2021
詰腹という言葉があります。ツメバラと読みます。不服極まりない責任を取らされることを意味します。現代語だと、職を辞さなければならないという具体的な状況を指したりもします。この場合の腹とは切腹のことであり、元は嫌々ながらも自害することでした。詰の方は、詰問、詰責といった、問題の原因を追求するというニュアンスです。かつては命を要求された訳ですから、かなり緩い使い方になったという気もします。価値観が根本から違うという見方も出来ますが。他に腹を使った熟語には、追腹(オイバラ)なんかが挙げられます。殉死の一形態で、主君が死んだ際に家来が後を追って腹を切ることです。しかし忠誠心が高い功臣に死なれると国力が下がってしまうのが実情なので、何度となく禁止令が出されたのだとか。一方で、忠臣蔵の様に支えるべき家が無くなってしまった場合は、これに従う理由がありません。いつの世も、失うものが無い人は何をしでかすか分からないということでしょう。それなりに救済を用意することも、秩序の為には必要なことの気がしてきましたよ。
(・ω・) 無敵の人とは、割と良く出来た俗称なのかもな
【別の意味で洒落にならない過去が眠ってそう】
玄:今時、専業の探偵というのも流行らない気がしてきました。
大学教授やナース、それにメイドといった、
本業を持った上でトラブルに巻き込まれるというのが主流なのでは。
マ:意気を挫くこと言いなや。
玄:せめて前職絡みで、何か面白い要素を盛り込めませんか。
マ:粉飾決算の魔術師ゆわれた技能を、
笑いに転換できる自信があるならやってみーや。
【数十年後なら一周して落ち着く可能性もある】
玄:『敏腕オフィスレディが社畜生活に疲れて探偵始めてみた』、
的にマイルドな表現を選べばいけますかね。
マ:なんや、その再生伸びへん配信動画みたいんなタイトルは。
玄:小説も、一見して内容が分からないと売れない時代らしいです。
マ:いつか『何々探偵の回顧録』的なんを執筆したろ考えてるねんけど。
玄:まず他人が読んで面白い経験を積まないといけませんので、
その件は保留で問題無いんじゃないでしょうか。
【アラサー大学院生の事件帳とか出オチで終わりかねない】
玄:とはいえ、一番人気は学生探偵になりますし、
夜学か通信で学籍を持つというのはどうでしょう。
マ:それを世間が認めてくれるかやな。
玄:不思議なもので、学んでいる人以上の意味は無いはずなのに、
社会経験が無い若者というニュアンスも含んでいます。
マ:どいつもこいつも、若い子が好きなんや。
玄:私も少女探偵助手を名乗れるのかも知れませんが、
肩書として誇らしいものかは一考の余地がありますね。
【単に心が壊れただけという説もあるけど】
玄:折角ですし、友人を誘って探偵団として活動しましょうか。
マ:あんさん以外に給料は出せへんで。
玄:好奇心旺盛な方々ですから、
余計なことに首を突っ込むのを心配した方が良い気がします。
マ:やれやれ言いながら助け出すんで何本か作れるな。
玄:どれほど悲惨な事例を目の当たりにしようとトラウマにならず、
何度でも巻き込まれようとする胆力は持っていると思います。
当初は、玄武の設定は大学生を想定していたのですが、高校生でも問題無い気がしてきました。当面は曖昧にして必要に応じて決めることにしましょうかね。
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2021
位人臣を極める、という言い回しがあります。頭の三文字熟語はクライジンシンと読みます。臣下として、これ以上ない出世をすることを意味します。主に帝国や大国と呼べる規模の国家で、皇族、王族を除いた貴族や高級官僚なんかが到達できる最高点となります。かつての日本で言えば正一位が相当します。ただ、これを生きている間に貰うのは極めて難しく、史上で6名しか居ないのだとか。しかも内4名が奈良時代、1名が平安時代と、かなり古い記録です。残る一人は明治期の三条実美ですが、叙位とほぼ同時に逝去しているので、やはり死後に功績を讃えて贈られるのが基本と言えましょう。なので現実的に、その時代で最も偉いとされる官職や役職に任ぜられることが主な用法になります。ここで問題となるのは、令和の現代に於いて、総理大臣はこれに該当するのかということです。大統領とは違い、名目上はあくまで行政の長なので違うのでしょうか。一方、立法と司法のトップは個人で担当するものではないので、相対で見れば権限が一番強い感じもあります。そもそも三権分立を基本とした民主国家で用いられる表現では無いのかも知れません。大体が、一部で罰ゲームとさえ揶揄されているんですから、出世と呼べるかどうかから議論しなければならないのではという気もしてきましたよ。
