花粉症で脳がヤバいので、色々と防御策を実行中。杉の植林推奨した官僚は、絶対に謝らないだろうなぁ。つうか、そもそも生きてるのかと。
( ・ω・) 憎まれっ子、世に憚るだから、意外と健在かも知れない世の中が理不尽です
「ここは?」
老人に連れられてきた先は、丸太作りの小さな小屋だった。大きさからして、住居というよりは管理小屋といった感じで、仮に住むとしても一人が精一杯だろう。
「お爺さん、こんなところで暮らしてるんですか?」
「ああ……もう、十年以上になるかの」
年数に、引っ掛かりを感じた。
「それって、ノアニールが眠りに就いた頃――」
「そうじゃ。あれは、儂の息子が引き起こしたことなんじゃよ」
さらりと、とんでもないことを口にした。
「順序立てて話さんといかんのぉ」
言ってお爺さんは扉を開けると、輪切りにした大木を四つ、次々に運び出してきた。
椅子代わりってことかな。たしかに、この小屋に四人入るというのは、ちょっと厳しいものがある。
「インテリアとして、この様なのも洒落っ気があって良いものですわね」
「これ、たくさん作ったら、一儲け出来る気がするなぁ」
この二人、僧侶と盗賊より、本当、商人が一番似合ってる気がしてきたよ。
「さて、何処から話したもんかのぉ」
「その前に、お茶は御座いませんの?」
年長者がこうも図々しいと、窘める人が居なくて、本当に恥ずかしいよね。
「茶か……済まんが、久しく飲んでおらんでのぉ」
「こんな都会から離れてると、やっぱり行商人とか来ないんですか?」
まあ、幾ら商魂逞しくても、全ての人が眠る町を経由してたら、採算割れは必死かも知れない。
「そういう話ではなくても。儂自身、一切の嗜好品を断っておるのじゃよ」
言葉の意味を理解しかねた。
「ひょっとして願掛けって奴? あたしもやったことあるよ。『初めての盗みが成功しますように。それまで玉葱は食べません』って」
「シスって、そんなに玉葱好きだっけ?」
「ううん、大っ嫌いだけど?」
この子、願掛けを、根本から理解してないんだね。
「そういうのとは少し違うんじゃ。何というか、息子があの様な不始末をしでかして、儂だけ良い思いをするというのがはばかられての」
「これまで、何を食べてこられましたの?」
「近くに生えとる木の実や野草を、最低限だけじゃ」
そりゃ、こんなにも痩せる訳だよ。
「それで、息子さん、何をしたんですか?」
話の本題に、切り込んだ。
「あやつは、子供の頃から朴訥としておってのぉ」
え、ここで、思い出話になるの?
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