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 中世の欧州で大流行したペストは、一因として衛生に対して頓着しなかったのがあると言われています。ん? だけどフランス革命時も、パリって相変わらずアホみたいに不潔だったんじゃなかったですっけ。香水とかハイヒールが出来たのって、体臭隠しと、地面から離れて歩けるようにする為らしいですし。

( ・ω・) やっぱり人類って、大局的には何も進歩してないんじゃなかろうか

『それは出来ません』
「うなっ!?」
 いきなり心を読み取られて、頓狂な声を上げてしまう。
『神は、現世への干渉を極端に制限しています』
『それは、力が強すぎるゆえ』
『加減を誤れば、世界そのものを無に帰してしまう恐れさえあるのです』
 そりゃたしかに、世界を救う為に世界をぶっ壊してたんじゃ、本末転倒も良いところだ。
『そもそも、魔王バラモスが如何に秩序を乱す存在とはいえ、それはあくまで人に対してのこと』
『ならば人の力で以って対抗するのが、筋というものです』
「ん、んー?」
 何かが、引っ掛かった気がした。
「それって、ひょっとして――人が極端な力を持って他種族の秩序を乱しに掛かったら、神様はそっち側に手を貸すかもしれないってこと?」
『――』
 数拍の沈黙が、場を支配した。
『可能性は、否定しません』
 少女は、やや途切れ途切れに、だけど力強くそう口にした。
『ですが人は生来、体力や魔力で魔族に劣り――』
『又、寿命も短いが為、研鑽に掛ける時が短いのが実情です』
『ゆえに、その様な状況になることは、恐らく無いでしょう』
「それはそうかも知れませんね」
 一応は相槌を打っておきながら、少し思う。人はたしかに、生涯で極められる武に限界があるけれど、知識を伝達し、精錬していく生き物だ。もしも未来に、今よりずっと戦う為の道具が進歩していったら、それだけの力をつけるんじゃないかと、益体もないことを考えてしまう。
 と言っても、僕の玄孫の曾孫くらいの時代になってもそこまではいかないだろうから、関係ないといえばないんだけどさ。

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