2010
何でも、今国会に於ける政府提出の法案の成立率が、戦後二番目に低い水準だったとか。普通、こういう時は延長して審議しますよねー、まあ、あくまで、『普通』なんですが。
( ・ω・) 常識を打ち破るという意味では、民主党は他の追随を許していないやも知れない
「私も、完全に把握している訳ではありませんが、何でも背後には各国家が複雑に絡み合った、複合組織があるとか」
「そんなでかいもんにスピルって人は近付いてるんですか?」
何だか、僕がどうこう出来る次元の、遙か上を行ってる気がしてならない。
「キメラの翼は、あくまでも小手調べです。スピル達は、ここで得たノウハウと人脈を基盤として、いずれは世に流通する大多数の商品の値を自在に操り、僅かずつ、しかしながら莫大な富を得ることでしょう」
うん、話は大筋で分かった。その上で敢えて言わせて貰うよ。
「それで、僕達にどうしろと?」
こう、何て言うか勇者って、町のお助け屋さんみたいな側面があるけどさ。ここまで来ると、国家レベルで介入しないと、どうにもならないと思うんだよ。
「勇者様のお力で何とかなりませんかね?」
「えー、勇者というのはあくまで人間なので、神様みたいな扱いをされても無茶振りってものなんです」
もう、頭の容量を超えちゃって、言葉遣いがあやふやだよ。
「じゃあ、せめて、スピルの所在と正体を明かして貰うというのは」
「……」
ん?
「何だか、聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんですが……スピルっていうのは、特定の誰かのことじゃないんですか?」
こう、堂々と顔役として町に君臨してるもんだと思ってたんですが。
「いや、どちらかと言うとコードネームに近いですね。その本名も、顔も、性別すら、正確に知る者は限られているのです」
「それを明かせば、何とかなるんですか?」
「奴らは必ずしも一枚岩とは言えませんので、それを暴露することで内部分裂を促すことも不可能ではないかと」