地上波アナログ放送、完全終了の月に入ったということもあり、アナログ放送の左下に、九分の一くらいを占める、デカテロップが入ることとなりました。私はまだアナログで粘ってるクチなのですが、こういうのを見ると、意地でもデジタルになんかしてやるかと思いますよね。ちなみに、聞くところに依ると、約一日で一万七千の苦情が入ったとか。あれ、総務省の発表で、まだアナログ対応してない世帯は33万じゃなかったでしたっけ。え、5%もの人が苦情入れたんですか? 何やら、物凄く計算が合わないような……。
( ・ω・) アナログ終了前後の阿鼻叫喚を想像して、オラわくわくしてきたぞ
「よっと」
身体を起こして確認してみると、そこにはやっぱり、見覚えのある顔があった。色々と聞きたいことはあるけど、とりあえずすべきことは――。
「シス。シルビーさんを、ソファにでも寝かせておいて。僕、アクアさん呼んでくるから」
「ほいほい」
ここは家主の許可を取るのが筋だった気もするけど、この夫婦がそこまで薄情だとも思えないし、大目に見て貰おう。
「むぅ、又しても美人の来訪者とは、何たる吉日。いや、しかしグラマラスさ加減では、妻と良い勝負とはこれ如何に――」
「あなた~」
もうあれは、殆ど芸風の域なんだね。夫婦って、奥が深いなぁ。
「アクアさん。ちょっと診て欲しい人が居るんで、こっち来てもらって良いですか?」
「分かりましたわ」
その言葉から数秒で、アクアさんは扉を開けて出てきた。
「あらあら」
ソファで横になっているシルビーさんを視認して、アクアさんは、そんな言葉を漏らした。そりゃまあ、こんなところに居れば、誰だって驚くよねぇ。たしかに、世界規模で見ればここはネクロゴンドに近いっちゃ近いけど、大陸は大陸だし、偶然会えるなんて、普通はありえない。いや、クレインとは、全くの偶然で二回遭遇した気もするし、シルビーさんとリオール君とも一回あったから、ありえない話じゃないのかも知れないけどさ。
「シルビーさんって、妹さんも居られたんですね」
「……」
いや、そう来ましたか。
「多分、本人かなと。それより、怪我とか無いですかね」
「そう、ですわね」
アクアさんはシルビーさんの全身に手をかざし、微弱な魔力を介して、身体状態を診断していた。魔法には違いないから、僕も出来ない訳じゃないんだけど、武器は武器屋って言葉もあるし、専門家に任せるにこしたことはないよね。
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