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 お盆ということで、先祖の霊が故郷に帰る時期なのですが、こう、人の流入が激しい時代だと、私の御先祖様は一体、何処に居るんでしょうね。海の一つや二つ、平気で越えなきゃなりませんし、結局、遠くにありて偲ぶのが良いのでは無いでしょうか。

( ・ω・) どっか行くのが面倒だとか、いや、そんなことは

「まあ、無理すりゃ、明日の朝には何とかなりそうだ」
「別に、そこまで急ぐ用も無いので、少し寝て頂いても良いのですが」
 形式的にこうは言って見たものの、今晩も寝ないんだろうなぁ、と思う。腕は良いだけに、この無茶な仕事っぷりで寿命を縮めやしないか、本当に心配だよ。
「おっと、そういや柄を直した時に、こんなもんが出てきやがったんだが」
「はい?」
 言われて差し出されたのは、一枚の紙片だった。一般に、柄と刃は一体化してるんじゃないかってくらい密接な状態だから、こんなものを入れる余裕はない。何でもこれは、滑り止めで柄に巻かれた革帯の内側に入っていたそうだ。御丁寧に樹脂の皮膜で包んで一種の緩衝材として使っていたらしく、ところどころたわんでいるものの、損傷は無いに等しかった。
「何かが書いてあるみてぇだが、読んじゃいねぇよ。幾ら俺が世俗的にどうしようもない人間でも、そんくらいの分別はあるからな」
 その件については、深く考えて頂かなくても大丈夫です。ほら、今、僕の横に居る二人の仲間が、恐らくは差出人である僕の許可もなく覗き込もうとしてますから。
「ね、ね。それってつまり、アレクの兄さんが何かあった時の為に書き残したもんってことでしょ? しかも、あの仲間のお姉ちゃんにも知られない形で」
 たしかに、トウカ姉さんがこれに触れなかった以上、知らなかった可能性が高い。とはいえ、あの姉さんのことだけに、うっかり忘れてた可能性も無い訳じゃないんだけど。
「何か、物凄いお宝の匂いがするんだけど」

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