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 今だからバラせることシリーズとか言いながら、特に他のネタはありません。うーん、ある意味、アレな話が多過ぎて、今更一つや二つ――。

( ・ω・) そういえば、月読は最初、冷涼、無表情系キャラだったはずなんですけどねぇ

「それも、占いの力ですか」
「余を甘う見るでない。身の上を知り、人となりを見ればその程度のことは分かるわいの」
 いえいえ。普通というか、百人居たら百人はそれが出来ないから、人間関係は複雑なんですってば。
「たしかに、そうかも知れませんね。僕は、兄さんと比べられるのを嫌って、憧れの気持ちで覆い隠していた気はします」
 魔法使いの道を選んだのも、多分にそういう感情があったんだと思う。体力的な面では絶対に勝てないのが分かっていたから、せめて魔法だけは兄さんを越えたい。無意識に近いけど、そういう考えはあったはずだ。
「でも、それって悪いことですか?」
 トヨ様も言った通り、才能は残酷なまでに人を線引きする。それを認めた上で一つの道を極めようとするのは、選択肢としてあって良いはずだ。
「そうさのぉ。人の生き方はそれぞれゆえ、否定も肯定もせぬが――」
 天蓋を見上げていたトヨ様が、再び僕の方へと首を動かした。
「御主は、ゆーしゃの任を受けたのであろう? 経緯や腕に差異があろうとも、その時点で兄と同格であろうに。何ゆえ、卑屈になる必要がある」
「それは――」
「心の機微が分からぬ訳ではない。憧れであった存在を越えてしまうことへの躊躇いがあり、それが枷となっておるのじゃろう。断言しても良い。そなたは、兄を怖れている。純粋な劣等感と言った方が的確やも知れんがの」
「……」
 一言の反論も出来なかった。心の内を暴かれたこともそうだけど、トヨ様の言葉は、一つ一つが重い。五つ六つ年下の女の子の言葉が、荒縄であるかの様に、僕の心を締め付けた。

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