2021
入道と呼ばれるものがあります。ニュウドウと読みます。道に入ると書きますが、この場合は仏道を指します。なので出家することやその人、または仏教に関する教えや言葉などが本来の用法です。他にも、剃髪しているお坊さんが多いことから、スキンヘッドを称したりもします。個人的には、大入道、一ツ目入道、輪入道、見上げ入道といった妖怪の印象が強いです。世間から遠い場所で修行するのが一般的ですから、浮世離れしたイメージと結び付けられたんじゃないでしょうか。現実の坊主がどうであるかはともかくとしまして。積乱雲の俗称である入道雲も、大入道のように巨大な姿から名付けられたとされています。他にもゴンドウクジラを入道イルカと呼んだり、蝶や蛾のサナギや地虫を入道虫と呼称することもあるようです。こうして並べてみると、馴染み深いもののようにも思えてきます。妖怪関係はともかくとして、入道雲以外を日常会話で使うかと言われると怪しいものがありますけどね。
(・ω・) 坊さん自体が尊敬されてない近頃の風潮のせいなのかしら
【日本の下請け孫請けシステムの源流を見た気がする】
朱:ニニギさんって、設定の割に知名度が低いですよね~。
黄:天照の孫にして、国を譲り受けた初代統治者のはずなんだよぉ。
天:更に子孫の、ヤマトタケルの方が知られてるくらいです。
朱:まるで自分とは関係無いみたいな言い方ですけど~。
黄:元々、なんで自身で行かず孫に任せたかと言えば、
面倒だったからって説が有力視されてるんだよぉ。
天:私だって父に放り投げられたのですから、別に良いじゃないですか。
【とはいえギリシャ神話なら埋もれる程度な感じもある】
黄:現代人の感覚からするとヤンチャなのが一因だと思うんだよぉ。
天:容姿を理由にイワナガヒメの嫁入りを断ったり、
正室であるサクヤヒメが家に火を付けても止めなかったりと困った子です。
朱:奥様も中々です~。
黄:バカ夫婦の元祖とも呼ばれてるんだよぉ。
朱:この濃いキャラクターを活かせなかったのは、
もったいない話なのでは無いでしょうか~。
【子々孫々にもタイムリミットが設けられたのは恨んで良いのでは】
天:既にこの世の住人で無いというのが致命的かも知れません。
朱:ふに?
黄:イワナガヒメには不老長寿を与える力があったけど、
実家に返したせいで神族なのに寿命が限られてしまったんだよぉ。
朱:そのことはちゃんと説明したんでしょうか~。
黄:粋がってるやつは太く短くとか言い出すし、
知ってたとしても結婚しなかったんじゃないかと思われるんだよぉ。
【そこを掘り下げると長くなりそうだからしょうがない】
天:なので、今更ニニギを推しても再興の役には立たないでしょう。
黄:アホでも孫は可愛いという一般論が通じないんだよぉ。
朱:神様って、身内を溺愛か酷薄かの両極端なところがありますよね~。
天:登場人物の大半が親戚ですし、血縁自体は情の理由になりません。
黄:月読限定でバカ姉な理屈が通ってるんだよぉ。
朱:どうして月読さんだけという最大の難問は残りますが、
愛に論理性は無いという定番でお茶を濁すことにします~。
ニニギの影が薄いのは、やっぱりチンピラ感がとんでもないからとしか思えません。まあ価値観なんて時代と共に変わるので、これくらいの方が英雄っぽいという流れが何処かでやってくるかも知れませんけどね。
2021
除夜の鐘と呼ばれるものがあります。ジョヤノカネと読みます。新しい年となる深夜に、寺院にて突かれる鐘の音の総称です。除夜とは、12月31日の夜を指します。大晦日の異称に除日というのがあるのですが、旧年を除く日ということで成立した言葉なのだとか。日本では108回が基本で、仏教に於ける煩悩の数と同じだという説が有名です。他にも季節を区分した十二ヶ月二十四節気七十二候を足したものなんてのもあるそうですけど。歴史はそれなりに古く、中国の宋代に鬼祓いの儀式として始まったものが鎌倉時代に伝来したとされています。初期の一部禅寺では朝晩108回鳴らすこともあったとか。出来るだけ楽に悟りを開きたいという日本人の物臭根性もあってか、一年分まとめてで良いかということに落ち着いたようですが。宗教的理由はともかくとして、あの音と共に年越しをしてきた日本人は多い訳で、廃れてしまうのは寂しいと思うのはノスタルジーなんですかね。
(・ω・) 無きゃ無いで、すぐに慣れるのが日本人ではある
【黄龍は称号的なもので本名は別にありそうだけど】
