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 約束を守ることは大事だと良く言います。では、何故約束を守らないといけないのか。単純に、信義を損なうからです。オオカミ少年の例をとるまでもなく、嘘をつくと信頼を失い、結局は自身の利益を損ないます。企業が使う手形なんかも、二回、現金化出来ないと倒産になりますし。
 詰まるところ、出来ないことは言わない、言ったことはやりきるというのが正しい人間というか、普通に生きていく上でのコツでは無いでしょうか。反故にしても押し切るだけの力があるなら、話はまたちょっと変わってきますけど。

( ・ω・) 何が言いたいって、マニフェストの修正とか舐めてんのか、民主党

「もう、いっそやるだけやったことにしてゴメンナサイしようか?」
 世界経済の危機も大事だけど、そこはクワットさん辺りの専門家に任せるのが筋じゃないかなぁ。そりゃ、出来ることなら何とかしたいけど、下手な期待を持たせるのも残酷な気もするんだよ。
「一度引き受けた以上、やることはちゃんとやるのが筋ですわよ」
「やっぱりそうですよねー」
 何だか、わざわざたしなめられる為にやる気の無さを出した様な。
 ま、男の子って、そういうところがあったりするよね?

「ふぅん、スピル、なぁ。そんな奴が居やがるたぁ、末世って奴は嫌だねぇ」
 とりあえず僕達は、数少ない顔見知りであるバーネットさんの所にお邪魔していた。
 どうやら、殆ど寝ていないみたいで、目の下にくっきりと隈なんか作っている。年が年なんだから無理しないで欲しいんだけど、止めるのは無理なんだろうなぁ。
「何か、手掛かりになりそうなこと、知りませんかね」
「さぁてなぁ。商工会には付き合い程度にしか顔を出さねぇから、そういった世情はちと分からん」
 僕が言って良いものか分かりませんけど、もう少し目の前の仕事以外のことも考えた方が良いですよ。
「まあ、最初からそんな当てにはしてませんでしたから」
「連日おちょくりに来るたぁ、いい度胸だ」
 何と言うか、僕なりの親愛の情のつもりなんだけど、理解はされないだろうなぁ。
「と言いますか、今のは只の枕でして」
「あぁん?」
「今日は、バーネットさんが作った剣を見てみたいなぁって思いまして」
 ジョージさんの所を含めて何件か武器屋を回ってみて、それなりの品は幾つかあったんだけど、どれも決め手に欠けていた。折角だから、どの程度の腕か拝見させて貰えればと思った訳で。

 

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 先日、国会が閉会しましたが、新総理になって、党首討論も、予算委員会もやらないとか、お前ら、ギャグでやってるのかと。しかも枝野幹事長に至っては、『テレビとかで討論すればいいじゃない』と言い放つ始末。国会での討論とテレビ討論を同列に語るのかよ。国民から選ばれた議員と、キャスターが同列か? あぁん?

( ・ω・) 枝野氏は、地味に屁理屈が多いことに、勘付いてきた

「だ、大丈夫、大丈夫。あたしの所属はアリアハンギルドだよ? こんな遠くまで刺客はやってこないでしょ」
「それって、世界的義賊だって標榜してるシス自身と矛盾しない?」
「むぅ」
 たまには、シスをいじっておちょくるのも楽しいかなって思わなくもない。
「経口系の毒に、毒消し草って効いたっけ?」
「僕が知る限り、大体の毒には対応してた気がするけど」
 よくよく考えてみたら、それも凄い話だよね。バブルスライムだろうと、ポイズントードだろうが、腐った死体だろうが効果を発揮するって、キメラの翼並にとんでもない発明品だと思う。それが安価で市場に流通するって、先人は偉大だなぁ。
「毒消し草とキアリーって、どっちが先に開発されたんだっけ?」
「正確には、把握しておりませんわ」
「どっちも無かった頃って、バブルスライムなんかでも相当の脅威だったんだろうね。世に出回った時は、相当、時代の変化を感じたんじゃないかなぁ」
 あれ、何の話だっけ?
「そういった生活に密着した必需品の値を釣り上げようとしている方々を許す訳にはいかないという話ですのね?」
「うん、いや、まー、そういうことで」
 うまいこと話を繋げてくれたアクアさんに、ちょっと感謝することにして。
「具体的に、何をしようか?」
 繰り返すけど、この町には何万人といった人が居る。しかもクワットさん並の情報収集力を持っていると仮定すると、下手な動きを見せればすぐさま相手に伝わることだろう。ってか、既にバレてるかも知れないのに、こっちは何の情報も無いとか、悪条件にも程がある。