(・ω・) 正一位一覧は、意外な人物が含まれてて面白かった
【表現力が必要な上に通好み感も物凄い】
マ:探偵が登場してから奇怪な事件が増える現象あるやんか。
ウチはこれを探偵特異点呼んどるねん。
玄:とりあえず、作劇の都合と言ってはいけないんですね。
マ:それゆーたら、バトルもんやスポーツもんで、
ギリギリ倒せる相手が順繰りに出てくるのもおかしな話やし。
玄:稀に主人公格が少しずつ弱体化していくのもありますが、
変わり種であることは否めません。
【設定帳を見るだけで吐血する程に複雑そう】
玄:同じ世界軸で起こったとするから、無理が出るんです。
複数のパラレルワールドから抜粋していることにして、
辻褄を合わせるというのはどうでしょう。
マ:推理もんなんてオムニバス形式が殆どやし、
本筋に関係ないんを日程に組み込む必要は無いわな。
玄:そして、これらの多次元宇宙を統合するという構想を思い付きましたが、
纏められる気が全くしないので封印することにします。
【謎に包まれた過去が明らかになるとか煽れば良いんだな】
玄:連載が長引きますと、
実は本編以前にもたくさん解決していたという事実が発覚しがちです。
マ:初っ端からそこそこの名声あるんやったらともかく、
素人ゆうことになっとるとおかしなるで。
玄:そこは表沙汰にならないものであったと逃げる訳ですよ。
マ:なんなら記憶喪失にでもして、
当人すら忘れとったことにすれば憂いはあらへん。
【作者が真犯人扱いになる泥沼の展開だ】
マ:逆に最後の事件とか銘打たれたもんが、
ほんまにラストになるか怪しいんもようあるわな。
玄:それは、ジャンル関係なく人気作品の宿命なのでは。
マ:死んで終わりにしたかったんに、
世間の声に負けて生きとったことにするんは悲哀を感じるで。
玄:ある意味で、無責任な大衆がキャスティングボードを握る、
現代社会を投影したものと言えるのかも知れません。
ミステリーではありませんが、個人的にドラえもんは幾つものパラレルワールドからエピソードを拾い上げているものだと少し思っています。設定が繋がっているようでいて、どう考えても破綻している部分があるからなのですが、そこまで整合性を求める作品ではないのも事実です。
2021
件の疫病の蔓延に依り、悪魔的ナースを継続することに躊躇いが生じたのは2020年半ばのことでした。結論を先延ばしにするという悪癖が出て、その年は書かないということで決定を持ち越します。今年になっても保留は続いていたのですが、年頭のオムニバスを書き溜めている時に、とあるネタが目に止まりました。それは、メタトロンが探偵を志望するというものでした。朱雀の忍者や玄武のネコミミメイドといった、謎願望シリーズの一環とも言えるのですが、これは使えるのではと閃きます。となるとそこで消化するのはやめておいて、肉付けを進めることにしました。動かし易さを優先して探偵役はマモンで良いだろうというのは、割とすぐに纏まった気がします。元はメタトロンの役回りだったことを考えると酷い話のようでいて、そもそも彼女に似付かわしくないから成立していた部分もある訳でして。天使より悪魔の方が展開しやすいだろうという人間社会の悪辣さなんかも一つにはある気がしてなりません。他のメンバーは悪魔的ナースから引き継がれることが順当に決定されました。助手は三パターン考慮して最も無難であろう玄武に落ち着きます。どれかというとツッコミ役なのですが、作中で述べられてる通り友人にしてしまうと職業なんかの設定を決めなくてはならなくなります。何か面倒だなという最強の行動原理が発動して、学生バイトになりました。探偵あるあるで行くのか、何かしらの事件に遭遇するのか、両取りで進むのかは試行錯誤することになりそうです。見切り発車はいつものことなので、悠然と構えるのも慣れつつありますよ。
(・ω・) アタフタしても、やることは変わらないからしょうがないよね
【聞かれてもないのに語るのはウザがられるし】
玄:以前から思っていたのですが、私立探偵って変な言葉ですよね。
まるで公立探偵が存在するみたいじゃないですか。
マ:英語やと刑事もディテクティブになるさかい、
誤認せんよう訳した名残いう説が有力視されとるで。
警察が出来た頃は調べる担当を探偵呼んでたらしいしな。
玄:この手のちょっとした疑問が解決するのは快感なのですが、
披露する機会が限りなくゼロに近いというのが困りものです。
【洋館が燃えたり崖が近かったりすれば尚のこと良い】
玄:そういえば、刑事事件に対する捜査権を持つのは、
公的組織だけと聞いたことがあります。
マ:たまたま事件に遭遇して、
解決せんと収拾つかへん状況ならしゃーないやろ。
玄:大体は、探偵が混ぜっ返すせいでややこしくなる印象ですけど。
