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 今更ですが、『ネクスト大臣』とは一体、何だったのか。あれって、民主党が政権獲った暁には、大臣にするって公約みたいなものだと思ってましたし、実際、そうだと思ってる人も多いと思います。あくまで、民主党内での、『担当人材』に過ぎないなら、『ネクスト』なんて名前付けるのはどうなんでしょうか。まだ全部決まった訳でもないんですが、内定してるらしいのが幾つらあるらしいですし。

( ・ω・) まあ、政治なんて騙し合い化かし合いだろと言われたら、反論しようがないんですがね

「結論から言いましょう。アレクさん。私が所有する船に乗って、世界へと飛び立ちませんか?」
「……」
 ぶー!
「わ、汚いなぁ。お茶吹かないでよ」
 僕だって、まさかこんなベタなリアクションとることになるなんて思わなかったよ。
「い、いきなりの話で、少し頭が混乱してるんですが」
「そういう時は、パーティアタックが基本ですの」
「ほぉ。それでは仕方ありませんな。これでも若かりし頃は丁稚として鍛え上げたこの肉体。勇者殿に向けることが出来るとは、ある種、光栄というものです」
 わ、わー! 正気になりましたから! そんな筋肉を見せ付けて腕を振り回さないで!
「あたしが鞭で打てば良かった?」
 又しても話が逸れてるから! はい、元に戻すよ!
「僕達に船って――」
「ええ。先ほど、奇貨の話をしましたでしょう?」
「それは、別大陸や未交易国家での、新しい商材の話ですよね?」
「おやおや。どうやら、少し行き違いがありましたか」
 ん? 僕、何か間違ってた?
「私の言う奇貨とは、貴方達のことですよ」
「……?」
 その言葉が耳に入って理解するまでが約七秒。思考することおよそ十秒。何だかもやもやした感情が心を流れること十秒強。計三十秒程の沈黙の後、僕がとった行動は――。
「は?」
 瞬間的にとったものと、大差無いものだった。
「投資とは、物に対して行われるものだと思われがちですが、将来、益となる人材であると判断すれば、惜しみなく注ぎ込みます。尤も、人を見る目と自身の器が無いと、あっさりと裏切られて無為と化しますがね」
 あ、あれ。又しても、商売の基礎知識に話が移ってない?

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 『それゆけ黄龍ちゃん!』は社会風刺作品であるという評価を時たま頂くのですが、書いた本人は『へー、そうだったのか』というリアクションに落ち着きます。何か、ピンと来ない部分があります。基本、あれは、ダメな奴らの観察日記みたいなスタンスで書いてるもので。そういう意味で、人間風刺作品というのなら、納得出来る部分も多いのですが。

( ・ω・) 人間は何で同じ過ちを犯すのかというテーマは、奥深いと思いますけどね

「更に言うのであれば、船をアレル殿に渡したこと自体は、それ程の問題でも無いと考えている」
「は?」
 ついさっきの怒り様は何処へ行ったのか。そろそろ、頭が付いてこなくなってきたよ。
「たしかに、この御時世、黒胡椒と引き換えに船を与えたことは断罪されるべきでありましょう。だが、勇者を相手にしたという点に於いては、むしろ評価すべきさえとも考えます」
「詰まるところ、纏めると――」
「王が勇者と認めたのであれば、然るべき手続きの後、与えるのも良いでしょう。その時は私の様な者に糾弾されるやも知れませんが、後に彼らが世界を平和にすれば、それを補って余りある名声を、ポルトガという国家が享受することが出来る訳ですから、一種の投資とも言えます。
 ですが、黒胡椒と交換などという条件を持ち出すから、王の見識を疑われるのです。それではあくまで、対価としての船となり、勇者という人物を見抜いた評価はなされない。それでは、意味が無いでしょう?」
 成程、ね。単純に船を相場通り売買するってだけじゃなくて、将来、どれだけの見返りがあるかまで考えろってことか。商人的発想というのも、これはこれで奥深いみたい。
「当時、クワットさんが王の立場にあったら、兄さんに只で船を与えたってことですか?」
「それは分かりかねます。間が悪いことに、その時期はちょうどイシスで買い付けをしておりました故、勇者アレルに直接は会っていないのです。私は、自分の目で見たものしか信じない主義なもので、判断材料が足りません」
 あらら。
「じゃあ、兄さんがポルトガの後、何処に行ったかも知りませんね?」
「ええ、生憎と」
 それは残念。ちょっとくらい手掛かりを得られるかと思ったのに。
「ですが本日、勇者アレクと出会うことが出来た。何という素晴らしいことでしょうか」
「……」
 はい?

 たしか、鳩山代表のテレビニュースを見ていた時だったと思うんですが、何かのコメントで、『ふに落ちない』ってテロップが出たんですよ。『腑に落ちない』なんて漢字では表記されませんからね。『ふに落ちない』です。鳩がふに、鳩がふにって――。

