風邪ひいた、ネット切断された、やることあったのトリプルコンボで昨日は更新できませんでした。ごめんなさい。ということで、本日、明日で三回分掲載します。これって、普段、一時間のドラマが、二時間スペシャルやっても、次週休むんだったら、一緒じゃん、の感じですよね。
( ・ω・) お詫びに、BBSにコントを書き下ろすので、御賞味下さい
「わたくし、一つ、気に掛かることがありますの」
「なんじゃ」
「話を総合しますと、あなたと息子さんは、かなり明確に、エルフの存在を認識していたようにも思えますの」
そっか。そういう考え方も出来るのか。
「いかにも。儂はノアニールで、エルフの存在をはっきりと知る、数少ない一人じゃった」
「どうやって、ですか?」
まあ、シスの鼻で出くわすくらいだから、隠れ里っていう程、隠れてないのかも知れないけど。
「遠い、遠い昔の話じゃ」
え、又、思い出話になるの?
「子供の頃、儂はこの森で良く遊んでおった。ここでだけ会える不思議な友達と一緒にな。大人に近付き、いつしか近寄らなくなった頃、それが儂達とは違う種族であったことに気付いたのじゃが、誰にも言うことは無かった。それが彼女達に、良い影響を及ぼさないことを理解出来る程度の分別はあったからの」
「たしかに、世の中、あたし達みたいな良い人ばっかじゃないもんね」
今、凄い存在矛盾を感じた気がする。
「じゃから、息子が生まれた時も、御伽噺を聞かせるようにしか教えんかったんじゃ。大人になるにつれ、儂と同じく、過去の思い出に変わると思ったからの」
「ですが、実際は違ったということですのね」
「ああ。オルテガ殿が町にやってきて、『エルフの隠れ里へ行きたいと』頼んできた時、儂は気付くべきじゃった。あやつの、目の輝きに。心の奥底に押し遣られるはずのものが、日増しに大きくなっていた事実に、の」
「そしてそのまま、二人共帰って来なかった……」
何だか、釈然としないものが残った。息子さんはそのまま駆け落ちしたにしても、父さんはどうしたんだろうか。或いは、ノアニールが眠りに就いたことに気付かないまま、次の地へ旅立ったことも考えられるけど――。
「儂は、確かめたかったのかも知れんの」
お爺さんが、言葉を続けた。
「あの子供の時分、儂はエルフの少女に恋をしていたのじゃろう。じゃが、それに気付いた時にはすっかり遠い存在になり――儂は町の娘と仲良くなって、息子を儲けるに至った。その現実が余りに強固なものになってしまい、あれは儂の妄想だったのではなかろうかとさえ思ってしまった。それ故、息子を使って探させたのかも知れんのぉ……」
自分の心情を解き明かすように、淡々と言葉を放った。
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