2011
先頃受け取った電波!
「くっくっく。ついに、東ノ宮が動き出したか」
「我ら西ノ宮一族に逆らうとは何たる浅薄」
「北ノ宮、南ノ宮もろとも葬り去って、中ノ宮の称号を手に入れてくれるわ」
( ・ω・) 俺じゃないよ。電波を発する、朱い小鳥がいけないんだよ
成程、それは道理だ。僕は立ち上がって服の乱れを直すと、イヅナに手を掛けて、臨戦態勢を取った。
外は、まだ暗い。だけどたしかに、何か不穏な空気を感じる。それはシルビーさんの時とは違う、ドス黒いものだ。
「起こさないように、そっと出よう」
「そのことなんだけどさ」
「三人とも、見当たらない」
「……」
はい?
「居ないって、居ないってことだよね」
気が動転して、明らかに言ってることがおかしいよ。
「さらわれたってこと?」
「見張っていたわたくしに、気付かれずにですの?」
そりゃまあそうだ。幾ら魔物にメチャクチャ強いのが居るって言っても、そこまで常識外れなことされたら、勇者候補生はとっくの昔に殺され尽くしてるよね。
「もしかして、最初から存在してなかったとかね」
「シス、何、変なこと言ってんのさ」
四人が四人とも同じ幻覚を共有するとか、見当たらない事実以上に突拍子もない話だ。いや、でも、マヌーサを応用すれば出来なくも無いのかな。唯、持続性が無いから、人間がやろうとしたらすぐ近くで呪文を維持しないといけないだろう。それをシスに気付かれないってのは、不可能に近い。高位魔族なら遠距離でも可能かも知れないけど、そんなことをする理由が無い訳で――。
PR
Post your Comment