 つー訳で、トップを見てもらえば分かる通り、それゆけ黄龍ちゃん! の第九期を始めることに決めました。今までにない、書き下ろしでの連載。多分、月2くらいで行くかなぁと。やる気次第ですが。と言いますか、ブログ連載だと月5の勘定になる訳ですが。どないやねん。
 尚、エンプレスとは女帝のことだそうですがヒロインでもある武則天の出番が増えるかどうかは知りません。今までとはペースが違うので、流れがどうなるかも、知ったこっちゃありません。

( ・ω・) 何だいつもどおりじゃないかと思ったあなたは、私のことをそこそこ分かっています

 うーん、内部分裂工作は、南の海賊団で失敗した経緯があるからなぁ。そう、思った通りに動くとも思えないけど、まあ、探すくらいならやっても良いかな。
「分かりました。やるだけはやってみます」
 この、何万人居るとも知れない巨大都市に隠れ住んでいる、地元の人間でさえ把握してない重要人物を探しだせとか、勇者の過大評価にも程があると思う。
 でもまあ、鞘が出来るまで暇といえば暇だし、引き受けるだけなら無責任じゃないよね?
「あ、ありがとうございます。これで、これで奴らの鬼畜の如き所業を止める一筋の光明が見えました。何と御礼を言って良いものか。今でしたら、差し出せる財を全て吐き出してもいい気分です」
「……」
 ヤバい。ここまで感謝されると、かるーい気持ちで引き受けたことに、凄く罪悪感を感じるんですけど。
「ぜ、善処します」
 結局、いつもみたいに歯切れの悪い返答をしてしまう訳で。
 勇者って、本当に何なんでしょうね。僕にはちょっと、分からなくなってきましたよ。 

「御飯、御飯、御飯が美味しい~♪」
「いつものことだけど、テンション高いよね」
 それにしても、朝食を口にしながら変な歌も同時に発するシスは器用だよね。
「そういえば、シスって盗賊ってことになってるよね?」
「その言い方は心外だなぁ。あたしは、正真正銘、純血の盗賊だってば」
「色々と、恨みも買ってる立場のはずなんだよ」
「悪い奴からしか盗らないから、むしろ勲章だけどね~」
「いや、考えように依ってはいつ毒を盛られてもおかしくないのに、よくパクパク食べられるなーって思ってさ」
 食事を運ぶ手がピタリと止まったのは、ちょっと面白かったりする。

 

