2010
人を理解するには、その文化背景を理解しろとはよく言いますが、正直、宗教を理解するだけでも、かなり難しいものがあります。ぶっちゃけ、日本国のメジャー宗教である仏教の死生観すら良く知りませんし。ってか、日本の仏教と仏陀が立ち上げた仏教と、今、東南アジアでメジャーな仏教はもう別物と言ってよくて――キリスト教、イスラム教、その他もろもろの各宗教があって。
( ・ω・) 他人を理解するだなんて、人としておこがましいこととは思わんかね?
「『知っての通り、この世界は今、魔王バラモスの侵攻に依って危機に瀕している。俺も一人の勇者として魔王バラモスを倒す旅をしているのだが、これを書いた時点では、まだ道半ばだ。もしかすると、これを読んだ時には俺が倒してる可能性もあるが、その場合は、この手紙を好事家に売って金にして貰っても構わない。唯、剣だけは返してくれ』」
「勇者アレル様には会ったことがありませんけど、随分と愉快な方の様ですわね」
それは、アクアさんが言わないで下さい。
「にしても、随分と自信家だね~。弟とはえらい違いだよ」
多分、似てない部分と似てる部分を並べたら、七三くらいで似てない方が多いと思う。兄弟だからって、誰も彼もが類似点だらけじゃないよね。
「『とは言え、この俺が剣を手放すような事態に陥ってる以上、楽観は出来ないだろう。だからこそ、俺が知り得る全てを、後に続く者たちへと伝えたい』」
そこから書かれていたものは、殆どが僕達も知っている情報だった。バラモス城に張られた結界を打ち破る聖鳥ラーミアの存在。そしてそれを目覚めさせる為に、六つのオーブが必要なこと。ブルーオーブ、イエローオーブは既に神殿に安置し、パープルオーブも手にした。他の三つは確たる場所を断定出来てないけれど、見付けたり、有力な情報を手にしたら、託せる奴らに託して欲しい、と。
兄さんは、やっぱり凄いよ。もしもの時の可能性も考えてこんなものを仕込んでおくなんて。楽観的観測しかしない僕は、自分が居なくなるって考えること自体、拒否反応がある。だけど想いをちゃんと繋げるのは、大事なことなのかも知れない。
2010
ここんとこ、ここのスペース、政治ネタが急激に減ってね? とお思いの貴方。大丈夫です、書いてる私も思ってますから。いえ、何と言うか、某政権与党の想像を絶する無能っぷりに、割と本気で、これ以上、悪名を残さない為に解散して政権を返上すべきと思ってるもので。
平たく言うと、幼稚園児の相手に飽きたと言うか。
( ・ω・) 園児の方が、新しい発見とかあるとか言っちゃダメだよ!
君ってばパープルオーブの時といい、兄さん、姉さんからの贈り物を良く狙うよねぇ。ってか、今の今までシスが探知しなかったんだから、市場的、文化財的な価値は無いと思うよ。
「それで、何と書いてありますの?」
しかし、仲間とはいえ、こうも遠慮が無いというのは果たして関係として良いものなんだろうか。今の僕には、ちょっと分からないよ。
「『この手紙を読んでいる君へ。どうやら、俺は我が愛剣と離れ離れになってしまった様だ。幸運にも、この仕掛けに気付いてくれたことには感謝するが、その剣の所有者は俺、アリアハンのアレルだ。武器屋辺りに下取りしないで貰いたい。後々、然るべき御礼をするから、アリアハンへ送って貰えると助かる』」
「何て言うか、大袈裟な手段で隠してあった割には、随分、色々なことを想定した書き出しだよね」
そう言えば、こういう無駄とも言える細かい予防線とか好きな人だったなぁ。と言うか、まさか僕が真っ先に読んでいるとは、流石の兄さんも想定してないと思う。
「『仮にも一剣士として剣を手放すというのは何事にも耐え難いことであるが、人生には何があるか分からない。不本意ながらも、この様な手段で亡失を防がせて貰う』」
この若干の理屈っぽさが、僕の兄だなぁと思わされるところだ。何だか懐かしくて、ちょっと目が潤んできたよ。
「『さて、前置きはこれくらいにして、本題に入らせて貰う。名乗った通り、俺の名はアレル。アリアハンでは、勇者として知られている』」
何の迷いも無く自身を勇者だと言い切れるのが、兄さんが、兄さんたる部分だ。
2010
お盆ということで、先祖の霊が故郷に帰る時期なのですが、こう、人の流入が激しい時代だと、私の御先祖様は一体、何処に居るんでしょうね。海の一つや二つ、平気で越えなきゃなりませんし、結局、遠くにありて偲ぶのが良いのでは無いでしょうか。
( ・ω・) どっか行くのが面倒だとか、いや、そんなことは
「まあ、無理すりゃ、明日の朝には何とかなりそうだ」
「別に、そこまで急ぐ用も無いので、少し寝て頂いても良いのですが」
形式的にこうは言って見たものの、今晩も寝ないんだろうなぁ、と思う。腕は良いだけに、この無茶な仕事っぷりで寿命を縮めやしないか、本当に心配だよ。
「おっと、そういや柄を直した時に、こんなもんが出てきやがったんだが」
「はい?」
