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 スカウターってあるじゃないですか、スカウター。ドラゴンボール世界の、戦闘力を測れる便利グッズ。あれって、測量限界を超えると、ボンッとか言って壊れる仕様になってますけど、何であれを作った科学者はそんな設計にしたんですかね。いや、エラー表示にすれば済むはずなのに、どういった理由で物理的に粉砕してしまうのか。機密保持でしょうか。でも、旧型スカウターでさえ、測れなくなる限界点は二万オーバー……宇宙に数える程しか居ないというのに、わざわざそんな想定をするものなのでしょうか。やはりここには、何か深い理由が隠されてると考えるのが妥当だと思う次第です。

( ・ω・) 貴様一体、何を真面目に語ってやがるという反応は常識的です

 やれやれ。クワットさんの奥さんもそうだったけど、あのほわほわぼけぼけした空気を持った人がお嫁さんとお母さんをやってるって、凄い世界だよなぁ。うちの母さんも、若干、その気が無いとは言い切れないけどさ。
 あれ、そういえば、アクアさんが所属するアリスト派って、女性僧侶の結婚、出来たっけ。え、記憶が定かじゃないからあれなんだけど、アクアさんがあの立ち位置に収まる可能性がある訳? うーわ、世の中、気付くべきではない真理っていうものが、そこら辺に転がってるものなのやも知れないね。

「ここが、お住まいですか?」
「ああ、そうだ」
 三人に連れられてやってきたのは、村の中心地からは少し外れた、森の入り口に程近い場所にある一軒家だった。一言で言うと、丸太で組まれた、普通の小屋って感じだ。ああ、そうか。大きさは違うけど、この親父さんのお父さんが暮らしてたほったて小屋に、ちょっと似てるかも知れない。やっぱり奥さんがエルフで、旦那さんが人間という特殊な家庭事情だと、森の近くで自然に囲まれつつ、人間らしい生活もしたいという妥協点として、こういったものになるのも必然の流れなのかもね。
「うーん、あんま金目のものの匂いはしないなぁ」
 さりげなく、シスがとんでもなく失礼なことを言ってる気もするけど、もうここまで来たら失礼合戦で、行くところまで行っちゃってもいいと思うんだよ。
「アレク君、だったか。済まないが、少し薪割りを手伝って貰っていいかね」
「あ、はい」
 特に大した御礼が出来そうもない状況で泊めて貰うんだし、お手伝いくらいはむしろ進んでやりますよ。

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 2022年、ワールドカップ開催国がカタールに決まったそうです。まあ、アメリカかカタールのどちらかかと概ね予測されていたので、別に何の驚きもありやしないのが素敵なところ。オーストラリアが全く伸びなかったのがちと意外だったくらいですか。ってか、日本の可能性はそもそも無かったも同然なんじゃないですかね。金も積んでない、国民に殆ど周知してない、2002年に共催やったばっかだ、プレゼンに昭和の匂いがした。試合は選手、監督といった現場の力も大きいですが、この手の招致は殆ど政治力ですから、準備不足の感は否めなかったかと。
 そもそも、たかだか20年のスパンでやろうってのが間違いなんですよ。こういうのは50年に一度くらいで良いんです。これでこそありがたみが増します。熱狂的なサッカーファンなんて、二回も自国開催を見ちゃったら、思い残すこと無くなって昇天しちゃいますって、割とマジで。

