トウカ姉さんのステータス出来たよー。
うーん。やっぱり強かったんですねぇ。天才の名は伊達ではない、と。尚、そうてんけんし、とは、漢字では双天剣士と書きます。その双つの手に天を掲げる稀代の剣士――何だか、ある種、病んでますが、一番の問題はトウカ自身、割と気に入ってる点ですかねぇ。
( ・ω・) まあ、本人が満足なら、触れないであげるのも一つの手段だと思うんだ
「それは、ここジパングの名工が鍛え上げた、アレルの為の剣だ。切れ味は鋼鉄製のそれを上回り、重量感は戦斧をも凌駕する。今のお前に使いこなせるかは分からんが、いずれは手に馴染むことだろう。それに或いは、アレルの居場所に、導いてくれるやも知れんしな」
「これが……兄さんの剣」
近付いて、まじまじと見詰めてみる。
長さは、僕の腰程までで、太さは肩幅の半分程度、厚みは親指の関節一つ分といったところか。大剣に分類されるであろう黒い刀身は若干の反りを持っていて、切り裂くことを重要視しているのが見て取れた。
そして、僕が注目したのは、その刃だ。さっき姉さんは、兄さんがヤマタノオロチの首を一つ刎ねたと言った。だというのに、刃こぼれが殆ど確認できない。兄さんの技量もあるんだろうけど、この剣自体が、とんでもない名剣である証だ。
「僕に……扱えるのか?」
意識せず、自問が口から漏れてしまう。
柄に手を掛けると、その重さが腕に伝わってきた。思った以上に、抵抗が感じられる。だけど、抜くことが出来ない程じゃない。
僕は腰を機軸に右手に力を籠めて、勢いを保ったまま半身を捻った。
「う……ん……」
引き抜かれた剣は、想像以上の負荷を腕に掛けてくれた。理想の武器というのは、切っ先までが自分の指であるかのような一体感があると、誰かに言われたことを思い起こす。今まで使っていた量産品の鋳物は、指先とまではいかなくても、腕の延長といった感覚で扱えていた。だけど兄さんの剣は、手から先が完全に異物だ。形式的に振るうことは出来ても、唯、振り回されるだけだと、試行前に確信できた。
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