マ:ラストに説教っぽいことかまして、
こないになったんはお前のせいちゃうんかとツッコまれるんが夢の一つや。
【若い内に気付いておけば生き方の選択肢は増える】
玄:将来的に、なりたい理想像のようなものはあるんですか。
マ:その前に、潰れる心配をせなあかん。
玄:現状、収入がありませんものね。
マ:『ペット探し始めました』とか張り紙しとくべきやろか。
玄:仕事に対して、こうありたいというものを抱えながら、
妥協せざるを得ない様は勉強になります。
マ:なんや妙な社会経験積ませてる気ぃするけど、深く考えんことにしとくわ。
【自力で絡んだ糸を解いたんなら頂いても問題ないな】
マ:出来るんやったら殺人専門でやってきたいで。
玄:創作でしたら、良く見かけますけど。
マ:現実的には、資産家やないと無理やろなぁ。
関係者死にまくって報酬有耶無耶になることばっかやし。
玄:道楽で喫茶店や蕎麦屋をやっている方みたいです。
マ:よう知らん親戚の遺産でも入ってこーへんかと考えるけど、
それを貰うんで一悶着ありそうや。
探偵作品に詳しくないので、彼らの懐事情についてはピンと来ないものがあります。まあ、脚光を浴びる部分が抜粋されてるだけで、普段は経営を支える地味で細かい仕事をしてるんだと脳内補完しておきましょう。
2021
純粋な数字に対して何かしらの感情を持つというのは、もしかすると人間固有のものなのかも知れません。いや、他の種が何を考えてるかなんて、人以上に謎に包まれているので、想像の域を出ない訳ですが。それでも、数学なんて代物が成立する程度に円熟させているのが我々だけなのも事実です。とはいえ、この心の挙動は個人差が大きいのは否定できないでしょう。例えば、最も美しい数式という名を冠することもあるオイラーの等式というものがありますが、これに美を感じる人は少数のはずです。少なくても私は、何か凄そうくらいは思えても、芸術的価値を見出すには至りません。単に不勉強で不見識なだけとも言いますけど。一方で、お会計が1000円ぴったりとか777円になった時に『おっ』と感じる方は少なからず居るでしょう。これは十進法的に見栄えが良い数字だからです。言い換えれば人類が別の勘定方法を採用していたら目立つことが無い訳で、数学的には大した意義がありません。こういったことを面白いと思えるかどうかは、人それぞれと言いますか、生まれ持った資質が大きい気がしています。そして思ったのですが、この手のことをとことんまでに楽しめるというのは、一種のフェティシズムなんじゃないでしょうか。言葉を選ばず表現するなら、変態とも言えます。この単語自体、多数派に理解を得られにくい性的嗜好という使われ方をしているに過ぎないので、必ずしも悪く言っている訳ではありません。むしろ世の中の役に立っているんですから、褒め称えるべきです。しかし自分が咀嚼できないものに嫌悪感を示すという本能があるのも事実でして、こういったせめぎ合いが消滅することは無い気もしています。
(・ω・) 多様化を許容するってのは、本来は棲み分けって意味のはずなんだよなぁ
【秘められた才能が覚醒するだろうという楽観論】
マ:探偵始めて早三ヶ月やけど、客がけーへん。
玄:私見を言わせてもらえば、実績が無く、
広告も打たない個人事務所に依頼しようとは思いませんよ。
飲食店でしたら試しに一回という選択肢もあるでしょうが。
マ:他では断られた末に仕方なくゆーんが定番やろ。
玄:初仕事がそんな厄介極まりないものというのも、
それはそれで大問題と言わざるを得ませんよね。
【賃貸なのにやりたい放題できる程度にはオンボロそう】
マ:見てみぃ、このひっそりと路地裏で営業しとる立地。
そして室内は雑然としとって、いかにもいう感じが溢れとるで。
玄:推理小説が好きだということは分かりました。
マ:ここやったら銃撃戦があっても、警察がほったらかすこと間違いなしや。
玄:この国って、そこまで治安が不安定でしたっけ。
マ:まー、ほんまに殴り込まれたら困るさかい、
脱出口を作ったろかと考えとるけどな。
【このくらいのメンタルじゃないとやってけないとは思う】
玄:アルバイトとして雇って貰った立場で言いにくいのですけど、
どうして経験を積んでから独立しなかったんですか。
マ:ちょい前まで普通の勤め人しとったんやけどな。
他人に使われるんが心底合わへんことに気付いたんや。
玄:そこまでは分からなくもありませんが、この業種を選んだ理由は。
マ:ドロドロとした人間関係に首を突っ込むんが、
たまらなく楽しそうに見えたんやけど文句あるか。
【序盤から出てるキャラはとりあえず疑っておかないと】
玄:私は学生なのでこれまでの給料さえ出るなら構いませんけど、
