2009
花粉症の季節です。頭が働きません。もう嫌です。甜茶を飲めば少しはマシになるんじゃ無いかというのに気付くのに、三日ほど掛かりました。
( ・ω・) 花粉症患者は一致団結して、秋の内に杉の樹を切り倒すしかない!
「なぁに。当面の問題が金なら、幾らでも手はあるもんじゃ」
「もしや、うちには莫大な隠し財産があったりしますの?」
「それじゃったら、若い頃に道楽して潰したわい」
この人達、本当に聖職者なの? ねぇ、問い詰めてみていい?
「まあ、それは冗談じゃが――」
全然、目が笑ってないせいで、信じていいものか分からない。
「世には、懸賞の掛かった仕事が幾らでもあるもんじゃ。大国家ロマリアであれば、尚更のぉ」
「懸賞!?」
自分の人生からは現実離れしたその単語に、思わず大声を出してしまった。
「肩慣らしにこんな仕事なんかどうじゃ」
そう言って、お爺さんは何処からとも無く紙の束を持ち出してきた。
「『迷い猫探して下さい。但し生け捕りに限る――』」
「お爺様、報酬が二十ゴールドでは、一泊の宿代くらいにしかなりませんわ」
「千件こなせば、もしかすると目標に届くかも分からんぞ」
幾らなんでも、そこまで遠回りする程、精神的な余裕は無い。
「腕試しを兼ねるんじゃったら、山賊退治の類もあるがのぉ」
ま、またですか。
「これなんかどうじゃ。『シャンパーニの塔に住み着いた賊を追い払って下さい』」
「シャンパーニの塔?」
あれ、何処かで聞いたことある様な――。
「もしかして、昔、カンダタが根城にしてたっていう?」
「ふむ。いかにもそのシャンパーニじゃ。これはスポンサーがロマリアじゃから、報酬も良いぞい」
「ロマリアが? カンダタの時といい、何で国軍を動かさないんですか」
大国家を自認している割に、情けない話だと思う。
「それが、何度か選抜隊を送ったらしいんじゃが、返り討ちになったらしいわい」
本当に、情けない話だったとは思わなかったなぁ。
「シャンパーニは、昔からそういう所ですわよね」
「うむ、どういう訳か、何度となく悪党共の巣窟になりおる。儂が産まれた頃から数えると、十回にはなるかの」
そんな塔、取り壊しなよって言ったら、何だか負けた気分になりそうなのは何故だろう。
「じゃが、今回の賊はこれまでとは一味違うぞい」
「全員、あたしみたいな義賊とか?」
そろそろ、毎回毎回、相手するのも疲れてきたなぁ。
「いや、今、あの塔に立て籠もっておるのは、たった一人の男なんじゃよ」
「え――?」
ロマリア国軍を追い返し、盗賊行為をする輩が一人の男だという事実は、僕の心を大きく動揺させた。
同時に、何か今までに感じたことのない予感を覚え、この話に乗ることを決めた自分が居た。
2009
前にも書いたかも分かりませんが、月読の話を少々。あやつ、超良家のお嬢様で、才能は日本トップレベル、金は持て余すほどあり、優雅だか何だか良く分からない趣味に注ぎ込む程の暇も持っています。ぶっちゃけて言うと、世間的なステータスは殆ど持ち合わせてると言って良いでしょう。
( ・ω・) これだけあると、逆に人間腐るという、風刺だったんだよ!
