時は戦国。かの尾張の山猿、豊臣秀吉が天下をその手に握りかけていた頃のお話。後の征夷大将軍徳川家康は、豊臣家に臣従することを拒み、信長の息子信雄を立て、『織田家領土は信雄のもの』という大義名分の下、戦いを挑むこととあいなりました。いわゆる小牧長久手の戦いでありますでごんす。何しろ、三河武士は強い。後に天下をとって、歴史書を改竄した補正を抜き取っても、やっぱり強い。この戦で、三倍以上の兵力差がありながら、局地戦に於いてはボコボコにするなどの戦果を収めてしまいます。
しかし敵もさるもの、猿のさるもの。秀吉は、総力戦に持ち込んではどちらも得をしないと判断したのか、早々に信雄と和解してしまったからこりゃ大変。如何に戦国の世とはいえ、大義無くしては戦えないのが、世の常識。徳川陣営は、撤退講和せざるを得なくなりましたとさ。
詰まるところ、何が言いたいかってー言えば、一本釣りたぁ、こういう起死回生の大技のことを言うんでさぁ。ハマダだかハマタだか知らねぇが、あんなメザシにもならん雑魚一人釣り上げてキャッキャ言ってるデコボクロは、何のこたぁない、本物の山猿なんじゃないですかねぇ。
( ・ω・) 何となく、講談調で書いてみたよ、やっつけだけどね!
「何だ、生きているのか。ならば仕方がない」
半ば、全てを諦めているかの様に言葉を吐き捨てると、シルビーさんは腰を上げた。そしてゆっくりとした所作で三角帽子とマントのズレを直すと、扉に向かって歩き出した。
「ちょ、何処行くのさ」
「バラモス城」
「今すぐに、一人で? っていうか、まだ身体弱ってるんだから、少し大人しくしてた方が――」
「のんびりとしていられる時間が、無い」
「いや、第一、どうやって行くつもりさ。ネクロゴンドの周辺なら、モンスターが強いってだけで何とかなるかも知れないけど、バラモス城にはルーラでも通れない結界があるって、シルビーさんも知ってるでしょ」
「……」
そこまで言葉を告げたところで、ピタリと足が止まった。良かった、まだ、論理的に物を考える力は残ってるみたい。
「とりあえず、ここに座って。すいません、何か飲ませてあげたいんで、用意して貰っても――」
「こういう時は、フレーバーたっぷりのハーブティですわよね」
凄い。今まで何度となく思ってきたけど、アクアさんは、やっぱり、何処までも凄い人だ。
「何という通常営業っぷり」
余りの空気の違いに耐えられなかったのか、ちょっと口の端が緩んだのを目にした。まさかアクアさんって、ここまで計算して行動を――してないよね、多分。
「じゃあ、順番に聞くよ。クレインとリオール君は、どうしたの?」
何でこんなところに居るのかとか、シルバーオーブの件も気になるけど、第一にはやっぱりこれだろう。ここをきっちりしておかないと、話の筋道がつけづらい。
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