 何でも、今国会に於ける政府提出の法案の成立率が、戦後二番目に低い水準だったとか。普通、こういう時は延長して審議しますよねー、まあ、あくまで、『普通』なんですが。

( ・ω・) 常識を打ち破るという意味では、民主党は他の追随を許していないやも知れない

「私も、完全に把握している訳ではありませんが、何でも背後には各国家が複雑に絡み合った、複合組織があるとか」
「そんなでかいもんにスピルって人は近付いてるんですか?」
 何だか、僕がどうこう出来る次元の、遙か上を行ってる気がしてならない。
「キメラの翼は、あくまでも小手調べです。スピル達は、ここで得たノウハウと人脈を基盤として、いずれは世に流通する大多数の商品の値を自在に操り、僅かずつ、しかしながら莫大な富を得ることでしょう」
 うん、話は大筋で分かった。その上で敢えて言わせて貰うよ。
「それで、僕達にどうしろと?」
 こう、何て言うか勇者って、町のお助け屋さんみたいな側面があるけどさ。ここまで来ると、国家レベルで介入しないと、どうにもならないと思うんだよ。
「勇者様のお力で何とかなりませんかね?」
「えー、勇者というのはあくまで人間なので、神様みたいな扱いをされても無茶振りってものなんです」
 もう、頭の容量を超えちゃって、言葉遣いがあやふやだよ。
「じゃあ、せめて、スピルの所在と正体を明かして貰うというのは」
「……」
 ん?
「何だか、聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんですが……スピルっていうのは、特定の誰かのことじゃないんですか?」
 こう、堂々と顔役として町に君臨してるもんだと思ってたんですが。
「いや、どちらかと言うとコードネームに近いですね。その本名も、顔も、性別すら、正確に知る者は限られているのです」
「それを明かせば、何とかなるんですか?」
「奴らは必ずしも一枚岩とは言えませんので、それを暴露することで内部分裂を促すことも不可能ではないかと」

 

 ふと思う。キリストにしても、仏陀にしても、マホメットにしても、千年単位で影響力を残す人って、大抵、宗教家ですよね。孔子くらいですか、何となく思い付くそれ以外の人といえば。でも、儒教も宗教と言えば宗教ですしねぇ。孫子の兵法とか、どうなんだろう。
 一方、芸術家は、偉大な音楽家が跋扈したのが三百年位前でしたっけ? 西洋画家とかもルネサンス期に集中してるような。日本の大衆文化が花開いたのも、江戸時代の話でしょうか。
 やっぱり、芸術家というか、『物的証拠』を残すタイプが千年以上は厳しいんですかねぇ。そういう意味で宗教関連は、『解釈』という必殺技に依って、マイナーチェンジ可能ですし。バチカンが、『ネオ・七つの大罪』とか言い出した時は頭がクラクラしたもんでさぁ。

( ・ω・) こういう脳問答を経て、黄龍ちゃんは熟成される

「求める人が居るから、値段も上がるって話ですか?」
「そうですね。逆にありふれて誰も欲しがらないものは、値段がつくことさえない訳です」
 あー、そう言えばどっかで、そんな話を聞いたことがある気もする。
「そして巨大な宝石の様に、存在そのものが稀少であれば、更に高騰します」
「それが需要と供給の折り合い、ですか」
 欲しがる人の数と、売ることが出来る量のバランスで値段が決まるのか。たしかに、薬草とか凄く有用で、たくさんの人が使ってるけど、そこいらの野草で調合できるから安値で取引されてるよね。
「ん?」
 あれ、何かがすごーく引っ掛かってるんですけど。
「ねぇ、ひょっとしてだけどさ。それって、売る方が出し渋れば、勝手にドンドン値段が上がってくってこと?」
 あ――。
「御明察の通りです。ですが現実的に小規模でこれをやろうとしても、他の商業グループが手を出して失敗に終わるでしょう。
 しかし、仮にこれを全世界規模、つまりは供給元を抑えてしまえばどうなるか」
「もしかしなくても、最近のキメラの翼の高騰って……」
「残念ながら、ここ、ハン・バークが震源です」
 ああ、まさかランシールで知った出来事が、こんな世界の反対側に端を発してたなんて。お金の流れって、僕が思ってるより遥かに奥深いのかも知れない。
「御存知の通り、キメラの翼というものは、その有用性の割に、値段も手頃で色々なことに使われております。ですが反面、その安定供給の仕組みがどうなっているかを知る者が非常に少ない。それが、スピル達に目をつけられた理由です」
 たしかに、キメラの翼って簡単に言うけど、キメラがそもそも何なのか、良く知らないんだよね。

 



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