「ポルトガのぉ。大方、海鮮料理が目当てなんじゃろ。あれは絶品じゃ。儂も何十年か前に食べたきりじゃて、久々に食ってみたいのぉ」
お爺さん、軽く冗談を言わないと、死んでしまう難病か何かなんですか。
「しかし、船を手に入れるのは容易ではないじゃろう」
そして、何事も無かったように、話を本筋に戻さないで下さい。
「それでも、わたくし達は、今、世界で何が起きているか、この目で確かめなくてはなりませんの。その為には、自分の意志で動かせる船が不可欠なのですわ」
「言いたいことは分かるが、最近、海はすっかり危険になってのぉ。海洋国家ポルトガとはいえ、例外ではないのは知っての通りじゃ」
そ、それは分かってるつもりなんだけど、足や馬を使って地続きで行ける場所は、旅の扉を使っても限られている。世界中を回っていて、且つルーラが使える人を探すのも手かも知れないけど、結局、ネクロゴンドへ足を踏み入れて帰って来た人は居ないだろう。何にしたって、船が無いといずれ手詰まりになるのは目に見えてるんだ。
「そもそも、お主達、金は持っておるのか? 小型で良いと言っても、世界を回れる船に船員となると、安くは無いぞい」
「そ、それは――」
アリアハン国王から預かったお金は、数人を一年程度雇い入れるのが精一杯だ。船なんかには手が届きやしないし、後のことを考えれば無一文になるのも心もとない。
「アレル様は、どうなさいましたの?」
「え?」
ちょっと待って。たしか兄さんは――。
「東方の国、バハラタに行って、黒胡椒と引き換えに船を貰ったはず――」
手紙に書かれていた情報を、記憶の底から引きずり出した。
「それって、本当に黒胡椒なの? 何か凄く危ない粉だったりしない?」
シス。人の身内の品格を、やたらめったに汚さないで欲しいんだけど。
「ひょひょひょ。分かりづらい話かも知れんが、東方では簡単に手に入る香辛料の類も、こちらでは数が少ないが故に高騰するんじゃ。魔物達が増えて、更に手に入りにくくなったしの」
「へー」
ひょっとして、兄さんの真似をすれば、資金の面は心配なくなるかも――やっぱりとりあえず、ポルトガに行ってみよう。
「言っておくが、アレル殿の方法を倣うのは無理じゃぞ」
「な、何でですか」
「去年、アッサラームとバハラタを隔てる山脈近郊で、大規模な地震があっての。唯一あった地下道が埋まってしまったんじゃ。幸い、番をしとったドワーフは無事じゃったが、陸路であちらへ向かうのは、まず不可能じゃ」
「……」
い、いや、だからこそですね。黒胡椒に莫大な値段が付いて、それで船を手に入れれば、バハラタへも向かえ――わー! 自分で考えてて良く分からない!
2009
オバマ新アメリカ大統領が誕生しましたが、選挙から三ヶ月あいたせいか、私は微妙に冷めたものもあります。所詮は、『アメリカ大統領』だろ的な。
( ・ω・) 知ってるかい。あのブッシュ(息子)でさえ、ピーク時は支持率九割あったんだぜ?
「ねぇねぇ。ロマリアって、闘技場があるらしいんだけど――」
「君は一体、何を期待してるのさ」
ロマリア城下の市街に入った途端、シスはそんなことを言い出した。
「大丈夫、大丈夫。賭け事なんて、所詮は胴元が儲かる様に出来てるってことくらい、あたしだって知ってるから手なんか出さないって」
「そういう話じゃないでしょ」
僕達は物見遊山で世界を旅してる訳じゃないんだよ。
「唯、試合観戦をしてる人って、どうしても集中力がそっち行くから、あたし達にとっては格好の仕事場なんだよね」
「だから、一般人からは盗っちゃダメ!」
って言うか、盗賊行為は一切禁止だから!
「つきましたわよ」
アクアさんに導かれ辿り着いたのは、市街の中心からやや離れたところにある教会だった。大きさとしては中規模といったところだろうか。聞くところに依ると、五十人程度の修道士と修道女が男女別に共同生活を営んでいるらしい。
アクアさんも旅に出る前はここで過ごしていたという話だから、殆ど実家みたいなものらしい。
「久方振りですから、気分はウキウキですわ」
こんなことを言っているけど、実際は数ヶ月くらいの話らしい。だけどこれから、本格的に世界を回るとなると、次はいつになるか分からない。だから一度、顔を出すことにしたんだ。
「おぉ、アクア。良く帰ってきたのぉ」
「お爺様、御無沙汰しておりましたわ」
僕達を出迎えてくれたのは、年で言うと七十は越えていそうな年配の男性だった。だけど老け込んでいるという印象より、風格の方が先に目に付く迫力があった。
「各地での蛮勇は聞いておるぞ。それでこそ、儂の可愛い教え子というものじゃ」
「堕ちた者に、鉄槌を与えてるだけですわよ」
それにしても、聖職者同士の会話には全く聞こえないところが恐ろしいなぁ。
「して、そちらの二人が、かの」
「ええ。幸いなことに、巡り会えましたわ」
言って、まるで値踏みでもするかの様にジロジロと見詰めてくる。だけどそれ程に不快じゃないのは、職業補正なんだろうね、きっと。
「成程、良い目をしておる」
「はぁ」
これって、素直に喜んで良いところなの?
