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2011

0725

 十六夜という言葉があります。『いざよい』と読むのはこの業界では常識の域ですが、これは、躊躇うの類義語である、『いざよう』が変化したものなのだそうです。満月の十五夜に比べて、その翌日は、月が昇るのが遅くて躊躇っているように見えるからだとか何とか。東雲を、しののめと呼ぶのは、漢字伝来以前の大和言葉の名残なのだそうですが、十六夜は言葉遊びの域ですね。或いは、現代、巷で溢れてる無茶なルビ振りも、300年の後には、一般語化してるのやも知れませぬという、ありきたりな話でした。

( ・ω・)  朱雀(ふに)が白虎(うにゃ)に、黄龍(だよぉ)られただと?

「いやいや、おかしい。父は命を狙われる恐れがあるからと、関わりを断つ為に孤児院に入れたはず」
「でも、魔法を使えるようになることと、バラモスを含めた魔王軍に立ち向かうことに、直接の関係は無いよね。メロニーヤ様の子供だったら才能がある可能性は充分にあるし、高位の魔法使いになれば、戦いで死んだり、怪我を負う可能性も減る訳だし」
 あくまで、状況から導かれる、一つの推察だけどさ。
「そんなメロニーヤの娘より、才能のある僕って凄いと言いたいとは、良い度胸だ」
 一体、何処まで根に持ってるのさ。
「しかし、その理屈には、たしかにそれなりの筋が通っている」
 ちょっと思い付いて言ってみただけの話なんだけどね。
「成程。これが、ねじ曲がった親の愛というやつか」
 う、うーん。たしかに、結果論として何とか生き延びてきた訳だけど、手元で育てなかった以上、何を言われてもしょうがないかなとも思うよ。
「あー、それで、リオール君なんだけど」
 慕っていた幼馴染みのお姉さんが、実姉だったとか、悲劇であることに違いはない。理由に違いはあるけど、僕とトウカ姉さんも似た関係だし。初恋って、実らない為にあるのかも知れないね。
「リオールが、何か?」
「いや、ダーマで別れて以降、どうだったかなぁって」
 恐ろしいことにこの姉は、あのリオール君の露骨な情愛に、気付いていなかったっぽいのだ。一日程度しか一緒に居なかった僕ですら感知できたのに、全く以って難儀としか言いようがない。

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2011

0724

 さて。意外にも予定通り、被災の度合いが厳しい東北三県を除き、地上アナログ放送が終了しました。絶対に、テレビ各局と総務省が音を上げると思っていたんですけね。私は、横浜ベイスターズも終戦しましたし、ニュース以外見ることもねーなと気付いて、対応は一時見合わせることにしました。今時、ニュースくらいネットで幾らでも読めるわ。デコボクロの国会での醜態を晒さない各局報道部にも、怒り心頭ですしね。ああ、こうやって、テレビ無くても生きていけることに気付く人が増える訳か。

( ・ω・) 尚、生活に今のところ影響が無いことは、割と本気で触れてはいけない

「師匠は?」
「ん?」
 あれ、その話はしなかったっけ?
「特には。剣の方は、元護衛隊隊長のお爺さんに教わってたけど、魔法は本を読んで、気付いたらそれなりになってた感じで」
「何それ、ズルい。私が基礎魔術の習得に、どれだけ師匠の厳しい指導を受けたと思っている」
 そう言われても、出来ちゃったものはしょうがないじゃない。
「ほら。クレインも言ってたし、ある程度以上は生まれ持ったものが大きくて、師匠はあくまで切っ掛けに過ぎないって――」
「それは、遠回しとも言えず、全力で自慢しているようにしか聞こえない」
 たまたま持ち合わせていたものを披露するのが自慢になるかどうかは、文化、境遇の影響を高く受けると思うんだよね。
「そういうシルビーさん達は、どうして魔法使いと賢者になったのさ。
 あれ、そういえば、シルビーさんも、元は賢者志望だったっけ?」
 ポルトガで、回復呪文を掛けてもらった記憶がある様な。
「つい一年前まで、実父があの偉大なる大賢者メロニーヤ様だというのを知らなかったのに、この道を選んだのは、やはり血筋というものなのか」
 勇者の血筋から、ポンっと生まれた魔法使いとしましては、返答に困ります。
「まあ、実際のところは、孤児院に居た頃、院長と懇意にしていた前師匠に見染められ、半ば口減らし的に修行の日々が始まった訳だが」
「それ、赤の他人の僕が考えると、メロニーヤ様が手を回したとも考えられるよね」
「……」
「……」
「ナヌ?」
 今まで、一度として考えたこと無かったんですね。


