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 ここ数日、雨の影響ですっかり涼しいですけど、みなさん、体調を崩されたりしていないでしょうか。このまま秋になれば良いのになぁとは思ってたりもしますが。いいじゃないか。もう八月下旬なんだし、そんな暑くなくたって。まあ、奴らは虎視眈々と逆襲を狙ってますからね。慌てて夏服を片付けることの無いように。

( ・ω・) お前は誰と戦ってるんだと言われると、私にもちょっと分からない

「大した、執念で」
 この状況で軽口を言えるのは、胆力なのか、頭の線が足りないだけなのか、僕にはちょっと良く分からない。
「ま、そのことについては私にも色々と思うことがあってね」
 そう言うと、クリスさんは剣をひいて、腰の鞘へと収めてしまう。
「あ、あれ?」
 あんまりにもあっさりと引っ込められたもんで、こっちとしても呆気に取られちゃったよ。
「えっと、そもそも、何で剣をつきつけてきた訳?」
 本気で斬ってくるとはあんま考えてなかったけど、金属刃の冷たさと、本気の目は、僕の魂を揺さぶるには充分だった。
「何となく、かしら」
「……」
 凄い理由も、あったもんだと思う。
「よくよく考えてみたら、あなた達に、私の手助けをしなきゃならない義理も無い訳だしね。そりゃ、こっちとしたら何が何でも聞きたい気持ちもあるんだけど、そっちにはそっちの事情があるんだし、実際のところ、こんなことする必要も無かったとも思ってるわ」
「そういうのは、もう少し考えてから行動していただければ幸いかと存じます」
 僕が言っていいことなのかは知らないけどさ。
「ずっとね、考えてはいたのよ。ヤマタノオロチを殺すことが、本当に仇討ちになるのか、ってね」

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 代表選といえば、いわゆる小沢票の動向が話題となっていますが、こいつら逆にすげーよな。何でこの期に及んで、小沢氏の決定についていけるんだろう。まあ、親戚やら何やらが、関連の利権を貪ってるからでしょうけど。見ように依っては麗しい忠誠心に見えないこともないですが、私の中で忠義心とは歯向かわないことではなく、過ちを犯した主君に耳の痛い諫言を出来ることなので、単なるイヌ扱いになっています。中国共産党って、歴史的にイヌが一番出世するよね!

( ・ω・) だから割と本気で、近々中共は滅びると思ってる私

「迂闊だったわ。これでも幼い頃から貴族達の醜い宮廷政治を見てきて、人を見る目はそれなりのものだと自負してきたというのに、あの沈黙を読み違えるなんて」
「まあ、これでも純情な一庶民ですので、ちょっと挙動が違うんでしょう。もう少し、下々の者のことを学ばれたら如何かと」
「軽口を叩ける立場だったかしら」
 ゴメンナサイ。ちょっと調子に乗りました。
「それで、あの時は何で口籠ったのかしら?」
「……」
 言い回しを選ぶのに、又しても沈黙してしまう。
「僕の大事な人が、深く関わってるから」
 ようやく搾り出した言葉が、これだった。洞窟の奥がどうとか言うと飛んでいってしまいそうで、口にすることは出来なかった。
「クリスさんは、どうして僕がそのことを知ってるって気付いたの?」
「この剣を鍛えた人がジパングの出身でね。事実上の国主であるトヨ様と懇意にされてるらしくて、色々と話を聞いたらしいわ」
 あの人は何をしちゃってるのかなぁ。いや、多分、情報を集める一環だったんだろうから、そんなに責められることでも無いんだけどさ。
「で、その後は、情報を集めて、キメラの翼で追ってきたって訳。この辺は、まだ小さかった頃に父達と来たことがあったしね」

 民主党代表選が煮詰まってきたのか、グダグダ感を増しているのかは良く分かりませんが、何はともあれ、選挙無しで、三代目の総理が誕生する訳ですね。ふーん、お前らが三年、四年前に言ってた、『民意無しの総理禅譲とは何事か』って……アホらしくて、一々、突っ込む気にもなれませんが。
 ともあれ、今回の代表選は、サポーター不参加なんでしょうか。それよりも、前回の『ノーサイドォォォ』に匹敵する名言だけを、期待したい所存であります。