「儂、一度で良いから、この台詞を言ってみたかったんじゃ」
「お爺様の夢でしたものね」
納得。血が繋がってるかは知らないけど、この人は間違いなくアクアさんの身内だ。
「それで、しばらく泊まって行くんじゃろ」
「いえ、出来ましたら明日にでもポルトガに向かいたいと思っておりますの」
そう、僕達の当面の目標は、世界を回ることが出来る船を手に入れることだ。その為には、世界一の造船国家、ポルトガに行かないといけないんだ。
2009
私がこんな感じの二次創作をドラクエ3以外でやるとしたら、ドラクエ5になるんですかねぇ。だけどアレって、途中にハードすぎる展開があるから、文に起こすのは辛いような。私、鬱展開弱いですし。ボケなきゃ死んじゃう病ですし。
( ・ω・) この病、二次創作をする上で、致命的なんじゃなかろうかと思わなくもない
「これが、旅の扉……」
いざないの洞窟の最深部、淡い青色の光を放つ水面に目を奪われ、僕は思わず感嘆の声を漏らした。
「たしかこれって、どんなものなのか、良く分かってないんだよね?」
「ええ、その通りですわ。文献が残るよりも遥か昔から世界にありますの。いつ何処から来たものなのか、未だに分かっていませんのよ」
分かっているのは、これに飛び込むことで特定の場所へ移動が出来ることと、これを守る為、各国が祠を建造したという二つくらいだ。どういう理屈で人や物を運べるだとかは、説はたくさんあるけど、良く分かっていない。
「これと似た転移の力に、ルーラやキメラの翼があるけど、そっちも謎が多いんだよね」
「ええ。ある程度の資質があればルーラは扱えますが、いつからある魔法かは分かっておりませんの」
「キメラの翼も、僕達が使えるくらい数はあるのに、作り方なんかは聞いたことがない。そもそも、キメラっていう生き物そのものが確認されていないんだよね」
「わたくし達が行くことの出来ない神界か魔界、或いは別の世界の力や生物とも言われておりますわ」
「あくまで、仮説ってことらしいけど」
何処まで行っても、憶測は憶測だ。実際に証拠で以って論理的構築をしない限り、絵空事の域を出ない。
「それにしても、魔法の玉って凄いよね~。古いって言っても、壁をあんな粉々に出来るなんてさ」
「うん」
兄さんとトウカ姉さんは、レーベの村で研究家のお爺さんに魔法の玉を貰って、この祠を封印していた壁を破った。船の行き来が減った今、表の世界へ飛び出すにはそれしか方法が無かったからだ。
「ってかさ。あの玉を色んな国で大量生産すれば、魔物達との戦いも楽になるんじゃないかな?」
「う……僕も同じこと思ったことあるから言いづらいんだけどさ。あれって、特殊な材料が必要だから一個しか作れなかったって、研究者のお爺さん、言ってたでしょ」
「そーだっけ?」
シスって、記憶力が無いんだろうか。それとも、目の前のことを処理するので精一杯なんだろうか。どっちにしても、ちょっと猫っぽいよね。身のこなしとかもひっくるめて。
「ところでお二人共、今日の体調は宜しいですの?」
「はい?」
「いえ、恐らく旅の扉は初めてかと思われますので、確認までに」
「体調と、旅の扉に何の関係が?」
突拍子が無いその質問に、脊髄反射的に質問で返してしまう。
「報告例は少数ですが、場合に依っては船酔いにも似た症状が出るとも言われてますの。ですので、無理は禁物ですわよ」
「へー」
船酔いに似てるって、凄く揺れるんだろうか。こればっかりはやってみないと分からないかな。
「僕は大丈夫だよ」
「あたしも」
「それは何よりですわ」
特に問題は無いようだし、そろそろ行こうかな。
「これって、入るだけで良いんだよね?」
「ええ。ですがその前に身を清め、主に祈りを捧げるのが、わたくしの会派の――」
「ひょいっと」
「わわっ!?」
アクアさんが言い終わる前に、シスは勢い良く飛び込んでしまう。その際に、僕の手を掴んでたものだから、必然的にこっちも道連れになる訳で――心の準備が出来る前に、顔が水面に叩き付けられた。
「ムグァ!?」
い、息を充分に吸い込んでないから、胸の辺りが痛いくらいに苦しい。あ、だけど何だかモニャモニャして良い気分……って、これ、危ないんじゃないの!?