2011

0723

 前々から、脱原発依存って、変な言葉だなぁと思っていたのですが、ようやく合点がいきました。これ、『原発依存から脱する』って意味なんですね。脱原発に依存するんだと思ってました。何のこっちゃと。
 記述と、アクセントがわりーんだよ。脱・原発依存って書けよ、そう発音しろよ。

( ・ω・) ドサクサに紛れて、全ての責任をマスコミと総理に押し付けるぜ!

「いや、怖い夢を見てあっちから逃げ出したところだから、しばらくは無理っぽい」
 その心情を全く表に漏らさず、抑揚なく口に出来るのは、シルビーさんらしいと言えば、実にらしい。
「なので、少し、お話をしよう」
「ふむ」
 考えてみれば、これから共同戦線を張る間柄にしては、お互いのことを余り知らない気もする。何しろ、一緒に居たのは、ポルトガでの半刻程度と、ダーマとその周辺での一日二日だ。若干、濃い内実を知ってしまった部分もあるけど、それでもその他の部分はサッパリと言えばサッパリだ。
「それじゃ、何についてからにしようか」
「あなたは、何故、それだけ魔法使いとしての才能に満ち溢れながら、勇者になんてなったの?」
 え、そこから? 家業だって、触れたことある気がするけど。
「ダーマ神殿で、年下の男の子に魔力比べで負けた恨みは忘れない」
 あんな、クレインの思い付きで始めた勝負を未だに持ち越してるのは、ある意味、大したものだと思う。争いごとってのは、勝った方より、負けた方が根深いとも言うけどさ。
「何で、と言われると僕自身も返答に困るけど、父さんと兄さんが勇者で、二人が行方不明なもんだから、いわゆる、『お鉢が回ってきた』ってやつかな。兄さんが旅立つまで、っていうか、勇者の後継者として期待されるまでは、専門職の魔法使いになる気で満々だったし」
 もう考えることも少なくなってきたけど、随分と数奇な人生ってやつなのかも知れない。伝記になるくらい活躍したら、面白おかしく誇張されそうだよね。

2011

0722

 よし、今度は世界史三大事変――無理、絶対無理。そもそも私、世界史詳しい訳じゃないですし。局所局所を多少知ってるってくらいで、ざっと考えるだけで頭がパンクします。まあ、それでも、原子爆弾の発明は、今までなかった、余りに強力すぎる兵器ゆえの膠着状態という意味で、三つには入る気がしないでもないんですが。

