2010
長年、色々なキャラクターを書いてきましたが、さりげに無口キャラが成功した試しがないように思えます。まあ私にとって優秀なキャラクターというのは、良く喋ると同義に近いものがあると思うので。それは私がボケなきゃ死んじゃう病で、面白いことを言ってくれる奴を優先させるから、一般的な意味合いとは違うんでしょうけど。喋ることが少なくても人を惹きつけることはままあるでしょう。そこらも、今後試していきたいなと思います。
( ・ω・) 待てよ。むしろ密度を高めて面白いことを言えば、インパクトは上がるのではないか
「面と向かって、はっきりと言ったわね」
こう、軽く受け流してくれる王侯貴族ばっかりなら、もうちょっと声を大にして言えるんですけどね。
「しっかし、金より高い金属があるって話には聞いてたけどさ。こう目の前に出されると納得って感じだよね」
一方、シスは机の上に置かれた精製済みヒヒイロカネをマジマジと見ながら、そんなことを口にしていた。
「物の値段は、その稀少性と欲しがる人の量で決まるからね。武器の素材として有用だけど、世界でも余り産出されないものだから、必然のことなんじゃないかな」
「それ、ゴールのオッサンの受け売りじゃん」
「えへ」
所詮、根が商売人じゃない僕には、理屈は口に出来ても、血肉が通った言葉は吐けないんだよ。
「これだけの量ともなると幾らになるのかしらね。新しく裏帳簿でも作らないと、辻褄が合わなくなるんじゃないかしら」
「ひ、ひぃぃ」
それにしても、この口の悪さっていうか、徹底した攻撃姿勢はなんなんだろうか。やられたことがやられたことだし、分からないでもないけど、ちょっと執拗すぎる。これが単に、出自に依るものだったら、そこまで気にすることじゃないんだけどさ。
「まあ、それはそれとしまして」
正直、この一件に関して、僕はそろそろどうでも良い事案に分類されつつあるし、シスに至っては端から気にもしてないからこれ以上謝られても困るんだけどさ。
「ジュリと……モロゾフさんは、こんな落とし所でいいんですかね」
さっきから特に何も発言しないし、どう扱っていいものか分からなかったものだから放置してきたけど、そろそろこっちも処理していかないといけない。