「あらあら。お二人共、せっかちさんですのね」
あ、アクアさん、そういう問題じゃ無いってー! 嗚呼、何か意識と視界がボヤけていくよぉ……。
兎にも角にも、僕の旅の扉初体験は、何だか良く分からない、しっちゃかめっちゃかなまま終わったんだ。
2009
さりげなく、この作品のシスさん(職業盗賊14歳)は、本名システィといい、略称というか、愛称がシスということになっていたりしました。完全に切っ掛けを失ったので、本編でこの設定を語る日が来るのかは謎ですが。
( ・ω・) 大丈夫! こんな設定、使わなくても、多分、困らない!
「ん……」
朝日が目に入り、眩しさで意識が覚醒した。
ふわぁ。たった今、賊達は警備兵に引き渡したし、これで僕達の仕事は一段落だ。詰め所の仮眠室を借りて一眠りしたら、旅を再開するつもりだ。
「え~。お宝、一個も持ってっちゃいけないの~」
「あのね、君は義賊でしょ。完璧には難しいかも知れないけど、出来るだけ元の人に返してあげないとね」
もう、早くもこの遣り取りが定番となりつつある気がする。
「汝――」
不意に、声を掛けられた。
「名は、何と言う」
それは、見張りに立っていた武人風の男だった。後ろ手を縛られたままこちらを睨みつけてきている。
粗野な野郎達が多い中、この人だけは何処か異質で、口調も乱れたものではなかった。まあ、先に自分の名を言うのが、礼儀なんじゃないかとも思うんだけど。
「アレク。職業は……旅人、かな」
自分で自分を勇者と呼ぶのは、流石に少し気が退けた。
「何ゆえ、我々を壊滅させた」
「何でって――」
そんなことを答えることになるとは思っていなかったので、少し間が空いてしまう。
「特には無い、かな。悪いことをしている人を、知ってて見逃すことは出来なかったというか」
「では問う。悪とは何だ。誰もが、その心に正義の心を持っておろう。正義同士がぶつかり合った時、その相手は悪と言えるのか」
む、難しいことを言う人だな。山賊退治って、そんなガチガチに考えなければならない様な話だったっけ。
「何を聞きたいのかは良く分からないけど、一つだけ言えることはあるよ。僕は、僕の家族と友達を苦しめる存在を許さない。町や国が疲弊すれば、痛みは回ってくるし、それは世界に話が広がっても同じことなんだと思う。だから、僕は君達山賊や、魔王バラモスなんかを認める訳にはいかない」
「そうか……」
言って男は、がっくりと肩を落とした。
「汝の様な男に、もっと早く出会えていれば、この身を落とすことも無かったであろうに」
その発言に、違和を感じた。
「僕は、あなたの過去に何があったか知らないし、敢えて聞こうとも思わない。だけど、変われるというのであれば、今からでも遅いということは無いと思う。罪に対する償いが済んで、まだ気持ちが変わってなければ、足を踏み出せばいいと思うよ。」
「――!」
「アリアハン城下に、ルイーダさんっていう、酒場を営業してる人がいるんだ。もしあなたが武芸に自信があるなら、そこに行ってアリアハンの人達を守ってみて欲しい」
「考えておこう――」
年上の人に、随分と偉そうなことを言ったかなとも思う。だけど、この人は迷っていたんだろう。僕には背中を軽く押す位のことしか出来ないけど、何もしないよりは良いよね。
「流石はアレク様ですわ。言うことに重みがありますわね」
「だ、だから様はやめてってば」
アクアさんとの掛け合いに、男の人は少し微笑んだ様に思えた。願わくば、彼が今の気持ちを失いませんように。
連行される後姿を見遣りながら、僕はそんなことを思っていた。