天:私達の母の名は御存知でしょうか。
朱:イザナミさんですよね~。
天:それはカグツチ兄さんに焼き殺される前のもので、今は違います。
朱:死後に改名って、戒名制度みたいなものでしょうか~。
天:黄龍さんだって、蝮、蛟、龍、角竜、応龍、黄龍と変遷してますし、
出世魚みたいなものですよ。
黄:その喩えが正しいのかどうかは分からないけど、
一つの名前に囚われない生き方を選択する自由はあるはずなんだよぉ。
【しばらく泊めた時に暴虐の限りを尽くされた恨みが残ってそう】
朱:黄泉の世界の支配者になったとは伺ってますが~。
天:会ったことはありませんが、黄泉津大神として君臨しています。
朱:生まれた時には既にこの世に居ないって私と同じ境遇ですね~。
黄:そういや須佐之男の物語は、
そんな母親に会いたいと泣きまくって旅に出る導入だったんだよぉ。
天:命を断てば簡単に拝謁できそうなものですのに。
黄:いつものことながら妹愛は凄いのに、弟の扱いは雑にも程があるんだよぉ。
【ノルマ制の弊害がこんなところで現れるとは】
天:この死別した母がラスボスという設定は活用できないでしょうか。
黄:イザナギへの怨嗟で俗世の人間が一日千人死ぬのはそれっぽいんだよぉ。
朱:日本で亡くなる方ってそんな数じゃ済まないと思うんですけど~。
天:人口増に伴い、調整が入ってるんでしょう。
朱:急に役所仕事感が強くなりました~。
黄:年末なんかに帳尻を合わせる為、
慌てて仕事をしてる可能性がありそうで、ちょっとばかし怖いんだよぉ。
【男にとっての母は意味合いが違うってことでなんとか】
天:なんと言っても穢れまみれを通り越して、
そのものと評しても過言ではないのは高ポイントな気がしています。
黄:母親を良くそこまで言えるんだよぉ。
朱:面識が無いと、肉親の実感が湧かないんじゃないでしょうか~。
黄:それはありそうなんだよぉ。
朱:ですけど、じゃあ須佐之男さんは何なんだという、
新たな疑問が生じてしまうんですけどね~。
今更ですが、兄に焼き殺されたのに、妹と弟が生まれてくるって流石は神話だなという気がします。しかし現代では精子と卵子を冷凍して代理母という手段を用いれば可能とも言える辺り、普通に神域に足を踏み入れてるんじゃないでしょうか。
2021
説客と呼ばれた人々が居ます。ゼイカク、ないしはセッカクと読みます。中国史で春秋戦国時代と呼ばれる、始皇帝が誕生する少し前に頭角を現したとされています。戦国時代という名が示す通り、当時は小国が乱立していて小競り合いから大規模戦闘までが頻発していた時期です。建前上、周王朝ではあったのですがかなり弱体化していて、応仁の乱以降の足利将軍家と似ているでしょうか。この状況から、何処も他国の情報を喉から手が出るほど欲していました。その為、諸国を回り見聞を広めた存在は重宝されました。中でも弁が立ち、礼儀作法を修めた者は交渉人や参謀に近い形で活躍しました。彼らを、説客と称したのです。ほぼ誰かの臣下としてやフリーに近いなど立場は様々だったのだとか。教養と口先さえあれば誰でも出来るという考え方もありますが、敵国に乗り込んで利害を説くのが本業みたいなものですから危険な稼業です。実際、上との行き違いで煮殺されたという記録が残ってたりしますし。現代でもネゴシエーターは重要な役割を担ってますが、口下手で社交性皆無な私の様な人間から見れば、異次元の生き物のようにすら思えてなりません。
(・ω・) まず相手の心境を推し量れというのが無理ゲーすぎる
【自由落下し続けるらしいけど空気の有無で速度が全然違うな】
天:それで宗教に限らず創作の定番ですが、
数を大きくするというのはどうでしょう。
朱:たしかに日本神話はインパクトのある数字が思い付きませんね~。
黄:八百万も、八、百、万という代名詞的なものの組み合わせで、
エイトミリオンって意味じゃねーんだよぉ。
天:阿鼻地獄に落ちるまで二千年も掛かる的な持ちネタが欲しいです。
黄:仏教は仏教ででかくすれば良いと思ってる節があるけど、
感覚的に分かりづらいのはマイナスなんじゃないかと疑ってるんだよぉ。
【だから奇数にしておけとあれほど言っておいたのに】
天:例えば、八岐大蛇も八つの頭だなんてケチくさいことは言わず、
百でも万でも好きなだけ生やせば良いじゃないですか。
黄:正直、キモいんだよぉ。
朱:只でさえ命令系統がどうなってるんだと言われてますのに~。
