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 最近良く聞く『戦略的互恵関係』という言葉。だけど思うんですが、これ、字面だけ見て考えて見れば、『長期的に見てウィンウィンになるようにやってこうね』ってだけのことですよね。何じゃそりゃ。腹の中がどうかは知りませんが、まともに国交ある国相手なら、表面上は言うまでもなくそういう関係を築こうとするに決まってるじゃないですか。戦略的互恵関係って言いたいだけだろ、絶対。

( ・ω・) 墾田永年私財法には、まだまだ及ばない語感だけどね

「ん――」
 逆光で少し見づらいけど、矢を放った人物が小高い場所に居ることは確認できた。どうも、既に次の矢をつがえてるみたい。ほぼ陰影で分かりづらいけど、随分と小柄に見える。
「墓を荒らす不届き者め! 今すぐ、この場所から立ち去れ!」
「あれ?」
 声色からは、随分と若い印象を受けた。と言うか、はっきり子供なんだろうか。ジュリといい、どうもここのところ、子供に縁がある様な。
「警告は、したからな!」
 その言葉と共に、次なる矢がその弦から放たれた。うーん、たしかに墓を掘り返したのは悪いと思ってるけど、ほんのちょこっとで済んだし、もう終わったから許して欲しいんだけどなぁ。
『メラ』
 何にしても、むざむざと攻撃を受ける気なんて毛頭ない。撃ち落とすには十分な火力を以って、対抗した。
「な――」
「ごめん。それなりの規模の部隊が矢嵐を食らわせるってんならともかくさ。一人で射るってんなら、矢全体が金属で出来てるか、相当の名手でも無い限り僕のところまでは届かないと思うよ」
 ちょっと嫌な奴になってる気がしないでもないけど、戦力差の誇示は停戦の提示に有効な手段だ。ここはちょっと、上から喋らせて貰おうと思うんだ。
「おのれ! だったら、二本同時でどうだ!」
 時として、逆効果で挑発になっちゃうこともあるんだけどね。
「えーと」
 キリキリと、二本の矢を同時に引き絞る少年を見て、どうしたものか考えを巡らせる。本当に、あの二本を別軌道で僕達に射掛けることが可能なんだろうか。だとすれば年に似合わず、相当の技量を持ってると思うよ。いや、割と本当、素直に、さ。

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