次を探さないといけませんし、解雇通知は早めにお願いします。
マ:やることも無いのに見栄張って助手を置いたんは早計やったか。
玄:その枠は古典に則り、相談を持ち込む友人で良かったのでは。
マ:そないな都合ええ人材に心当たりはあらへんなぁ。
玄:最終的には黒幕とかになりそうな感じもありますけど、
逆に手垢が付きすぎていて使いづらいとも言えます。
という訳で悪魔的ナースに代わる番外編は悪魔的探偵になりました。ここに至る経緯などについては、次回の前文辺りで明らかになるやも知れません。
2021
変化球という言葉があります。ヘンカキュウと読みます。主に野球やソフトボールで投手が放る、ボールの回転や空気抵抗などを利用した非直線的な球筋を意味します。サッカーなど、他の球技に用いられることもあります。転じて、正攻法や王道から外れた、搦め手に近いニュアンスで使われたりもします。要するに、直球の対義語としてのものです。しかし、最近の野球に少し明るい方なら気付いてしまうことでしょう。そう、何処からが変化球なのか問題です。そもそも直球、すなわちストレートボールの定義は曖昧です。指先から離れてベース上に到達するまでの軌跡が、『概ね』直線に近いということくらいしかありません。当然のことながら様々な要素が絡み完璧な一直線になるはずもなく、話はややこしくなります。最も正統派の直球と言われるのは4つの縫い目に指を掛けるフォーシームです。これを真上から投げ下ろすことでキレイな順回転が掛かり、重力や空気抵抗に依る落下を軽減するとされています。一方で、数十年前にムービングファストボールと呼ばれる球種が認知され始めました。握りを変えたり、腕の振りを工夫するなどして、フォーシームに近い速度を出しながらもちょっとだけ動きを見せるというものです。日本語だとクセ球なんて呼ばれたりもしています。現代では、こんな球ばっか投げる人も少なくありません。空振りを狙うというよりは、バットの芯を外してゴロやフライの確率を上げることを意図したものです。野球業界では直球の派生とするのが主流ですが、用途は比喩的な意味での変化球に近いと言えましょう。中々に矛盾を孕んでいるとも解釈できます。そもそもが、こういった戦術が一般的になる前に浸透した用法なので、例えとして時代遅れな面もあります。とはいえ、江戸時代に成立したものが、元ネタが廃れきったのに残るなんてケースも多々あります。変化球が何処まで生き残るかは、言語学者の先生にも分からないことなのでしょうね。
(・ω・) よし、野球ネタにしては短くまとまったな!
【それだけは無いとツッコむことすら面倒だ】
玄:ファンタジーでは、ドラゴンと大トカゲは別物というのが定番です。
もしや龍族も、似てるけど別種というのが居るのではないでしょうか。
青:極端な話をすれば、長寿な大蛇が龍と呼ばれているに過ぎないのですが。
黄:その過程で霊力を帯びただの、何歳以上だのといった条件はあるけど、
厳密な定義は難しいと言わざるを得ないんだよぉ。
朱:クジラさんとイルカさんが生物学的に差が無いみたいなものだと考えると、
私も普通の鳥類な気がしてきました~。
【社会の枠組みから外れておいて保障を期待するのは図々しい】
青:そういえば西洋系は、組合があるらしいです。
玄:なんですか、それ。
黄:会員制で、非組合員はドラゴンと公認してもらえないんだよぉ。
朱:はぐれドラゴンさんが居る訳ですか~。
玄:アウトローっぽくって、ちょっと憧れます。
青:竜殺しの称号を得たい方は報復の恐れが無いそちらを狙うので、
言うほど羨ましい立場とは思えませんけどね。
【ならなんで聞いたのかとツッコみたいわ】
朱:黄龍さんは、ツッコミをどの様にお考えなんでしょうか~。
黄:その、エキスパートに尋ねるみたいな質問はなんなんだよぉ。
朱:話題に困ったインタビュアーさんにとって、
最低限の形を作る為の切り札だと伺ってます~。
黄:たしかに雰囲気は出せるけど、思考放棄な気がするんだよぉ。
朱:信念とか哲学的なものはあるでしょうけど、
言語化すると安っぽく感じてしまうことも多いですしね~。
【ボケにボケを上乗せすると着地点が見えなくなる】
黄:返答としては、救済とでもしておくんだよぉ。
朱:ふに?
黄:ボケというのは、意図するしないに関わらず人格の発露であって、
それを分かりやすくするのは、言うなれば魂の浄化作業なんだよぉ。
朱:そんな崇高な使命があったんですか~。
黄:というボケであるとツッコんで欲しかったんだけど、
朱雀にはちょっと早かったんだよぉ。
これにて今年の黄龍ちゃん本編は終了です。年々、ワンシーズンが早くなってないかという有りがちな恐怖心はさておき、年明けくらいには忘れたことにして再開しようと思う所存です。