天:最新の研究では、合議制である可能性が高いとのことです。
黄:尚のこと頭数を増やしたら纏まらないんだよぉ。
朱:それよりも、四対四で対立したらどうなるのかが気になって仕方無いです~。
【むしろコンプまで残り一個なのがモヤモヤしそう】
天:三種の神器だって、剣、鏡、勾玉の三つに拘る必要はありません。
矛、髪飾り、腕輪と、神性を持たせられそうなものは幾らでもあります。
黄:ゴテゴテとアバターを付けまくったみたいなんだよぉ。
朱:一つ当たりの価値が下がりそうです~。
黄:供給過多になれば値崩れを起こすのは基本中の基本なんだよぉ。
天:オリジナルの天叢雲は紛失したことになっていますが、
大量にあれば、それくらいなら良いかになるかも知れません。
【日本神話で最も有名と言えるエピソードだというのに】
朱:アマノウズメさんが踊るシーンを大人数にするというのはどうでしょう~。
黄:歌劇団やアイドルみたいになってるんだよぉ。
天:そうなると演出や統制にも拘らないといけませんね。
黄:あんたを引き摺り出すのが目的なのに、何しれっと参加してるんだよぉ。
朱:これが噂に聞く、インフレに依る設定破綻というやつでしょうか~。
黄:話の整合性より盛り上げるのを重視してるって視点では一緒だけど、
これは役目を放棄した天照の頭が残念なだけなんだよぉ。
元々はこの日本神話の数字をインフレさせてみるというのがネタの取っ掛かりでした。でも一本分にするにはキツいかなと柔軟性を持たせてみた結果こうなりました。今にして思うと、幾らでも広げられたんじゃないかと思わなくもないんですけどね。
2021
風見鶏と呼ばれるものがあります。カザミドリと読みます。英語ではweathercockになります。風向計の一種で、主に教会や住宅の上に設置されます。名前の通り雄鶏を模していて、地面と水平方向に回転できるので風向きが分かります。しかし本場である欧州ではそういった実用性より、魔除けとしての役割が強かったようです。普及しだしたのは9世紀辺りとされていて、既にキリスト教が大勢力を誇っている頃です。雄鶏の鳴き声には邪を祓う力があるという俗信からローマ法王庁が教会への取り付けを厳命しました。そこから民家へも波及していったようです。日本でも鬼瓦などがありますし、家を守りたいという気持ちは洋の東西を問わないのでしょう。一方、風見鶏は東西南北、いかなる方向でも顔を向けることから、定見を持たず移り気で八方美人の喩えとしても用いられます。この用法は欧米から輸入されたものらしく、全方位に良い顔をしようとする人はどんな国でも軽く扱われるようです。
(・ω・) 右顧左眄と書いてウコサベンと読む類語もあるよ
【たまには頼りたいという青龍の悲願も不変っぽいな】
朱:と言いますか、黄龍さんに相談するのは間違ってる気がするんですけど~。
黄:やかましいんだよぉ。
天:かつて栄華を極めた方なのですから、得るものはあると思いますが。
朱:そんな絢爛豪華な生活をしてたんですか~?
黄:現役時代はアホほど忙しかったから、
どうやって青龍に丸投げするかしか考えてなかったんだよぉ。
朱:どれほど世界が移ろいゆこうとも、変わらないものもありますよね~。
【一つを諦めることで得られるものだってあるさ】
天:それに失敗した時の言い訳が欲しいというのもあります。
朱:黄龍さんが関わったせいにするつもりですよ~。
黄:こういう、微妙に保険を掛ける辺りが月読の姉なんだよぉ。
朱:こんな本音を聞いても降りようとしないのは凄いと思うんです~。
黄:どうせ拒絶したところで、延々と粘着してくるんだよぉ。
朱:人間関係の極意のようなものを垣間見た気がしてなりません~。
【人間社会だと優秀と評されるからタチが悪い】
天:という訳で、幾つか素案を用意しました。
黄:全くの無策で来るよりは好感を持てるんだよぉ。
朱:議題だけ持ってきて、中身は考えない方も多いですよね~。
黄:それで仕切るのがうまいとかなら救いもあるけど、
碌に働きもしないくせに態度だけはでかいから腹立たしいんだよぉ。
天:随分と具体的な恨み節に思えるのですが。
朱:私程度の若輩でも心当たりがあるんですから、
黄龍さんほど年季が入っていれば百や二百じゃ済まないんでしょう~。
【無能はどうでもいいことにこそ全身全霊を注ぎ込むからな】
黄:他にも結論が決まってるのに、