( ・ω・) WBC二回連続開催のアメリカで、死人が出てないのはこれ如何に

「まあ、それはそれなりに何とか」
 この流れだと、どうにも適当な廃屋にお邪魔するとは言いづらい空気がある。
「宜しければ、うちにお泊りになりませんか?」
「い、良いんですか」
「ええ、私の故郷を知る方に出会えたのも何かの縁。色々と、お話を伺えればと思いますわ」
 う、やっぱり、そういう流れになりますか。でも半野宿ってのもそろそろあれだし、人が住んでるところの方が嬉しいなぁ。
 まあ、少し落ち着く間を取れれば、きっと何とかなるよ。うん、僕はやれば出来る子。但し、女性以外に対して限定で。
「ちぇ。何でそんな奴ら泊めんのさ」
「ジョン、失礼なこと言わないの」
「ハハハ、そうだぞ、ジョン。お客様はいつだって神様だ」
 いや、その生意気な態度、個人的には悪くないですよ。何だか、リオール君を思い出す感じで。そういえば、最近、ちゃんとした連絡取ってないけど、あの三人、元気かなぁ。まだネクロゴンド周辺に居るってんなら、距離的にはそんな遠くないよね。あっちのパーティは魔法使い二人に賢者っていう、尋常じゃなく偏った編成だけど、元傭兵のクレインが何とかしてくれてるはずだ、多分。
「お茶は、御座いますの?」
「ええ、ありますわ」
 おっと、何だか凄く久々に聞いた気がしますよ。アクアさんの、臆面の無い、お茶要求攻撃。流石にこれだけ回数を重ねると、そろそろ様式美の感さえ漂ってくるよ。大人としてたしなめるのも億劫というか、選択肢として後方に追いやれる様になってこそ、アクアさん使いの達人だと思うんだ。
「では、参りましょうか」
「ですの」

 最近の民主党は、毎週毎週、何かしら問題を起こしますよね。今週は、中井洽氏のターン。これはむしろ、かのドラマ脚本家、橋田壽賀子氏が関わっていると見るべきではなかろうかと。普通、毎週毎週、こんなに問題起こせませんよ、意図的でない限り。
 半年くらい前の民主党はオールレンジフルボッコということでボコボコに叩かれてましたが、ここのところは目を瞑って拳を振るっても、何かに当たるレベルじゃないですか。

( ・ω・) えなり君なら、えなり君なら、のっぺりとこの局面を躱してくれる

 こうなったら、とりあえず嘘をつかない程度に、少しずつ切り出していこう。或いは、案外、すんなりと受け入れてくれるかも知れない。
「そうなんですよね~。私はあそこで生まれ育ったから分かりますが、どうにも皆さん、人間に対しての偏った物の見方が消えなくて。たしかに、人間にも悪いことをする方は居ますが、それは私達エルフもそう差が無いと思いませんか?」
 あ、何だか最初に覚えた妙な感覚が何なんだか、今、ちょっと分かった。この人の作り出す雰囲気が、アクアさんに似てるんだ。豊満の権化みたいなアクアさんと違って、頭と足を持って膝に叩き付けたら折れるんじゃないかってくらいに華奢で線が細いから、すぐには分からなかったよ。
「ええ、全くです。木を見て森を見ずとは言いますけど、極一部の方の所業を以って種族全体の価値を決められるというのは、実に遺憾というものです」
 となれば、アクアさんと顔を付き合わせて、早二年弱。アクアさんの取り扱いに関する免許試験があれば、三回くらいの不合格の後に何とかギリギリ資格取得できそうな僕の腕前も見せて差し上げようじゃないか。
「そうですよね~。種族に関わらず、最後はやっぱり愛ですよ」
「……」
 だ、ダメだ。この人の持つ空気は、アクアさんよりも強烈だ。もしかすると、前面に押し出すことによって、バラモス軍との戦闘も多少は減らすことが可能かも知れない。モンスターに空気を読むなんて芸当が出来るか知らないけどさ。
「ところで、今晩はどちらにお泊りになるんですか?」
 のんびりと話してる間に、朱色に染まっていたはずの空が群青色へとその姿を変えていた。

 最近、空気を通り越して真空なんじゃないかって勢いの存在感しかない国民新党ですが、何故だか郵政関連法案で若干の脚光を浴びつつあります。何で又しても会期終わる直前に言うんだろう。夏休みの宿題かよ、もっと早く言えよとツッコミを入れたいところですが、何か高度な戦術なんですかね。通る訳無いのを分かっていながら、支援者の手前そういう訳にもいかないというか。ってか、民主党、通常国会の終了間際に、『今回は時間が足りない。秋の臨時国会でじっくり時間を掛けてやりたい』って言ってましたが、『補正で忙しかった。一月からの通常国会でじっくりやろう』とかほざいてました。夏休みの宿題だったのは、民主党だったよ!