( ・ω・) この状況で総理をやりたい奴って、アホなのかドMなのか、よく分からん

「あ、あのー、これは一体、どういうことでしょうか」
 又しても、頭の方がついていかないのですが。
「あなた、私に言うべきことがあるんじゃないかしら?」
「え、えーと、この度は、お助け頂き、ありがとうございました」
「それで、本当に後悔しないわね?」
 い、いえ、一つ、心当たりがあると言えばあるのですが、口にするかどうかは、検討中な次第でありまして。 
「ふむふむ。これが世に言う、修羅場という奴か」
 はい、シルビーさん。事情を全く知らないのに適当なことを言うのはやめましょう。たしかに、修羅場っちゃ修羅場だけど、シルビーさんが期待してる方向性とは、全く、関係が無いんだからね。
「私の旅の目的は、前に話したわよね?」
「ケインズ翁の仇を討つ為、だったかと」
「その仇の名前は?」
「ヤマタノ、オロリ」
 わ、わ。思いっきり動揺して、ちゃんと発音できてないし。
「何か、心当たりは」
「あり、ます」
 ここまで来ると、しらばっくれることが出来なかった。剣をつきつけられて脅迫されているのも一因だけど、何よりも気迫に押された格好だ。仇討ちが正しい生き方か、僕には分からないけど、一命を賭している覚悟だけは伝わってきた。

 隣国中国のキャッチフレーズに、『中国四千年の歴史』というものがあります。唯まあ、この数字、三千になったり、五千になったり、すげー曖昧なのは御存知の通りです。そして、ふと思う。歴史というか、文明の起点の定義って何なのさ? 人が、ある程度以上、集団生活したてたら文明? 一次産業に携わってない人の比率が、一定を超えたら? 火や車輪、言語といった、現代にも通じる、それっぽいものが使用されていたら? 大雑把に、中央の政局で何があったか知られていたら? もう、何が何やら訳分からん。考古学界では、ちゃんと定義されてるのかしら。
 日本の政治的動向を把握してるという意味での歴史は、千四、五百年といったところでしょうけどね。正直、古墳時代以前は、曖昧な部分が多すぎると思うんだ。

( ・ω・) そういう意味で、中国の歴史も三千年程度が妥当ではなかろうか

『ヒャダイン』
『ヒャダイン』
『ヒャダイーン』
 向こう側では、シルビーさんが解き放たれたかの様に氷系魔法を連発していた。幾ら厄介なスカイドラゴンが居なくなったからって、あれはやりすぎじゃなかろうか。何だか、只の憂さ晴らしに見えないこともない。
「さて、と」
 部隊の中枢であるエビルマージとスカイドラゴンを欠き、戦況は一方的なものへと変わっていた。もう、無理することもないかな。残党退治はあっちに任せて、僕は左肩の回復に専念しよう。ああ、痛かった。
「ま、こんなとこかな」
 蜘蛛の子を散らすようにして魔物達を追い払った三人は、僕達の方へと歩み寄ってきた。
「ふぅ、良い仕事をした」
 合流早々、自分では中々、言えないことを平然と言えるのが、この人達の怖いところです。
「この方は、どちら様ですの?」
 ああ、そういえば、アクアさんはクリスさんと面識無かったっけ。
「前に、話だけはしたと思うけど、ポルトガでお世話になったクリスさん。大剣豪ケインズ翁の弟子で、公女様なんだって」
「良く似てるとは、言われるわね」
 その形式は、崩さないんだ。
「それで、ね」
 そう、一言だけ口にすると、クリスさんは剣の刃を、僕の首筋につきつけてきた。

 


 まあ、ここのところ、『テレビ見てねー。ニュースしか見てねー』とか、妙に偏った方向から物を言っていた様な気がします。いや、私が思うに、多分、何かしら私にとって面白い番組はあるはずなんですよ。毎日、あれだけやってるんですから。ただ、それを発掘する為に、その五倍か、十倍か、或いは何十倍っていう、つまらない番組を見る根性というか、労力を惜しんでるだけで。しかも最近のつまらないって、イラッとするという意味でのつまらないですからね。精神の安定の為、見ない権利を行使するのも無理からぬことではないでしょうか。

( ・ω・) 要は結局、解散するまでテレビ買いそうもない

「私が、あなたを見逃すと思ってるの?」
 言葉尻の問題なのかも知れないけど、僕が数に入ってないのは、ちょっと切なかったりする。
『バイキルト』
『スカラ』
 と言っても、結果として助けて貰った訳だし、これくらいは、ねぇ。
『――』
 エビルマージが声無き声と共に左手を上げた瞬間、後方でシス達と戦っていたスカイドラゴンが二頭、こちらに向かって飛んできた。
 僕の斬撃は、あの巨体相手では必ずしも有効とは言えない。ここは数少ない弱点であるヒャド系呪文をもう一回ぶつけて――。
「ケインズ一刀流、覇軍の太刀――『神無月』」
 僕の目には、クリスさんが剣を横薙ぎに一閃しただけの様にしか見えなかった。だけど、そのたった一振りで二頭のスカイドラゴンはその身体を両断されていて――何が起こったのを理解するのに、数拍の間を要してしまう。
「チッ」
 そんな、圧倒的戦果を上げたにも関わらず、クリスさんは舌打ちをした。理由は簡単だ。今の遣り取りの隙に、エビルマージは既に消えていたからだ。この、僅かな時間を作る為だけに、その命を投げ出せる程、統制の取れた部隊。これも、僕の経験には無いものだった。

 



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