あたかも議論をしてる形だけ整えようとする輩も殴りたいんだよぉ。
天:謎のスイッチが入りました。
朱:これで凝り性ですから、話し合うならちゃんとしたいんじゃないですか~。
黄:もっと単純に、無駄なことをするのが面倒なんだよぉ。
天:この発言だけで、以前の黄龍さんが優秀であったことが伺えます。
天照と玄武の喋り方は大して変わらないので、玄武振興策を語るいつもの感じになってしまいそうです。なので日本神話要素を意識して、そういった雰囲気から遠ざけていくのが順当なのだと考えます。
2021
ダニと呼ばれる生物が居ます。壁蝨など幾つかの漢字表記があるようですが、あまり見掛けるものでもなく、日本語だとほぼ仮名で表されます。虫の類ではあるのですが昆虫ではなく、蜘蛛や蠍に近いのだそうです。基本的にはとても小さく、世界中の至るところに生息しています。種類や環境で食性は様々ですが、最も知られているのは吸血です。人間や家畜などに張り付き、蚊と同様に針状の口を突き刺して吸い上げます。それ自体が痒みを引き起こすものですが、死骸や糞などもアレルギーの原因となる為、好きな人は少ないでしょう。更には伝染病を媒介することもあって、人間社会的には完全無欠の害虫に区分されてしまいます。世の中に溢れるダニ退治を売りにした薬剤や家電の多さからも伺えます。また寄生生物の側面が強調されることが多く、比喩的に用いる場合はコミュニティに貢献せず利益だけを掠め取る存在を指します。ダニだってそれなりに頑張って生きてるはずなのですが、人とは傲慢な生き物なので仕方ないのかも知れません。大体、血を吸うのは楽みたいな風潮ですが、自分の何十万倍の体重を持つ相手にへばりつく根性は認めても良いんじゃないでしょうか。食事の為に特撮の怪獣みたいなのに突撃すると考えると、彼らも大変なんだなと思わされる次第です。
(・ω・) でも生き残ってる訳だし、相対的には割が良いんだろうか
【敗軍の将は兵を語らずとか言ってたら意見なんて出せなくなるけど】
天:日本人が日本神話を良く知らない現状に危機感を抱いています。
朱:ふわっとした精霊信仰を持っていても、
ちゃんとした知識のある方は少ないらしいですね~。
黄:宗教との付き合い方なんて、その位で充分な部分もあるんだよぉ。
天:そんな呑気なことを言っていた末路が黄龍さんじゃないですか。
黄:必ずしもそういった理由じゃないんだけど、
没落したのは事実なんで、反論しづらいんだよぉ。
【本来は表意文字だけど表音文字としても活用した歴史がある】
天:まずは原因を考察してみましょう。
朱:当て字的な名前が多くて、馴染みにくいのは一因な気がします~。
黄:仮名が生まれる前に書かれたのが原典だからしょうがないんだよぉ。
天:今の子も音を優先した名が多いですし、そこまでとは思えませんが。
朱:似たものとして扱って良いんでしょうか~。
黄:原点回帰に分類されるかはともかくとして、
漢字に過剰な意味を求めないってところは共通してるんだよぉ。
【本格的にキチガイだらけだと収集が付かないしな】
黄:後は須佐之男如きが英雄的立ち位置なことで察するんだよぉ。
朱:花形の人材が不足してますよね~。
黄:余所と比べて根本的にキャラの立ち具合が微妙ってことなんだよぉ。
天:人間味を重視したのが裏目に出た可能性はあります。
黄:同じ俗物でも、ギリシャ神話くらい飛ばしていけば世界的になれるんだよぉ。
天:定期的に比較されますが、ああなってしまうのもどうでしょう。
朱:イカれてる方が印象に残るのは間違いありませんし、
そこは兼ね合いってやつなんじゃないですか~。
【世の中的に国教自体が廃れていく流れではある】
朱:バトル展開が少ないのは人気に悪影響がありそうです~。
天:最強論争がこれほど盛り上がらない神話もあまり無いかも知れません。
黄:こうして見ると、何処から手を付けても改善になりそうなんだよぉ。
朱:むしろ千年以上、何をしてたんでしょうか~。
天:適度な距離感を意識して近付いたり離れたりをしていたら、
気付けば疎遠になってしまったと言いますか。
朱:子供の頃の友達みたいですね~。
黄:国民に密着しすぎると閉塞感が生まれる面もあるし、
さほど間違ってた訳でもないのが考えさせられるんだよぉ。
という訳で天照の日本神話再興物語が始まります。私もさりげに断片的にしか知らないので偉そうなことは言えませんが、これを機に勉強し直すという名目でやっていこうと考えています。