( ・ω・) こうしてみると、何だか味わい深いような、スカスカなような。考えたら負けの気がする

「ふつーに直球でいいんじゃないの? あったことをそのまんま言うだけで」
「でも、結構な大事だよ? あの様子じゃ、ノアニールがどうなったかも知らないっぽいし、あけっぴろげに何もかも伝えたら相当の衝撃になりそうなんだけど」
「ですが、知り合ってしまった以上、伝えることは責務だと思いますの」
「あの~」
「いや、僕も言わないことを考慮すべきだって言ってるんじゃなくてさ。『今日はいい天気ですね』くらいから入って、何とか自然な会話の流れで辿り着けないかな」
「それ、かなり無茶なこと言ってるよ? 具体的に言うと、無装備に加えて正拳突きだけで王宮の警備を突破して王様のところに辿り着こうってくらい」
 うーむ。良くは分からない喩えだけど、無茶な空気感だけは理解できた様な、そうでも無い様な。
「ちょっと、いいですか?」
 うわっ、奥さん、一体、いつの間にこんな近くに来たんですか。仮にも剣士として、喋って考える方に集中しすぎて、背後を取られて気付かなかった失態については、あんま触れないことにするけどさ。
「何の話をされているんですか?」
「えーと、ですね」
 ぜ、全然、方針が纏まってない内に、問い詰められるのは、正直なところ、辛いです。ってか、シスとアクアさんは僕の後ろに逃げ込んじゃったし。困った時に、僕に全部委任するのって、信頼されてるのかどうなのか、微妙に判断が分かれるところだと思う。
「エルフの皆さんは、そりゃもう元気でしたよ。まあ、若干の種族的偏見があるせいか、必ずしも友好的とは言えませんが、それなりにといった感じですかね」

 グダグダにも程がある臨時国会も閉会が近付いてますが、党首討論もどうやら行われないようです。菅総理曰く、『いやぁ、やりたかったのに残念だなぁ』だそうですが。この状況で、何でそんな満面の笑みなんだろう。相変わらず、緊張感が足りないと思うのです。

( ・ω・) 支持率が下がり続けると総理は死ぬという俗説は、割と信憑性があるというのにね

 えーと、順繰りに整理していくと、この奥さんはエルフで、旦那さんは多分、人間だよね。ジョン君の耳に特徴があるのは、いわゆるハーフエルフって奴だからなんだろうけど、あれ、何かどっかで、こんな関係についての話を聞いたことがある様な。
 ちょっと待って。順繰りに纏めていくから。こちらの御家族、お子さんが一人なのかは知らないけど、とりあえずお父さんは三十になるかならないくらいの、人間の男性だ。お母さんは、エルフで、僕みたいな凡庸な人間に年齢の判別は難しいけど、多分、旦那さんとそうは変わらないだろう。そして、ジョン君は十歳になるかならないかくらいかな。ハーフエルフが、人間と同じ様に成長するのかどうかまでは知らないけどさ。
 そして、言ったら何だけど、只でさえ辺境なのに、更に完膚なきまでに滅ぼされた不便極まりないこの土地で暮らすなんて、人目を忍ぶくらいしか理由が思い付かない。単に見付かりたくないだけなら、都会の雑踏も選択肢に入るだろうけど、奥さんは何しろエルフだ。目立つなという方が無理ってものだと思う。
 その上で、この奥さんの出身地はノアニール西方の隠れ里とのことだ。これらの情報を総合的に構築すると、何をどうしたって、僕達が関わったあの事案を連想してしまう訳で。
「ちょ、ちょっと待って下さいね。作戦会議しますから」
「はい?」
 奥さんを含めた三人が、何やら、怪訝な顔でこっちを見てるけど、とりあえずは無視しておこう。果てさて、一体、僕達はどうやって話を切り出すべきなんだろうか。



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