2010
参議院選で、思ったほど人気が無いことが発覚した枝野幹事長。『まさに』とか、『実は』を多用する人ということに気づきました。自分で発言のハードルを上げるだなんて、何てマゾい御方。日本語の流れとしては、『まさに』なんてつけたら後にうまいこと言わないといけませんし、『実は』だったら、驚きの真実が無ければいけません。実際、そんなことは特に言わないんですけど。
( ・ω・) 良い子の皆は、このことを反面教師として、多用は避けるんだよ!
「我々が保有する店も、実績のある店であれば、仕入れ品を後払いで済ませられることがあります。
尤も、これを悪用して、計画的に店を潰す輩も居るのが困ったものではありますが」
お金って、人間にとって凄い発明品だけど、新たな露骨な欲望も生んだ訳で、実に困ったものだよね。
「これは、後払いを認める契約書、手形と呼ぶこともありますね」
言って、クワットさんは真ん中に大きく数字が書かれた紙を見せてくれた。他にも何だか文字と思しきものが書かれているけど、細かすぎて判別は付かない。
「一定の期日を迎えると、これを現金と引き換えることが出来ます。もしもそれが成されないと商人界のブラックリストに載り、いずれは誰とも取引が出来ない状態に陥ってしまう訳です」
「あの、一つ質問が」
「どうぞ」
「それ、紙ってことは硬貨より遥かに偽造が簡単ですよね。偽物が大量に出回ったら、あっというまに店が潰れません?」
真っ先にこんな発想をするようになってしまったのは、シスか、或いはクワットさん達、商人の影響か。僕は将来、どんな大人になるんだろうね。
「もちろん、相応の対策が取られております。只の紙切れに見えるやも知れませんが、偽造防止措置は幾重にも取られています。
そして当然、その収支は硬貨同様、厳密に管理されていますし、不自然な流れがあれば独自調査をし、場合に拠っては、第三者に調停を求める場合もあります」
成程。そりゃ、僕が思い付くことくらい、ちゃんと対応してるよね。
2010
国会の予算委員会が大分、荒れている模様です。というか、政府民主党サイドが、全方位フルボッコというか。中々、無いですよ。ここまで全ての方面で弱点しか無い政府与党っていうのも。普通、攻めどころは二つ三つしかないですし。しかも、三ヶ月もまともな国会討論してこなかったから、ネタは溜まりまくってますし。
( ・ω・) これはきっと、奇跡の大逆転をして与党の力を見せつける作戦に違いない!
「お金というものは、その額に応じて役割というものがあります。一ゴールドであれば子供が駄菓子の為に握り締め、十ゴールドであれば庶民が少し張り込んだ夕食の為に割き、百ゴールドであれば平均的な成人男性の日当、千ゴールドであれば業物の剣を手にしたりと、ね。
この額には、この額に相応しい使い道があるのです」
何だか、用兵術っぽくなってますけど、商売の話で良いんですよね?
「詰まるところ、買収です」
あれ、意外と普通の単語が出てきたような。言葉自体は、結構、物騒な気もするけど。
「買収って、幹部でも取り込もうっての?」
「いえいえ、幾ら商人が利に聡いとはいえ、義も重要です。その様な裏切りをしてしまっては、今後、この世界で生きていくことは難しいでしょう。
仮に居たとしても、恐らくは数名。有効な手段とは言えません」
「じゃあ、何を買うんです?」
どうも、この業界には疎くて発想が貧困にならざるを得ない。
「言いましたでしょう。全てを、ですよ」
正直、何を言っているか分からない。
「ゴールドが、各国の信頼の基に成り立っているという話を聞いたでしょう。ですがそれは国家に限りません。世の、人に関わるありとあらゆるものが、信頼という曖昧なものを基準として切り売りされているのです」
「土地や、高価な宝飾品なんかを担保に、お金を借りたりですか?」
「それも一つでしょう。返済が滞った際、等価以上の価値を持つ物品を渡す契約に、信用があるから成り立つ契約という訳です」
確かに、浪費癖のある人に、積極的にお金を貸そうとは思わないよね。
2010
参議院選から一月程経ちましたが、ついに総理が『比例第一党は俺らだから信任されてる』とか言っちゃいました。あのね、総理。比例第一党と言っても、民国合わせて33.27%と、与党はほぼ三分の一の票しか得てないんですよ。しかもそれで議席数は改選第二党っていうのは、一票の格差が露骨に出てるってことでしょ。選挙制度が間違ってると言うなら、削減だけじゃなくて、衆参共に選挙区の見直しを含めた大々的な議論を提起したらどうですか。
( ・ω・) しかし、絶対言うと思ったけど、長い溜めだったなぁ
「残念だけど、クワットさんみたいに、一代で財を成したタイプの商人は、一ゴールドの間違いも許さないくらい細かいから、儲けられるんだと思うよ」
それにしても、本人の前で言うシスは、やっぱり凄いよね。
「いえいえ、私など、世界に居る三大豪商に比べれば微々たる商いしかさせて頂けておりませんよ」
まだ上が居るんですか。本当に、どうなってるんです、この業界。
「ってか、何でその三つのグループは、スピルのことを放っておいているんですか」
足元を、良く分からない虫だか沢ガニだかに齧られてる状態なのに、何の対処もしないのは不自然だ。
「一因として、軽く見ているというはあるでしょうがね。最も大きい理由は、いずれかと繋がって容易には手出し出来ないというのが真実でしょう」
うわー、何だか、更に難易度が上がる話を聞いた様な気がする。
「と言っても、所詮は表面的な利で繋がっているだけの関係。我々が介入したとしても、本気で守るようなことも無いでしょう」
本当でしょうね。やですよ。只でさえモンスター達と相対して忙しいっていうのに、世界中の暗殺者から狙われるみたいな展開は。
「それで、この資産を使って、具体的に何をどうするんですか?」
生憎と、僕の金銭感覚は、路銀と小遣い銭程度が精一杯で、この規模のお金の使い方なんて想像も付かない。シスが言うみたいに、働きもせずダラダラとのんびり人生を送るっていうのも、本気で考えちゃう額なんだもの。
2010
菅政権が発足して早二ヶ月ほど。ようやく初の国会論戦が始まりました。まあ、初日ということか、谷垣氏に関してはまだ試運転といった感じですが。
( ・ω・) しかし、いつ見ても政府サイドは、質問にちゃんと答えようとはしないな
言われて目の前に置かれた紙の束を手に取った。
えーと、どう読めば良いかは今一つ分からないけど、多分、この表の合算値だから――。
「……」
え?
