聞くところに依ると、麻生総理の支持率が微増気味だそうです。方式自体が偏っているので、数パーセントくらい誤差の気がしますが。まあ、頑張ってる方じゃないですかね。とりあえず、サンドバッグとしては優秀の様です。
( ・ω・) 打たれ強さは政治家の最低条件。ここからどうするんですかねぇ
【必殺! 内閣不信任案!】
岬:ところで先輩は、三権分立って御存知ですか?
公:バカにするでない。その程度のこと、授業でやった。
国家の権力は立法、行政、司法の三つに分割し、
互いに干渉しあってはいけないということだろ。
岬:仰る通りです。実際のところ、それぞれは複雑に絡み合っているので、
完全に分けることは難しいんですけど、実行力を持つ決まりも幾つかあります。
その一つが、内閣不信任案です。
公:たまに、どっかの政党が出すよな。
岬:ええ、このルールは、行政のトップである内閣を、
立法のトップである衆議院が解体出来るという理屈で成り立っています。
これは憲法に明記されていることで、覆すには憲法を改正する以外にありません。
公:具体的に、何がどうなると、何するんだ。
岬:物凄くシンプルです。これは衆議院のみが持つ権利で、決議案として提出された場合、
過半数を得れば、内閣は十日以内に衆議院の解散、
ないしは総辞職をしなければなりません。
公:――ん? ちょっと待て。内閣ってか総理って、
元々、衆議院で過半数を得たから、なったんじゃなかったっけか?
岬:その通りです。ですから、基本的にこの不信任案が通ることはありません。
タイトルには必殺と入ってますが、
本当に必ず殺すかと言われると怪しいのはアニメや特撮と一緒です。
公:さりげない毒は華麗に受け流すとして。
岬:基本的な役割は、野党の持つ数少ない武器ということでしょう。
これを提出することで、『私達は今の総理に不満があります』
ということを世間の有権者にアピールすることが主たる目的です。
その為、伝家の宝刀と呼ばれることもあります。
唯、これはタイミングが難しく、抜きすぎたり、
どうでもいい時期に使うと失笑を買ったりもします。
公:さっき、基本的には通らないって言ったよな。ってことは――。
岬:ええ。場合に依っては、不信任案が提出された後、
投票を待たずに総理サイドが解散を宣言してしまう場合もあります。
どの道、衆議院は四年以内に解散しなくてはいけませんし、
そのタイミングは総理が決めていいんです。
今なら戦えると総理並びに与党が決めたのであれば、
通ってイメージが悪くなる可能性のある投票なんて、する意味がありませんからね。
公:ふむふむ。
岬:そして、過去に数回、これが可決されたこともあります。
近いところでは、1993年、宮沢内閣に出された不信任案でしょう。
普段は、『はいはい、野党の皆さん、御苦労さん』と突き返すものなんですけど、
この時だけは違いました。
当時は自民党に所属していた小沢一郎氏らが、
訳有って自分達のグループ丸々を使って賛成票を投じさせたことで、
不信任案は可決されました。
当然、内閣総辞職したところで何度だって不信任される訳ですから、
解散総選挙しかありません。
そして、離党したことで意外と高評価を受けたのか、
小沢氏らが結成した新党が想像以上の大勝を収め、自民党は下野、
細川政権が誕生するに至る大事にまで発展しました。
公:こえー。内閣不信任案、マジでこえー。
岬:ちなみに、この時の政治的混乱が、
日本経済空白の十年と呼ばれる九十年代不況を招いた一因という説もありますが、
その件に関してはテーマの外なので、興味のある方は自分で調べて下さい。
公:経済はムズい。本気で訳分からん。
岬:いずれにしても、これだけの力を秘めている決まりです。
伝家の宝刀の名は伊達ではありません。
公:竹光じゃねーのな。
岬:もちろん、こんなに巧くいくことばかりでもありません、
不発の典型例は、2000年に起こった加藤の乱でしょう。
当時、森内閣の支持率は総理の失言等により凄まじい勢いで下降していました。
そこで自民党所属の加藤紘一氏は、
野党の提出する内閣不信任案に賛同する同士を集めたのですが――。
公:数が足りなかったんだな。
岬:ええ。自民党の結束は加藤氏の想像を越えて固く、加藤派は分裂、
不信任案は否決されました。
ちなみにこの肝心要の投票に加藤氏本人は欠席するという醜態を晒し、
自民党で議席を持っているものの、
現在(2008年10月)に至るまで冷や飯を食べ続けています。
公:革命失敗の末路は悲惨だよな……。
岬:政治家の仕事の半分くらいは、タイミングを見誤らないことなんですよね。
今項目の纏め:内閣不信任案を提出し、衆議院で過半数を得ると、衆議院を解散、ないしは内閣を総辞職させられる。野党の持つ数少ない武器。
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