言われて差し出されたのは、一枚の紙片だった。一般に、柄と刃は一体化してるんじゃないかってくらい密接な状態だから、こんなものを入れる余裕はない。何でもこれは、滑り止めで柄に巻かれた革帯の内側に入っていたそうだ。御丁寧に樹脂の皮膜で包んで一種の緩衝材として使っていたらしく、ところどころたわんでいるものの、損傷は無いに等しかった。
「何かが書いてあるみてぇだが、読んじゃいねぇよ。幾ら俺が世俗的にどうしようもない人間でも、そんくらいの分別はあるからな」
その件については、深く考えて頂かなくても大丈夫です。ほら、今、僕の横に居る二人の仲間が、恐らくは差出人である僕の許可もなく覗き込もうとしてますから。
「ね、ね。それってつまり、アレクの兄さんが何かあった時の為に書き残したもんってことでしょ? しかも、あの仲間のお姉ちゃんにも知られない形で」
たしかに、トウカ姉さんがこれに触れなかった以上、知らなかった可能性が高い。とはいえ、あの姉さんのことだけに、うっかり忘れてた可能性も無い訳じゃないんだけど。
「何か、物凄いお宝の匂いがするんだけど」
2010
最近、中国人が美術品を買い漁ってるというニュースを聞きました。これは、完全に二十年くらい前の日本と同じフラグ。某漫画に書いてあったことですけど、『成金は有り余る金の使い方が分からず、自分の無教養さに絶望して大枚叩いて買おうとする』んだそうです。
そしてここからは、欧米と武力を背景に、元切り上げの壮絶な攻防が始まる訳ですね。そういや、二十年前の日本には、外圧に使える軍事力は無かったけど、中国にはある訳で。実はどう転ぶか分からんのかも知れません。
( ・ω・) それでも、十年以内に弾けて消える予感は、全力でするなぁ
「この一件については、もう別の人に委任しちゃいましたので」
もしそれなりに好感を持ってたりしたらクワットさんを紹介したやも知れないけど、この人じゃ、ねぇ。
「ま、そういう訳で、これ以上つきまとっても無駄ですよ」
正直、ウザッたいと明言しない辺り、我ながら随分と優しいと思うんだよね。
「フオォォォ!」
そしてバーネットさんは、相変わらず暑苦しいし。と言うか、ひょっとして、まだ一回もまともに寝てないってことは無いですよね。確実に隈が大きくなってるんですけど。
「俺も歳だな。若い頃なら、二日や三日寝なくても何てこたぁなかったってのによ」
何で本気の職人っていうのは、こう明らかに無茶だって分かることをやるんだろうか。一仕事終わったら三日間寝っぱなしとか良く聞くし、非効率的この上ないと思うんだけど。
「んで、見ての通り鞘はまだ出来てねぇが、何か用か?」
「いえ、特には。唯、こまめに様子を見ておきませんと、一人でひっそり死なれてても後味が悪いので」
「独居老人扱いするんじゃねぇ!」
いやいや。年齢と奥さんが居ない両点を鑑みるに、あなたは立派な独居老人だと思います。
「こうやって年寄りにはちゃんと刺激を与えないと、急にボケたりしちゃうからねー」
「でも、怒鳴ってたんじゃ、頭の大事な線が切れたりしちゃう気もするけど」
「てめぇら、いい度胸だ、そこに並べ。槌は俺の大事な商売道具だから勘弁してやるが、出来損ないの剣の錆にしてやる」
何だかんだ言って、僕達はバーネットさんにかなり好かれてると思うんだ。
2010
ここのところ、大気の状態が不安定なのか、台風の影響なのか、雨が降り続けている印象です。まあ、夏は長いですからね。暑さの中休みだと思えば良いんじゃないでしょうか。お湿りも必要ですし。
( ・ω・) 中途半端な暑さだと、むしろ身体が冷やしすぎて体調を崩す体質に
「お帰り……なさいませ」
ハン・バークに戻ってきて早々だけど、何処から突っ込みを入れたものかなぁ。
「何でジュリが、三つ指立ててお出迎えしてる訳?」
疑念を抱くを通り越して、理解に苦しむ域だと思う。
「その件については、俺が説明しよう」
『あ、髭面父親失格人間』って言おうかと思った。だけど客観的に考えればうちの父さんも大概、父親としてどうかと思う部分がある訳で。やっぱり、人様の家庭の事情に首を突っ込んじゃダメだよね。
「俺達はめげずに、スピルのところに直談判に行ったんだ。だけど、あの分からんちんの野郎め、けんもほろろに追い返しやがって」
しかし、随分、古臭い言葉を使うものだと、変なところに感心しちゃったよ。
「こうなったら背に腹はかえられねぇ。いっそ、お前らの方について必要なパーツの確保しようとした訳だ」
しかし、何でこう、自分で何とかするって発想が無いんだろうか。これが大人かと思ったけど、ちゃんと自力で頑張ってる大人も多いことだし、打ち消しておいた。
「それで、ジュリとの関係は?」
結局、質問には一切、答えてもらって無い様な。
「手土産、だ」
「……」
まさか、同じ言語を喋る人と相対するのに、通訳を欲することになるとは思わなかったなぁ。普段から、アクアさん辺りを相手に欲しがってる気もするけど。
「友好的な交渉を望むのであれば、貢物くらいは用意するだろう。そして、男であらば、誰でもお淑やかな女性の出迎えを喜ぶものだ」
ダメだ。これは言語は通じるのに、会話は成立しない典型だ。