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 アレク君のスペックについてちょこっと考えてみた。基本能力は、魔法使い七割、勇者三割くらい。小賢しいくらいに頭は回るけど、度胸については何か流動的。剣は御存知の通り、あまり得意ではない。攻撃魔法の方が得意だけど、一応、勇者だから、基本的な回復魔法も使えるよ、っと。

( ・ω・) あれ、これってつまり、劣化賢者……?

「野郎共、敵は大王イカだ! 構うこたぁねぇ。十本足を八つ裂きにして、晩飯のおかずにしてやれ!」
「ヒャッホォォ。調味液に漬けて、ウマウマと内臓まで味わってくれるわ」
「日干しにすると、酒のツマミに最高なんだぜ」
 前略、兄さん。勇者なのに、何故だか戦闘での出番がありません。
「ブヒョー。このヌメりつく触手の感触、最高だぜー」
 そして、海の男には変人が多いと聞きますけど、どうやら真実だったみたいです。
「って言うか、大王イカって食べられるの? エースのスリーカード」
「アリアハンじゃ、あんま聞かないけどね。二と七のツーペア」
「地方に依っては、海の男の貴重な嗜好品と聞いたことがありますの。ジャックとクイーンのフルハウスですの」
「だー、また負けたー」
 結論。場末の鉄火場くらいでなら通用する僕の博徒としての才能も、絶対的な強運の前では何の役にも立たないみたい。
「ふー。軟体生物のくせに、手こずらせてくれやがったぜー」
「だが、この触感だけはやめられねぇ。戦闘を、他人に譲るなんて出来るかってんだ」
「うみゃー。うみゃーよ、このゲソ。たまらねぇ」
 いや、こんなこと言ってるけど、皆、結構、気の良い人達なんだよ? 戦闘中はちょっと人格おかしくなるけど。
「やぁ、坊や達。お騒がせしてしまったけど、被害は無かったかい?」
 何て言うか、勇者のプライドという意味でしたら、もうズタズタです。
「それはともかくとして、船長。今日は時間ありますか?」
 出航して数日、幸運なことに天気は良かったから航海は順風だった。と言っても、ブランクが長かったり、初対面の人が多い関係でアントニオ船長は忙殺されて、これまでゆっくり話す暇なんて取れなかったんだ。

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