赤字国債を発行する方向で調整しているとのことです。えー、無駄撤廃で、財源は十ウン兆も捻り出せるんじゃないんですかー。一体、どんな超論理を用意してるのか、今から楽しみというものです。

( ・ω・) いや、予算法案論議前に、鳩ちゃんが退陣するんじゃないかって専らの噂だけどね

 三日後――ポルトガ王国第三埠頭にて。
「それじゃ、クワットさん、行ってきます」
「ええ、良き航海を。そして願わくば、良き戦果を」
 ここ数日で、この、期待に満ちた顔を軽く受け流せるくらいにはなっていた。うん、これが大人の階段って奴だよね。
「例の件、宜しくお願いします」
「分かっています。アレル殿、並びにその仲間の消息を知り得ることが出来たのなら、お伝えしますよ」
 当然のことながら、大商人にであるクワットさんの情報網は、一介の旅人である僕達を遥かに上回る。色々と考えたけれど、今、優先すべきことの一つは、兄さん達の消息だ。ここまで来たら、とことんまで甘えてしまおう。
「何から何まで、お世話になります」
「ふむ。商人に対する礼は、言葉を用いなくて結構。常に利でお返し頂きたいね」
「ハハ……」
 何だか、ここまで本音で喋られると、一回りして好感が持てるから不思議だ。
「あ、そうだ」
 準備やらが立て込んでいたせいで、一つ、聞き忘れていたことがあった。
「この宝珠、何だか分かりますか?」
 兄さんから受け継いだ血濡れの宝珠――若干、見せるのを躊躇う気持ちがあったのは事実だけど、ここまで来たら、腹を括るしかない。
「ほぉ、これは食指が動かされるものですな。見たところ、極上の宝石を遥かに上回る価値があるようです。どうです、一億ゴールドで譲ってみませんか?」
「……」
 やっぱり、見せたの間違いだったかなぁ……。
「冗談ですよ」
 いやいや。幾ら僕が子供でも、本気と冗談の目くらい見分けつきますから。
「お、おい、それ――」
 あれ? アントニオ船長、そんなに慌ててどうしたの?
「もしかして、オーブって奴じゃないのか?」
「オーブ?」
 船長の言葉に、小さく反応する僕の心臓。この遣り取りが、これからの僕達に大きな影響を与えるだなんて、まだ、この時は気付いてなかったんだ。

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