2010
作品中、えらく生き生きと動き回るトヨ様を見てふと気付く。あれ、ひょっとして中身が似てる武則天って、コントじゃなくて、シナリオ向きのキャラクターだったんじゃないのか。だとすれば、何と言うか、不幸な話と言えば不幸な話ですよねぇ。
( ・ω・) 連載開催後、四年も経って気付く辺りが、流石は俺って感じだよね
「まあよい。待つ女というのも趣があって悪くはないものじゃ。国事に忙殺されておれば、いずれ魔王打破の報を聞くことになるであろう」
「ぜ、善処します」
最近、期待を掛けられても、受け流しきれずに曖昧な返事をしてしまうことがあるのは、僕の中に何か変化があるからなのかなぁ。
「じゃが、何も無しに時を刻むというのも芸が無い。ここは一つ、担保でもとっておこうかの」
「担保、ですか?」
はて。何か愛用の道具でも渡せば良いのかな。パープルオーブをお目こぼしして貰ったし、それくらいは構わないと言えば構わないんだけど――。
「本来ならば口づけと言いたいところじゃが、嫌々されても居心地が悪いでの」
「……」
さらりとこんなことを言える辺り、五つ六つ年下とはいえ、女性という奴は本当に末恐ろしい。
「そうじゃの。これを預けるとするか」
「ん?」
言って、トヨ様は身につけていた首飾りを外して僕に手渡してきた。
「何です、これ?」
「神代の頃、これなる国を産みたもう地母が眠りし霊山より切り出した珠玉を削りて――お題目はともかく、要は国宝じゃな」
「マジですか」
言われてみると霊験あらたかで、おごそかなものに見える辺り、僕の器も知れたものだと思う。
「どうじゃ。これを返しに来ぬ限り、余とお主と国賊となってしまうことを理解出来たかの」
成程。これは間違いなく、『担保』と呼ぶに相応しいものだ。
「無論、余は手渡し以外、認めぬでの。翼を使うなどの横着は許さぬぞ」
「りょ、了解です」
流石はトヨ様。そういう小手先の揚げ足取りなんて、真っ先に潰してくれますね。
2010
久々にセンセーショナル・エレクションを読んでみたのですが、茜と千織の関係が、完全に、小沢と鳩山なんですがどうしましょう。いや、割とマジで。
そして、少なくても一年以上前に書いたものなのに、どう考えても現政権を揶揄してるとしか思えない描写がチラホラと。民主党、どんだけ古臭い政治やってんだよと、改めて思わされました。
( ・ω・) 自民党の産廃と、社会党の外れクジで構成されているんだから仕方が無いか
「ちょっと寒いですね」
トヨ様の隣に立ち、外の風を直に浴びると、思わずそんなことを口にしてしまう。ちょっと、今の今まで寝入って冷え切った身体には辛いものがあるかなぁ。
「もうじき冬じゃ。寒ぅなるのは、至極当然の話じゃろうて」
「うーん、でも旅をしてて、季節の移ろいより早く気候が変わったことが何度もあって、どうもそこら辺の感覚が曖昧になってます」
ポルトガからレイアムランド、ランシールにバハラタ経由でジパングへやってきた時なんか、その象徴的な事例だ。
「余はジパングに生まれて十年、ジパングはおろかこの都からそう離れたことも無いでのぉ。話に聞くだけでは、今一つ分からぬわ」
「あ、でも僕も一年前に旅立つまではそんな感じでした」
「うむ。いずれ特使や親善の名目で回ろうと思っておるが、当面は叔母上の一件で揺らいだ国内を纏めねばならんでの。口惜しいことじゃ」
勇者として、もっと大きなことをやらないといけない立場なのに、何だか凄くスケールがでっかいなって思っちゃったよ。
「その時は、アリアハンにも寄って下さいね」
「何を言うておる。ヌシはその折、余のぼでーがーどとして側におろうが」
「……」
ん?
「ま、まー、それはそれとして」
というか、軽く流さないと残念なくらいに話が進まない訳で。
「とりあえず僕達は、世界の反対側に行ってきます」
「心寂しきことよの。ジパングには当分の間、やって来れぬのであろう?」
「多分、そうです」
もちろん、キメラの翼やルーラを使えば、一度立ち寄った場所なら何処へなりとも行くことは出来る。だけど用も無いのにそんなことをするのは旅の筋を曲げてしまう気がして、躊躇われるものがあった。
2010
先週あたり、枝野新行革担当相が『仕分け第二弾開催決定!』と言って、支持率下落に歯止めを掛けようとしました。しかしこの一週間程で、北教組裏金疑惑! 普天間移転候補地発表先送り! 消費税議論! と、一気に自分達で沈静化しているような。たった一つとも言えるカードなのに、完全に切るタイミングを間違えましたねぇ。まあ、民主党らしいとも言えますが。
( ・ω・) つーか、仕分けは下落を先延ばししただけで、特に上がってはいないんだけどね
「ん……」
頬に触れる冷たい風で、意識を揺り動かされる。
あれ、僕、寝ちゃってた? お酒に酔った記憶はないから、満腹になって疲れが出たってところなのかな。
「おぉ、済まぬの。起こしてしもうたか」
顔を上げて声の方を見遣ると、トヨ様が窓から外を見上げているのを確認出来た。
「お月見、ですか」
「うむ、こう寒ぅなってくると、空が澄んでおる」
「たしかに、そうですね」
「中秋の名月と言うての。前にお主が来た時期が、最も良いとされる頃合なのじゃ。
とは言え、季節ごとの月を楽しめぬようでは、まだまだ青いと言わざるをえんがの」
この人は、一体、何に対抗しているのかなぁ。
