十六夜という言葉があります。『いざよい』と読むのはこの業界では常識の域ですが、これは、躊躇うの類義語である、『いざよう』が変化したものなのだそうです。満月の十五夜に比べて、その翌日は、月が昇るのが遅くて躊躇っているように見えるからだとか何とか。東雲を、しののめと呼ぶのは、漢字伝来以前の大和言葉の名残なのだそうですが、十六夜は言葉遊びの域ですね。或いは、現代、巷で溢れてる無茶なルビ振りも、300年の後には、一般語化してるのやも知れませぬという、ありきたりな話でした。
( ・ω・) 朱雀(ふに)が白虎(うにゃ)に、黄龍(だよぉ)られただと?
「いやいや、おかしい。父は命を狙われる恐れがあるからと、関わりを断つ為に孤児院に入れたはず」
「でも、魔法を使えるようになることと、バラモスを含めた魔王軍に立ち向かうことに、直接の関係は無いよね。メロニーヤ様の子供だったら才能がある可能性は充分にあるし、高位の魔法使いになれば、戦いで死んだり、怪我を負う可能性も減る訳だし」
あくまで、状況から導かれる、一つの推察だけどさ。
「そんなメロニーヤの娘より、才能のある僕って凄いと言いたいとは、良い度胸だ」
一体、何処まで根に持ってるのさ。
「しかし、その理屈には、たしかにそれなりの筋が通っている」
ちょっと思い付いて言ってみただけの話なんだけどね。
「成程。これが、ねじ曲がった親の愛というやつか」
う、うーん。たしかに、結果論として何とか生き延びてきた訳だけど、手元で育てなかった以上、何を言われてもしょうがないかなとも思うよ。
「あー、それで、リオール君なんだけど」
慕っていた幼馴染みのお姉さんが、実姉だったとか、悲劇であることに違いはない。理由に違いはあるけど、僕とトウカ姉さんも似た関係だし。初恋って、実らない為にあるのかも知れないね。
「リオールが、何か?」
「いや、ダーマで別れて以降、どうだったかなぁって」
恐ろしいことにこの姉は、あのリオール君の露骨な情愛に、気付いていなかったっぽいのだ。一日程度しか一緒に居なかった僕ですら感知できたのに、全く以って難儀としか言いようがない。
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