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 今だからバラせることシリーズ。サイエンス・ハンターの第二部は、禊の母親の昔の男である異世界の魔王が、こっちの世界に来るというものだったんだよ。一体、何を考えてこんな設定になったんだろうねぇ。

( ・ω・) いやぁ、俺も当時は、若かったなぁ

「人の分に過ぎた能力、ですか。何て言いますか、僕には無いものなので、心の底からは分かりませんけど」
「何を言うておる。余と御主は、良く似た存在じゃぞ」
「そう、ですか?」
 片や、七歳位から国の代表を務めている麒麟児、片や、父と兄がそうであったというだけで勇者として送り出された臆病な少年、比較するのも、おこがましいと思ったりするんだけど。
「年端に合わぬ肩書きを背負わされ、国難に立ち向かうべく立たされたとすれば、同質であろう」
「物は言い様ですね」
 口先は、政に携わる者の必須事項。 本当、神様とやらはどれだけの才をこの子に与えたんだろうね。
「じゃが、そなたは余と違うて肩書きの全てを受け入れてはおらん。そこが最大の相違であり、生き様の差となっておるのじゃろうな」
「生き様、ですか?」
 あれ、この流れ、ひょっとして僕、説教されるの?
「御主、一体、何に怯えておるのじゃ」
 棒状の扇子を眼前に突きつけられ、まじまじと問い詰められる。
 僕が……怯えている?
「死ぬのは……怖いです」
 真っ先に脳裏をよぎった恐れを、口に出した。
「そうではない。死と孤立に対する畏怖は、人が持つ原始の感情。持たぬ方が狂人であることを敢えて問い質す程、余も愚かではないわ」
「じゃあ、一体――」
「言うてやろうか。そなたには英雄となることを拒む心がある」
 ビリリと、雷撃を食らわされたかの様な衝撃が走った。
「正確に言うのであれば、名が知られ、兄と比肩されることを、かのぉ」
 正鵠を射るとは、正にこのことか。僕の心の一番深い部分を暴かれて、寒空の中、薄着で放り出されたかの様な心持ちになってしまう。

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