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 菅総理曰く、今回の北朝鮮から砲撃への対応は、『極めて迅速だったと言える』んだそうです。あれ、これって口蹄疫の時も似た様なことを閣僚が言ってた様な。いつものことですが、自分で言うことじゃないですよね。自画自賛する人って、何で人として信頼できないんだろう。

( ・ω・) 私は、民主党に命を預けるつもりはないので、即時の解散総選挙を求めます

「いやっ!」
 色々と考えを巡らせてる内に、掛け声と共に打ち放ってきた。しょうがない。無駄だってことを理解して貰えるまで、何度でも燃やすとしますかね。
『バギマ』
 不意に、急激な気流の乱れを全身で感じた。どうやらアクアさんが僕よりも早く呪文を発動させたみたい。二本の矢尻は、明後日の方向に飛んでいき、一本は割と近くの地面に、もう一本はかなり遠くの墓標に突き刺さった。
「なに!?」
 言うまでも無いかも知れないけど、弓矢っていう武器は空を飛ぶものだから、当然、風の影響を多分に受ける。目標が遠ければ遠いほど、そよ風みたいに弱いものでもバカに出来ない微修正を求められる。一方で、僧侶が得意とするバギ系の呪文は、近場の空気の流れを相当に掻き乱す。矢を放った後に呪文を発動させてしまえば、何処に行くかは文字通り誰にも分からない。軍隊が逃げ場がない程に打ちまくるんならいざ知らず、個人としての弓矢が、狩猟以外の目的であんまし普及してないのは、これがかなりの理由を占めてる。単に遠距離攻撃したいだけなら、呪文の方が効率的だしね。
「こ、こ、こ――」
 陽の角度が変わって、少しは少年の顔色を伺える様になってきた。うん、間違いなく、僕より年下の男の子だ。年は、十二か十三くらいかな。かなり南方のこの地域の住人にしては妙に色白なんだけど、言動や行動から推察されるまんまの、勝気な顔付きが特徴的だった。あれ、でもこの子の耳も、何だか少し、特徴がある様な――。
「ジョン! 一体、何をしているんだ」
「父さん、こいつら、皆の墓を掘り返してたんだ」

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 最近良く聞く『戦略的互恵関係』という言葉。だけど思うんですが、これ、字面だけ見て考えて見れば、『長期的に見てウィンウィンになるようにやってこうね』ってだけのことですよね。何じゃそりゃ。腹の中がどうかは知りませんが、まともに国交ある国相手なら、表面上は言うまでもなくそういう関係を築こうとするに決まってるじゃないですか。戦略的互恵関係って言いたいだけだろ、絶対。

( ・ω・) 墾田永年私財法には、まだまだ及ばない語感だけどね

「ん――」
 逆光で少し見づらいけど、矢を放った人物が小高い場所に居ることは確認できた。どうも、既に次の矢をつがえてるみたい。ほぼ陰影で分かりづらいけど、随分と小柄に見える。
「墓を荒らす不届き者め! 今すぐ、この場所から立ち去れ!」
「あれ?」
 声色からは、随分と若い印象を受けた。と言うか、はっきり子供なんだろうか。ジュリといい、どうもここのところ、子供に縁がある様な。
「警告は、したからな!」
 その言葉と共に、次なる矢がその弦から放たれた。うーん、たしかに墓を掘り返したのは悪いと思ってるけど、ほんのちょこっとで済んだし、もう終わったから許して欲しいんだけどなぁ。
『メラ』
 何にしても、むざむざと攻撃を受ける気なんて毛頭ない。撃ち落とすには十分な火力を以って、対抗した。
「な――」
「ごめん。それなりの規模の部隊が矢嵐を食らわせるってんならともかくさ。一人で射るってんなら、矢全体が金属で出来てるか、相当の名手でも無い限り僕のところまでは届かないと思うよ」
 ちょっと嫌な奴になってる気がしないでもないけど、戦力差の誇示は停戦の提示に有効な手段だ。ここはちょっと、上から喋らせて貰おうと思うんだ。
「おのれ! だったら、二本同時でどうだ!」
 時として、逆効果で挑発になっちゃうこともあるんだけどね。
「えーと」
 キリキリと、二本の矢を同時に引き絞る少年を見て、どうしたものか考えを巡らせる。本当に、あの二本を別軌道で僕達に射掛けることが可能なんだろうか。だとすれば年に似合わず、相当の技量を持ってると思うよ。いや、割と本当、素直に、さ。

 何でも、北朝鮮が韓国に対して砲撃を仕掛け、韓国もそれに対して反撃したそうです。兵士に死人が出て、民間人も負傷してる以上、これって完全に戦争状態じゃ、と言いたいところですが、戦争の定義は、宣戦布告があって成り立つものだった気がするので、これは単なる小競り合い扱いですね。国際法、難しいネ。