( ・ω・) 俺はもう、末期かも分からんね

「商道の言葉の一つに、『奇貨』というものがあります」
「きか……?」
「商売の基本は大まかに四つあります。一つは八百屋や魚屋の様に、生産地と売り捌く土地での相場の差額で儲けるもの。
 一つは、鍛冶屋や調理師の様に、物品に付加価値を加えるもの。
 一つは宿屋や酒場の様に、場を提供するなどのサービス料を収入とするもの。
 最後の一つは、将来的に需要が高まりそうなものに先行投資し、価値が上がったところで回収するものです。
 現実的にはそれぞれ複合している面があるので、単純に分類化は難しいのですがね」
 あれ? 僕、クワットさんに商売を教わりに来たんだっけ?
「奇貨というのは、四つ目の、将来、値が値が跳ね上がりそうなものの中でも、特に際立った可能性を秘めたものを指します。
 成程、たしかに現状、世界を回ることは危険でしょう。ですがそれ故に、困難を乗り越えて手に入れたものは価値があるのですよ。貴方のお兄さんが、黒胡椒を持ち帰った一件の様にね」
「――!」
 薄々勘付いていたとはいえ、実際、面と向かって言われると心臓が小さく跳ね上がってしまう。
「知って、いたんですか?」
「ええ、商売人にとって情報は生命線ですからね。こと人の出入りに関して、私の右に出る者はポルトガに居るかどうか――」
 又してもさらりと、国王以上の力を持ってるって言ってるよね。
「とはいえ勘違いしないで頂きたい。私は何もあなたや、お兄さんである勇者アレルを糾弾しようというのではありません。あれはあくまで、愚かな王の失態であり、求めた方に落度などないのだから」
「はぁ」
 どうもこういう政治的事情って奴は、今一つ飲み込めない部分がある。

 ドラクエと言えば、基本、中古品は25%引きでの買取が相場です。一部例外もありますが。しかし、モンスターをグチャグチャに切り裂きまくったものだろうと、ムサいオッサンが着込んだものだろうと、未使用の新古品だろうと同額とは――何やら、利権の匂いがしますな。

( ・ω・) ゲームシステム上しょうがないだろと、マジレスをしてはいけません

「でも、本当、何が起こるか分からない時代ですし、いざって時の為に一つくらい秘蔵してたり――」
「暗愚な王が、そんなことをするとでも?」
 わーい、バッサリと、切り捨てられたよぉ。
「繰り返す様ですが、ポルトガに、国家所属の遠洋航海船は存在しません」
 ふー、参ったなぁ。じゃあ、王様に会いに行っても、何の意味も――。
「……」
 ん?
「『国家所属』の?」
「ほぉ、気付かれましたか」
 いやいや。あれだけ念入りに強調されれば、誰だって――。
「ねぇねぇ、どゆこと?」
「……」
 訂正。ちょっと勘が働けば、気付くことだよね。
「つまり、民間団体、或いは個人所有のものだったら、あるってことですよね」
「御明察の通りです。いやはや、話の通りが良くて助かりますな」
 半分以上はお世辞なんだろうけど、褒められると嬉しいのは人間としてしょうがないよね。
「実は私、ロマリアやイシスといった、内海を中心とした交易で財を成させて頂いたのです。昨今は治安の悪化で、滞りがちになっていますがね」
「はい」
「そこで私達は考えたのです。この様な時代だからこそ、大陸間航海は金の匂いがする、と」
「……」
 あ、あれ、今の論法、すんなり受け入れられた様で、感覚的に凄い違和感が?
「えっと、クワットさんは、近海貿易で成功したんですよね?」
「ええ」
「だけど、魔物達が増えて、今は余りスムーズにいっていない」
「その通りです」
「何で更に危険が大きい、遠洋航海なんかに?」
 順序立てて、ようやく理解できた。航海期間が伸びれば、当然のことながら危険性は増す。今の時代、文字通り生きて帰って来る方が難しいだろう。こんな中で、わざわざ旅立とうなんて、言葉は悪いけど、正気の沙汰じゃない。いや、僕達が言って良いことかは分からないんだけどさ。

 この度、クワットさんの登場に依り、商人枠が一つ埋ったということで良いんですかね。思い付きで生まれたキャラですが。しかし、ドラクエ世界に於ける商人って、商売人なのに何で旅をしてるんでしょうか。トルネコさんはそれなりの理由がありましたが。やっぱり、世界の面白グッズを探すのが目的なんでしょうかね。

( ・ω・) ラスボス決戦後、そこにはレアアイテムを店頭に並べる商人の姿が!

「あらあら。世界の魔物達や盗賊を懲らしめる旅をしているんですか。それは大変ですね~」
 僕達はクワットさんのお宅――というか、殆どお屋敷って感じだったけど、その客間で奥さんと共にお茶を頂いていた。何にしてもこの奥さん、物凄くアクアさんと波長が合いそうなんだけど、勘違いじゃないよね?
「お茶の美味しい昼下がりというのは、本当に幸せの一時ですの」
「あら、話が合いますわね」
「……」
 まあ、本人達は満足みたいだし、余り触れないでおいてあげるのが親切だよね。
「う~ん。こういう悪どく儲けてそうな家見ると、本業の性が疼くなぁ」
 はいはい。いつものことだから軽く流してあげるけど、家主を目の前にして言うのは、本格的にマズいと思うよ。
「それで、アレクさん」
「あ、はい」
 クワットさんに声を掛けられ、僕達はそちらに向き直った。
「結論から言いますと、現状、ポルトガ王国は、大陸間移動に耐えられる船を保有しておりません」
「……」
 いやいやいや、ここって、世界的に有名な海洋国家ポルトガだよね? そんな、船が無いとかありえないでしょ。
「真面目な話、三年前の時点でしたら、それなりの艦数を保有していました。それこそ、行きずりの冒険者に一つくらい分け与えても、問題視されない程にね」
 もしかしてクワットさん、僕の正体に気付いてない?
「だが二年前、魔王軍と大規模な海戦があってね。王国軍は辛勝を収めたものの、半壊状態となってしまった。国の守りを削る訳にはいかないこともあって、国家保有の貿易船は、全て軍用への転換を余儀なくされた訳だ。強引な武装改造が仇となって移動速度は望めず、結果、近海に配置するだけになってしまったのですよ」
 成程。とりあえず、現状は飲み込めたよ。
「くーくー……」
 うん、この際だし、シスは話についてこなくていいかな。



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