「足し算を間違えてる訳でも、桁の認識がおかしい訳でもないですよね?」
「恐らくは」
いやいやいや。幾らポルトガで一、二を争う大富豪だからって、この額はおかしいですって。普通に働いたら、一万回は人生やらない限り稼げない数字じゃないですか。
見ず知らずの僕にポーンと船をくれるなんて言い出した人だから、何か普通じゃないとは思ってたんだけど、実は子供に小遣いをあげるくらいにしか思って無かったんじゃなかろうか。
「これ全部賭けるってことは、ひょっとして、スピルも同じくらいの資産を持ってるってことですか?」
「推察するに、私の方が六四で上回っているというのが濃厚だが、不確定要素が多くてね。最悪の場合、こちら陣営が少ないというのも、ありえるやも知れない」
こういう人達がなりふり構わずお金を集めるから、貧困が無くならないんじゃないかと、ふと思う。だけど同時に、ある程度ちゃんとお金を扱える人が巨万の富を動かしてるからこそ、世界の秩序が保たれてる様な気もする。だって、普通の人が好き勝手にお金を動かしたら、それこそ混乱の極みになりそうな訳で。結局、どちらが正しいのかは、若すぎる僕には、今一つ分からない。
「うーん、ゼロもここまで並ぶとお金って感じがしないよねー。
ん? 逆にこれだけあると、ちょっとくらい減っても気付かれない?」
2010
長いこと、色んな物語を書いてきた気がしますが、いわゆる『お嬢様』というのは書いたことが無い様な気がします。いえ、出自が良いというだけでなく、清楚で可憐で大人しい、ステレオタイプのお嬢様です。家柄が良いだけだったら、月読なんか範疇ですが、あれをお嬢様と認めたら、本当、世界お嬢様委員会に査問を受けてしまうと思います。
( ・ω・) まあ、私が書いたら、どうせアクアみたいに軽くイッたお嬢様になるんですけどね
「アレク様。準備が整ったそうなので、客間までお越し下さいとのことです」
「あ、はい」
召使いの男性と思しき人にそう声を掛けられて、腰を上げた。
どうでも良いけど、立場上しょうがないといっても、様付けはやめて欲しいもんだよね。こう、背筋がむず痒くなるっていうか。
何処までも勇者適正が無い自分に、世の切なさを感じ入ったりしてみたりもするよ。
◇
「アレクさん。私は今が生涯に何度か訪れる、勝負の時だと実感しております」
「はぁ」
話の全容が掴めない以上、適当な相槌を打つしかないよね。
「その内の一つが、妻との結婚でした」
「あら~」
そして、中年男性の冗談は、今一つ理解に苦しむ部分がある。僕もおじさんと呼ばれる年齢になったら、分かるんだろうか。
「全財産を賭け、スピル一派との対決をすると決意しました」
僕から手紙を受け取ったのが、今朝の朝一番。今はまだ昼前だっていうのに、決断が早過ぎる。僕だったら、三日と言わず、二月くらいは悶々と悩む事案だというのに、この人は何なんだろうか。これが商人として成功する為に必要な才覚だと言うなら、僕には無理だと思うんだよ。
「と言いますか、クワットさんの全財産って、具体的に何ゴールドくらいになるんですか?」
実際に、硬貨で動かせるお金はそこまでじゃないと思うけど、この家やお店、商品、備品の価値に加えて、信用で借りられるものまで加えるとしたら、それこそ国を買い上げられそうで怖いものがある。
「正確な額は日々変動しておりますので、やや曖昧ですが、大体で良ければ、そちらの資料に」