( ・ω・) とりあえず、こっちに飛び火しませんよーに、と

「ん?」
 とりあえず一掬いしようとスコップを地面に突き刺したら、いきなり何か固い感触があった。
 石かな。それとも遺骨? そんな深い場所じゃないし、とりあえず土を掬って――。
「……」
 固い部分を避ける様にして周囲から抉っていった結果、そこに晒されたのは翠色に光る握り拳程度の宝珠で――え、こんなあっさり見付かって良いの? 偽物だったりしない?
 差し当たっては、パープルオーブとレッドオーブを横に並べて、見比べてみる。大きさは、目視で確認する限り同じだ。土埃で大分汚れてるけど、ぱっと見で感じる霊験的なものも、そう変わらない。
「シス。これって、価値的にどう思う?」
「あんま変わんないと思うよ」
 最終診断装置、シスの意見も、これがオーブであると指し示している。ってことは、やっぱりこれは本物で良いんだろうか。殆どお墓を荒らさずに済んだのは良かったんだけど、何かこう、釈然としないものが残るって言うか。
「んじゃ、目的も達成したし帰ろうかー」
 いやいや、だから、本当にこれで終わりで大丈夫? 今まで、何かしら揉め事に巻き込まれてきた人生を送ってきたせいで、素直に現実を受け入れられない性格になりつつ――。
「――」
 風を切る音が、耳に飛び込んできた。
 どうも、どっからか矢が飛んできたみたい。後ろの墓に、一本刺さってるよ。えーと、角度からして、大体、こっちかな。
「攻撃を受けたというのに、何故だかウキウキしておられるように見受けられるのですが」
「そんなことはないよ」
 本当、何かしら起こらないと落ち着かないだなんて、そんなことは絶対に無いからね。

 巷で噂の柳田法務大臣が、大臣職を辞したそうです。まー、こうしなければ収集は付かなかったでしょうから、やや遅ってところですかね。もしかすると本気で、週末の世論調査を見なければ行動できないんじゃないですかね、この政府。週明けに動くことがあまりに多過ぎるような。偶然かしら。

( ・ω・) さぁて、次は仙谷官房長官が、矢面って奴ですか

 話に聞いただけだけど、このお墓を作ったのは、イシスの兵達だということだ。彼らを守ることは出来なかったけれど、略奪の類が行われなかったのは、僅かにでも自尊心が発現したと信じたい。
「お、ここらは良いもんかなぁ。あー、でもこっちの方が――」
 しかし、いつも疑問なんだけど、何でシスは価値があるものを、視認も出来ない状態で探すことが出来るんだろう。余りに便利すぎるもんだから、ついつい頼っちゃって久しいけど、不可解なんて一言で済ませて良いものじゃない。合理と理論が信条の魔法大好きっ子として、いつの日か解明すべきものだと思うんだ。
「一番でっかい反応はここだねー。間違いなく、国宝級のブツがあるよ」
 墓の合間をジグザグに縫うようにして端っこまで歩いた後、シスは中心辺りに戻って、そう結論付けた。
 ま、シスが言うんならそうなんだろうね。完全に慣れきって、疑ってすらいない自分が恐ろしと思わなくもないよ。
「さて、と」
 鉱山での一件で反省して、小型のスコップを買っておいたんだよね。これで、効率的に土を掘り返すことが出来るよ。
「もうすぐ日が暮れそうだし、早めに終わらせないと」
 どっちにしても今晩は損傷の少ない家を拝借するつもりなんだけど、仕事が早いに越したことはない。ここは一つ、気合をいれてだね――。
「じ~」
「ですの」
「あのー。何でこう、じっと僕のことを見詰めておられるのでしょうか」
「掘る道具持ってないから」
「同じく、ですわ」
 し、しまった。なんとなーくかさばるから一つしか買わなかったけど、使う時は同時になるから人数分要るんだった。どうにも、こういう詰めが甘いよなぁ、僕。

 昨日だか本日だか、民主党の山岡氏がテレビ番組に出演していました。しかしこのオッサン、菅総理が落ち目になると湧いてくるよなぁとか考えていたら、その受け答えが余りに酷く、何しに来たんだ、こいつとか思ってしまいました。いえ、何かこの人が閣僚だったら、ついでに問責になるんじゃないかって勢いだったもんで、三周くらい回って、『まて、慌てるな、これは一郎の罠だ!』と連呼してしまいましたよ。あんな酷い受け答えしか出来ない人が、国会議員をこんな長いこと続けられるわけがないですから、絶対に深謀遠慮ですって。こんな人を選出するなんて、一体何処の土地――栃木四区、とね。

( ・ω・) こうして、又しても都道府県に関する偏見が刻み込まれたのであった

「いや、この村、金目のものは殆ど残ってないけど、どうもここだけは違うみたいだってこと」
「ん?」
 えーと、それを僕に通りが良い様に変換すると――。
「このお墓に、何かあるって言うの?」
「そゆこと」
 今まで、シスのお宝を見つけ出す能力が外れたことは一度もない。そこから導かれる、僕達が次にやらなければいけないことはというと――。
「墓暴きを、しろと?」
 ノアニールで前例が無い訳じゃないけど、結果論としてあの中に死体は入ってなかった訳だしなぁ。ここにある墓標はざっと見ただけでも数十はあるし、形だけってことは無いだろう。少なくても、この数と同じだけは埋まっているはずだ。
「って言われても、ここ以外に怪しいところ無いんだってば」
「う、うーん……」
「為すべきことを、為す。その為に、わたくし達は足を止める訳にはいかないのですわ」
 言って、アクアさんは一歩、足を踏み出した。
 そうか、そうだよね。僕達がしなくちゃいけないのは、グリーンオーブを見付けだすこと。その為に、道義や倫理から外れることもあるやも知れない。未だに覚悟が足りないなと、又しても思い知らされたよ。
「で、大体、どこら辺だと思う?」
「んー、ちょっと待って。匂いが濃いとこ、調べてみるから」
 もちろん、比喩的表現なんだろうけど、シスが言うと、本当に鼻で嗅いで検知してるんじゃないかって思えて怖いよ。
「結構、色んなものが入ってるっぽいねー。多分、埋葬した人が、その人の物も一緒に埋めたんじゃないかなー」



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