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 肝煎という言い回しがあります。キモイリと読みます。肝入と表記することや、送り仮名の『り』がくっつくこともあります。現代日本語では、心を砕いて両者の面倒を見る、といった感じの意味合いです。近年は偉い人が気合を入れて推し進める的な用法もあり、少しばかり変質している気がします。本来は文字通り肝、即ち内臓にゆっくり火を通すことです。肝には精神のニュアンスもあるので、丁寧に扱う表現となった訳です。江戸時代には、肝煎が役職に近い感じで用いられることもありました。農家の取り纏め役である名主や庄屋の異名が一例です。他にも高禄で無役の旗本の上席を寄合肝煎と称しました。並べると、コミュニティの中では媚びへつらわれるけど、もっと上にはへこへこしなければならない中間管理職にこそ相応しい気がしてきます。とはいえ人間の世界で何処まで出世しようと結局は調整役な訳でして。権力でゴリ押ししてるように見えても、肝煎の部分は無くなってないのかも知れませんね。

(・ω・) 独裁者の強行を、肝煎と呼ぶかと言われれば微妙だな

【武家の出じゃないし潔さとか言われても】
公:天下人が現れたら、俺の処遇はどうなるのだろう。
遊:勝ち馬に乗れるかどうかだろ。
莉:見極め失敗すると、功績が吹っ飛ぶらしい。
公:そうなったら出家するから許してと泣き叫ぶか。
遊:こういった具合に体面を捨てられるのが、
 お前の良いとこであり、悪いとこでもある。


【折角だから日記にしたためておこう】
公:命あっての物種は真理じゃないか。
遊:生き意地が汚いのは一つの資質だがな。
莉:後世にどう思われるとか興味ないの。
公:掃いて捨てるほど居る負け犬の一匹だぞ。
  余程の奇行に走らん限り目立ちはしない。
遊:追い詰められた末に醜態を晒しそうだが、
 それはそれで見ものな気がする。


【空っぽの器だって立派な個性かもよ】
公:勝利側でも加増という体で僻地に飛ばされると聞く。
莉:民と引き離すことで弱体化できるんだっけ。
遊:そんな慕われていたとは初耳だ。
公:国衆総入れ替えの方が現実味ある。
莉:何処までお飾りなのさ。
公:土地と無縁なことが数少ない存在意義だとすれば、
 自分とは何なのかを考え込んでしまう。


【収集するのに傑物が必要となる訳だ】
公:野心がある訳でもなし、田舎の方が気楽かも知れん。
遊:私らの恩賞はどうなるんだ。
公:山奥の寒村なら分け与えられるんじゃないか。
遊:やっぱり、何処かで鞍替えすべきだな。
莉:売り時を見極めてるのは、大名に限らない。
公:身分に関わらず出世できる時代は、
 思惑が入り乱れて制御が難しいということでもある。

 信長の次男である織田信雄は、小田原の役の戦功で家康の旧領を与えられる予定でした。しかし織田家と縁深い尾張から離れることを嫌がり、改易させられてしまいます。その後、何とか豊臣臣下に復帰させて貰えたものの関ヶ原で傍観していたことに目を付けられて、二度目の全没収を食らいます。あまり有能なイメージが無い信雄ですが、この世渡りでのやらかしが影響しているんですかね。最終的に大坂の陣で徳川に寝返って大名となる辺り、実はやり手な気もするんですけど。
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