( ・ω・) 唯、現在進行形の話なので、あっさり崩れる可能性も無い訳じゃない

「……」
 うっすらとだけ灯されたランプの炎を見遣りながら、ぼんやりと時が流れるのを待つ。あれから、もう一刻は過ぎただろうか。二年も旅はしているけれど、暗闇の中での軒の流れは、本当に曖昧だ。ネジを巻くだけでかなり正確に時を刻む時計はあるものの、本物ともなると家が買えるんじゃないかってくらいの値段だし、懐に入れて戦闘なんかしたらすぐさま壊れそうだから、持ち合わせていない。だから結局、交代時間は月の傾きを参考にするか、曇りの時なんかは全くの勘で交代時間を推し量るしかない。だから、最後の一人は、起きたと思ったら、東の空がうっすら明るくなってたり、逆に他の人の倍くらいの割り当てになったりだったりするのが実情だ。季節に依って夜の時間も違うし、案外、そこら辺は大雑把だったりするんだよね。
「ん……」
 不意に、横で寝入っているシルビーさんが、寝返りを打った。完全に熟睡しているその様から見て、さっきの言葉はやっぱり強がりだったのかな。こりゃ、僕の見張り時間を、少し長めにしよう――。
「……」
「……」
 唐突に両目がパッチリと開いて、互いの視線が同一線上に並んだ。どうしよう。割と本気で、気まずいんですけど。
「やぁ、おはよう」
「第一声に誤りがあるとか、考えたことって無いですよね」
 どうにも、僕の周りに寄ってくる方々は、頭の配線に難がある様な気がしてならない。これを、類が友を呼ぶと認めようとしない僕も僕なのかも知れないけどさ。
「交代の時間なら、まだ大分ありますから、寝てていいですよ」

2011

0721

 以前、二十世紀三大発明を纏めようとして、三つで収まる訳ねーだろと投げっぱなしたことがありましたが、今日は日本史三大事変を纏めましょう。大化の改新、平城京遷都、平安京遷都、藤原氏の台頭、源平武家時代の到来、北条氏台頭、南北朝時代到来、日本史最高権力者足利義満、元冦襲来、応仁の乱、信長上洛、本能寺の変、関白秀吉、関ヶ原の戦い、黒船来襲、明治維新、日清日露戦争、満州事変、太平洋戦争突入そして敗戦、超高度経済成長、バブル経済そして崩壊……纏まるか! 大分、適当に並べていったんで、重要なものが抜け落ちてたり、順序が変だったりもしますが、そんな深く考えないで下さい。しかし三つとなるとねぇ。まあ、個人的意見としては、黒船襲来は入れて良いかなと思います。武士の時代が終わって、欧米化を推し進めた最大の切っ掛けですし。後は、公家支配から武家支配へと移った、平家の台頭から源平合戦の流れでしょうか。後一つとなると……軍事体制の終焉となった終戦か、天皇家が政治の中心に座った大化の改新か……日本史という観点から見れば、大化の改新ですかね。よし、俺的、日本史三大転換点は、この三つで。

( ・ω・) 結局、支配層が大幅に変わってる所に落ち着いちゃったよ

「でも、シルビーさん大丈夫? さっき言った通り、僕達三人でやっても良いんだけど。疲れてるでしょ?」
 ついさっき、死ぬか生きるのか一線を越えて、仲間を連れ去られてしまった訳だから、その心労たるや、想像するだけでも相当なものだ。
「大分、落ち着いてきたし、体力という意味だったら、特に問題はない。それにこれからは共同戦線を張る訳だし、そんなに気を遣わなくてもいい」
 たしかに、それも道理っちゃ道理かな。
「何だったら、俺達も参加しようか? そうすれば、一人当たりの担当は、もう少し短くて済むだろう?」
「ありがたい申し出ですが、僕達はこういうの慣れてますから」
 更に突き詰めて言うと、冒険に通じてない人の見張りは信用出来ないというのもあるんだけど、そこまで口にすると失礼になるから伏せておいた。
「この家、あんま金目のもんも無さそうだし、今日のところは大人しく寝ますかねー」
 この開けっぴろげな発言が、そろそろ普通のものに思えてきた僕自身がかなり怖いです。
「それじゃ、お休みなさい」
 寝室に案内される二人に、声を掛ける。
 さて、と。このまま椅子に座ってるのもあれだし、壁にもたれかかって、毛布でも被ろうかな。旅してるのが日常になっちゃったもんだから、こういう体勢の方が楽だっていうのも、少し問題だと思うんだよね。
 シルビーさんと、ボブさん夫妻も寝られる状態に入ったみたいだし、灯を落として、見張り業務に専念することにしますか。

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