年の瀬も迫り、来年は寅年だというのに、あの野良猫の為の企画は何も思い付いていません。年頭に少しくらい、コントを書き下ろしたろうかしら。だけどまあ、考え様に依っては、三年後には辰年が待っているとも言えますよね
( ・ω・) その頃まで、連載が続くのが前提になってる自分が怖い
「一つ、問うて良いか?」
「はい」
「御主は兄とその仲間、そして父を探しておるという話じゃったが――見付け出した暁には、どうするつもりなのじゃ?」
「どうって……一緒に帰りますよ、アリアハンに」
爺ちゃんと母さんが待ってるんだ。将来的に家を出る可能性はさておき、当面、それ以外の選択肢なんて無い。
「それは、全てが終わった後の話であろう。バラモス退治はどうするのじゃ」
「……」
又しても、深く考えることを避けてきた部分を抉られた。兄さんと姉さんを追ってジパングまで来たけど、その後は――。
「考えて……ないです」
「であろうのぉ。それも又、そなたがゆーしゃを受け入れておらぬ一つの証拠じゃ。恐らくは、兄を見付け、任を全て押し付けようとしておる」
「だって、兄さんの方が強――」
出かかった言葉を、強引に飲み込んだ。事実は、事実だ。仮に僕がついていくとしても、足手まといにしかならないかも知れない。
それでも、これを口に出してしまったら、僕を勇者として認めてくれるアクアさんやシスを裏切ることになる。勇者として以前に、人として、それだけは出来ない。
「あるがままを自分の一部として認めることじゃな」
そう言って、トヨ様は草を枕に大の字となった。
「人は、完璧には出来ておらん。じゃが、同時に脆くも出来ておらぬ。視界を広げ、ゆーしゃであることを自分の血肉とすることから始めると良い。余がジパングの大巫女トヨであると身体の隅々に行き渡った折、無限の大海原が広がるが如く心が開けたことは、生涯、忘れぬであろう」
再び、首だけを動かしてトヨ様はこちらを見遣った。勇者を、自分の血肉にする――勇者って、他人や功績に依ってじゃなくて、自分の意志でなるものなのか。今の僕には、難しすぎる問いだった。
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