「よっと」
掛けてもらった敷布をひっぺがし、むくりと起き上がった。
焦点の合わない瞳のまま辺りを見回すと、僕と同じようにシスとアクアさんも寝潰れていた。
シスなんか折角の敷布を蹴飛ばしてお腹なんか出してるけど、そのまんまじゃ風邪ひくよー。
「やれやれ」
トウカ姉さんを考慮に入れると、実質的に三人兄弟の末っ子みたいな僕だけど、下の子が居たらこんな感じなのかなぁ。
「そなたは、ほんにおなごに優しいのぉ」
「そうですか?」
シスの敷布を掛け直す僕を見て、トヨ様はそんなことを言ってきた。
「余はさして気にせぬが、事と次第によっては恨みを買うこともある故、重々、気をつけてたもれ」
「それは口にした時点で気にしてると思うんですが」
「そういうものかえ?」
トヨ様の場合、素なのか空っとぼけてるのか、アクアさん並に判断が付きづらくて困る。
2010
鳩山総理の私服は、洒落にならないくらいセンスが無いことが一部で有名です。お前、総理だろ、人と会うのが仕事だろ、スタイリストくらいつけろよ。そりゃ、野党代表なら国内問題で済むから良いけど、建前上、日本の顔なんだよ。頭の中は諦めてるから、格好くらい普通にしてくれ。
( ・ω・) ピ●コの辛口チェックをまだやってるなら、きっと既に弄っているはずだ
「まあよい。いずれにせよ、ゆーしゃのことを考える様になったと言うのでれあれば、随分と進歩したものじゃ。
月夜の晩、悶々としておったあの頃とは比べ様も無い」
「あの時は、本当にもう、何て言いますかお恥ずかしいところを――」
ここまで言ったところで、ハッと気付いてしまう。
「月夜の、晩?」
シスが威圧するかの様に、そしてアクアさんが興味深げにこっちを見ていることに。
「ゴシップ好きの血が、騒ぎますわ」
仮にも僧侶として、それは本当にどうなんだろうか。アクアさんのことを僧侶と認めてる人が居るのか、そこから議論しなくちゃいけないって気もするけど。
「よいではないか。男と女の間に、秘め事はつきものぞ」
そしてトヨ様も無駄に煽らないで下さい。いや、この人の性格からしてわざとの可能性も充分以上にあるんだけどさ。
「ふーんだ。あたしなんか、最初に会った日の晩、部屋に盗みに入ったくらいなんだからね」
何で対抗してるのかは分からないけど、それって、何かの自慢になるのかなぁ。
「わたくしは、実家に泊めて頂きましたわね」
う、その件に関しましては、今となっては良い思い出ということで処理したいところです。
「お主、至る所に粉を掛けておるのか。甲斐性という意味で悪いとは言わぬが、程々にせぬと命を縮めることになるぞえ」
それは、完全に誤解というものなのですが、女性陣が喋ったこと自体に偽りは無いので凄く否定しづらいです。
「よもやすると、それがお主にとっての勇気なのやも知れぬが、の」
「何だか、うまいこと言ったみたいなしたり顔をしないで下さい!」
はぁ。何て言うか、僕は女性にはどうあろうと勝てないのかな。
いつものことと言えばいつものこととも言える感想が胸を去来し、何とはなしに溜息をついた。
2010
面白いもので、仮に世論調査が年齢・性別・出身地を考慮して完璧なサンプリングをしたとしても、選挙で正確に反映される訳ではありません。他所の国は知りませんが、何しろ日本の場合、地方の一票が、都市圏のそれの数倍の重みがあるのです。そして一般的に地方は保守政党を好む傾向があり……民主党もそこのところを額面では理解して、農家の戸別保証制度なんて取り入れたみたいですが、実際の地方では不評っぽい訳で。道路の地方散布が露呈し、子ども手当の満額も危うくなって、消費税増税が既定路線になってましたし、何処にばらまいて票を獲得する気なんでしょうね。
( ・ω・) ところで、投票率が下がった場合、公明以外の何処が有利になるん?
「人が背負う、希望の象徴、とかはどうです?」
「余も似た様なものであろうが」
自分でキッパリ言い切れるトヨ様って、能力が伴わなければ本気で痛い子だよね。まあ、現状でも大概と言われれば否定しきれないんだけど。
「アクアさんは、僕が勇者だって言ったけど、あれって何が根拠だったの?」
「気持ちの問題、ですわ」
「……」
感覚至上主義者の意見は、議論の場に於いて全く役に立たないことがしばしばあるよね。
「シスにとって、勇気って何?」
「んー。盗賊にとって、大胆さってそんな大事なもんじゃないからなぁ。むしろ普段通りの仕事が出来る平常心と、細心の注意が主って言うか」
「どの様な時でもことを成せるとは、胆力寄りの発想じゃの。」
勇気とは恐れる心を飲み込む器量のことやも知れぬわいな」
「き、器量……」
い、一番、自信が無い部分を突いてこられた気がしてならない。
「或いは、単に鈍いだけやも知れぬがな。
自信や希望とは楽観的勘違いと言うたのは誰であったかの」
「何だか、勇気なんてものは存在しないみたいな気分になってくるんですが」
「存外、真理やも知れぬぞ。言うなれば心に勇気という虚構の殻を纏い、言い訳とする。
とはいえ、ことがそれで円滑に運ぶのであらば、問題は無いとも言えるがの」
「うーん」
仕立て上げられたと言っても、勇者の身で勇気の存在を否定するのは、感覚的なしこりが残る。でも、論理的には妙な説得力があるしなぁ。単に、トヨ様個人の威厳に依る補正って気がしないでもないけど。